幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第227話 始業式

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「我が光野高校のクラブ活動におきまして素晴らしい成果を上げられた部がありました」
2学期の始業式、校長がホクホク顔で話をしている。
「一つは女子バスケットボール部。なんとインターハイにおいてベスト16に入りました。そしてもうひとつが軽音楽部です。グループ”春”が全国コンテストにおいて特別賞を受賞しました。女子バスケットボール部のみなさん、軽音楽部”春”のみなさんステージに上がってください」
桜たち女子バスケットボール部、楓たち軽音楽部”春”それぞれのメンバーがステージ上に並ぶ。
「では、女子バスケットボール部代表者の方挨拶をお願いします」
呼び出され部長の末成が前に進み出る。
「女子バスケットボール部、部長の末成です。思えば2年半前、私たち女子バスケットボール部はただ単にバスケットボールが好きなだけの集まりでした。光野高校という進学校において好きなバスケットボールで息抜きをしながら大学受験を目指す。その程度の意識の集まり。それが私達でした。そこに強烈な意識をもって1人の仲間が参加してきたのがすべての始まりでした。その仲間は、ただ1人全国レベルの実力をもち私たちを引っ張ってくれたのです。バスケットボールにも学業にも手を抜くこと無くひたむきに取り組むその姿と強い絆を見せる彼女ににいつしか私達全員が真剣に向き合うようになっており、結果として今回の成果となりました。桜、素晴らしい高校時代の思い出をありがとう。すべてあなたのおかげです。私達3年生は、これからは受験に向かって全力投球することになります。苦しい事もあるでしょう、でも、これまでの思い出を胸に頑張っていきます。みなさんも是非学業にだけでなく趣味にスポーツに力を入れてみてください。きっと素晴らしい思い出になると思います。」
1礼下がる末成に全校からの拍手が湧く。ふと見れば末成だけでなくステージ上のいやステージに上がらなかった者を含め女子バスケットボール部の部員の目は潤んでいた。
桜の横に戻った末成に頬を染めた桜が小声でささやく。
「もう、ちいちゃんたら。みんなが頑張ったからなんだから。あんな風に言われたら恥ずかしいじゃない」
「でも事実よ。それに女子バスケットボール部の部員はみんな桜に感謝してるんだから」
末成が囁き返したところで、また司会の声が響いた。
「では、次軽音楽部”春”の代表の方お願いします」
そして”春”の代表として進み出たのはバンドリーダーの長嶺。
「軽音楽部”春”のバンドリーダー長嶺です。この夏私達”春”は、軽音部の皆さんのバックアップもあり、全国コンテストに出場し特別賞を受賞することが出来ました。”春”を結成したのは2年半前、私達が入学し新入生として軽音楽部に入部した時に部内で気が合った仲間4人で”組んでみようか”と気軽に始めたのがきっかけでした。それから私達は”春”の活動に真剣に取り組み、いつの間にかかけがえのない絆を結ぶ素晴らしい仲間になっていました。もちろん最初はもっと気軽なバンド仲間だったのですが、仲間の1人が絆というもののすばらしさを教えてくれて、そして今回のような素晴らしい結果を残すことができました。皆さんも仲間と絆を結び、素晴らしい青春の思い出を作ってください。楓ちゃん、私達に絆のすばらしさ、努力し諦めない強さをおしえてくれてありがとう。これからも絆を大切にしていこうね」
長嶺の挨拶にも全校から大きな拍手が湧いた。
2グループの挨拶が終わると再度校長がステージ中央に立つ。
「彼女たちはクラブ活動で全国レベルの成果を上げながら、学業においても当校でトップクラスの素晴らしい成績を維持しています。ぜひ皆さんも目標にしていただきたいと思います」
”そして”と続ける。
「現在の在校生にはこちらの2グループだけでなく学業にもスポーツ・文芸などにおいても素晴らしい成績を発揮している生徒がおられます。学校の課外活動、学外の活動それぞれに素晴らしい成果をあげています。ぜひ在校生の皆さんには目標としていただいて素晴らしい青春時代をすごしていただきたいと思います。では素晴らしい絆と思い出を作った彼女たちに拍手」
大きな拍手と注目のなかステージを降りる女子バスケットボール部と”春”。そしてその双方が口にした絆。そのため注目する視線はふたつのグループだけでなく嬉しそうに微笑む愛翔にも注がれていた。一部の嫉妬にまみれた視線と共に。
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