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第215話 リハーサル②
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市野はレモンチーズパスタを、楓はスモークサーモンクリームソースフェットチーネを注文した。
注文したものが出来上がるまでの間、2人は今日聞いてきた前半のグループの演奏について意見を交わす。
「やっぱりというか、派手目のアレンジが多かったわね」
「でも、あれならあたし達の方がどっちのアレンジでも良いような気がするのよね」
「紫穂、油断は禁物よ。朝、言ってたでしょう、有力グループの出番は最後の方だって。もっとも私達に出来ることは自分たちの演奏を出来る限り仕上げることだけどね」
「そう言う意味では奈菜の言うところ派手バージョンをとりあえず最後まで仕上げることに集中するのがいいのかなあ」
そう言いながら市野は更に何か言いたげに楓を見ている。
そんなところに店員がやってきた。
「お待たせいたしました。レモンチーズパスタとスモークサーモンクリームソースフェットチーネです。ご注文の品はこれでお揃いでしょうか」
ニッコリと笑顔で2人に声を掛けてきた店員に二人そろって頷くと
「では、ごゆっくりお召し上がりください」
そう言って去って行った。
少しばかり話の腰を折られた感があったものの楓は市野に問いかけることにする。
「紫穂、何か言いたいことがあるなら言いなさいよ。変な遠慮はいらないわよ」
楓に促され市野も口を開いた。
「その、楓ちゃんとしては、どっちのアレンジが合ってると思ってるの?」
楓が首を傾げると、市野が続ける。
「楓ちゃんの作詞作曲じゃない。だから、楓ちゃんがどういうイメージで作ったのかなって思って……」
楓としてはやはり”春”としての曲にしたいため少しばかり躊躇したけれど、口を開いた。
「私のイメージとしてはシンプルで透き通った感じのイメージなのよね」
「そうすると、今のアレンジは、楓ちゃんとしてはかなり違う感じね」
市野の問いかけに、楓はそっと頷いた。
「で、でも今のアレンジも嫌いってわけじゃないわよ。私のイメージがすべてじゃないもの」
「そうなんだろうけど。まあ、とりあえずはリハーサル全部見て、今日のスタジオ練習でって感じね」
楓も頷き、ふっと時計を見て
「あ、大変急がないと」
2人は残りのパスタを急いで口にし、清算すると足早にホールに戻った。
「ただいま。奈菜、交代するわ」
ホールで見学している長嶺と大家のペアと交代して楓と市野が見学に入る。
更に楓がそのまま横で見ている田口に
「先生も、食事行ってきてください。はしゃいで変なことになるようなことはしませんから」
少しばかりいたずらっ子の顔で楓が言うと
「そう、ね。じゃあ簡単に食事済ませちぇくぅわ」
と、出ていった。
「あれで授業中はしゃんとするんだものねえ」
市野が田口を見送りながら不思議そうにしている。実際授業中の田口は凛としており、口調も落ち着いた感じで噛むこともない。光野高校軽音部の七不思議と言われている。
その後、楓と市野の2人で見学を続け、食事を終えた長嶺と大家、そして田口が合流した。
全てのグループのリハーサルを見学し、この後のスタジオ練習までの合間に”春”のメンバーたちはスタジオ近くの古ぼけたカフェで打ち合わせを行っていた。メンバーの後ろではテレビで特番が流れている。
「やはりというか、なんというか、全体に派手なアレンジが主流だったわね」
さっそく長嶺が切り出す。
「目立つ分だけ審査員受けも良いのかもしれないわね」
「そうすると、私たち”春”も派手な方のアレンジが無難なのかしら」
市野と大家が悩みつつ口にしたところで
「時間ね、あとはスタジオで練習しながら話しましょう」
長嶺がそこでの話を締め、各々の支払いにむかう。仕方がないかと楓も決め手に欠けるためシンプルなアレンジが良いと主張しきれなかった。
レジで支払いをしているところにテレビのゲストのセリフが飛び込んできた。
『よく、私は小さなスマホの画面の中で表現できますねと言われるのですが、スマホの画面で表現するべきものは大画面では表現できないのですよ。まるで別のものになってしまいますから』
