幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第224話 目標

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「楓自身がやりたいというのであれば別ですが、俺が説得することはありません」
愛翔の拒絶に椛山が目を見開いて反論する。
「橘さんには才能があるわ。それを生かしてあげたいと思わないの?」
「本人に才能があるのと、本人がやりたいのは別です。才能の有無は本人がやるかどうかには必ずしも関係ありません。それに」
「それに何ですか」
椛山の問いかけに愛翔が口にしたのは
「あなたが言っているのはこれまで頑張ってきた楓の努力を無意味だから捨てろと言いうことでもあるんですよ」
愛翔の指摘に椛山も顔を顰めたが
「そ、それでも才能を埋もれさせるのは……」
「何度も言うようだけれど、それを選ぶのは本人だ。他の誰かが強制するようなものではありませんよ。そして才能と言っているけれど、T大に合格できる実力というのはその才能と比較して小さいとでも言いますか?」
愛翔の再三にわたる拒絶に椛山も言葉を失っている。そこで攻め手を変えてきた。
「そこまで言う目標と言うのは何ですか」
「何故です。あなたに説明する必要性を感じませんが」
愛翔は相変わらずの塩対応だ。
「とりあえずの私の目標は国際弁護士ですよ」
そこに後ろから楓が声を掛けてきた。その楓の目標の高さに椛山も一瞬黙る。
「も、目標の高さは素晴らしいですが、音楽の世界であなたはオンリーワンになれる可能性を秘めています。国際弁護士とはいっても多くの中の1人ではもったいないです」
椛山の言葉に楓がキッとにらみつけ反論をする。
「それはあくまでもスカウトとしてのあなたの価値観でしょう。そんなものを私に押し付けないでください」
ここにきて椛山は少しばかり違和感を持った。”それにしてもこの年代の子供がここまで簡単に芸能界入りを無視できるものかしら?それにさっき橘さんはなんと言ったかしら?確か『とりあえずの目標』なら本当の最終目標は別にある?芸能界を無視しても良いと思えるもの”
「橘さん。あなたの本当の目標は国際弁護士ではないわね」
椛山は迷いながらもフッと愛翔に目が向いた。”ひょっとして”
「目的は住吉君かしら」
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