それを聞いた瞬間に楓はハッと気づいた。
「ね、ねえ、みんなアレンジを今までの2種類と違うものに変えたらダメかな?」
注文したものが出来上がるまでの間、2人は今日聞いてきた前半のグループの演奏について意見を交わす。
「やっぱりというか、派手目のアレンジが多かったわね」
「でも、あれならあたし達の方がどっちのアレンジでも良いような気がするのよね」
「紫穂、油断は禁物よ。朝、言ってたでしょう、有力グループの出番は最後の方だって。もっとも私達に出来ることは自分たちの演奏を出来る限り仕上げることだけどね」
「そう言う意味では奈菜の言うところ派手バージョンをとりあえず最後まで仕上げることに集中するのがいいのかなあ」
そう言いながら市野は更に何か言いたげに楓を見ている。
そんなところに店員がやってきた。
「お待たせいたしました。レモンチーズパスタとスモークサーモンクリームソースフェットチーネです。ご注文の品はこれでお揃いでしょうか」
ニッコリと笑顔で2人に声を掛けてきた店員に二人そろって頷くと
「では、ごゆっくりお召し上がりください」
そう言って去って行った。
少しばかり話の腰を折られた感があったものの楓は市野に問いかけることにする。
「紫穂、何か言いたいことがあるなら言いなさいよ。変な遠慮はいらないわよ」
楓に促され市野も口を開いた。
「その、楓ちゃんとしては、どっちのアレンジが合ってると思ってるの?」
楓が首を傾げると、市野が続ける。
「楓ちゃんの作詞作曲じゃない。だから、楓ちゃんがどういうイメージで作ったのかなって思って……」
楓としてはやはり”春”としての曲にしたいため少しばかり躊躇したけれど、口を開いた。
「私のイメージとしてはシンプルで透き通った感じのイメージなのよね」
「そうすると、今のアレンジは、楓ちゃんとしてはかなり違う感じね」
市野の問いかけに、楓はそっと頷いた。
「で、でも今のアレンジも嫌いってわけじゃないわよ。私のイメージがすべてじゃないもの」
「そうなんだろうけど。まあ、とりあえずはリハーサル全部見て、今日のスタジオ練習でって感じね」
楓も頷き、ふっと時計を見て
「あ、大変急がないと」
2人は残りのパスタを急いで口にし、清算すると足早にホールに戻った。
「ただいま。奈菜、交代するわ」
ホールで見学している長嶺と大家のペアと交代して楓と市野が見学に入る。
更に楓がそのまま横で見ている田口に
「先生も、食事行ってきてください。はしゃいで変なことになるようなことはしませんから」
少しばかりいたずらっ子の顔で楓が言うと
「そう、ね。じゃあ簡単に食事済ませちぇくぅわ」
と、出ていった。
「あれで授業中はしゃんとするんだものねえ」
市野が田口を見送りながら不思議そうにしている。実際授業中の田口は凛としており、口調も落ち着いた感じで噛むこともない。光野高校軽音部の七不思議と言われている。
その後、楓と市野の2人で見学を続け、食事を終えた長嶺と大家、そして田口が合流した。
全てのグループのリハーサルを見学し、この後のスタジオ練習までの合間に”春”のメンバーたちはスタジオ近くの古ぼけたカフェで打ち合わせを行っていた。メンバーの後ろではテレビで特番が流れている。
「やはりというか、なんというか、全体に派手なアレンジが主流だったわね」
さっそく長嶺が切り出す。
「目立つ分だけ審査員受けも良いのかもしれないわね」
「そうすると、私たち”春”も派手な方のアレンジが無難なのかしら」
市野と大家が悩みつつ口にしたところで
「時間ね、あとはスタジオで練習しながら話しましょう」
長嶺がそこでの話を締め、各々の支払いにむかう。仕方がないかと楓も決め手に欠けるためシンプルなアレンジが良いと主張しきれなかった。
レジで支払いをしているところにテレビのゲストのセリフが飛び込んできた。
『よく、私は小さなスマホの画面の中で表現できますねと言われるのですが、スマホの画面で表現するべきものは大画面では表現できないのですよ。まるで別のものになってしまいますから』
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