幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第249話 親たちの想い

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軽い会話をしているところへノックがありウェイターがワゴンを押して入ってきた。
「アミューズです。鶏・フォアグラ・里芋のプレッセとなります」
それぞれにサーブを行い一礼をして下がるウェイター。星付きの店だけあり所作も洗練されていた。
「うん、旨いね。この一皿目を口にする時が好きでね……」
慎一郎が目を細める。
「もう、あなたったら愛翔君のお祝いの席なのに。お祝いの席よね?」
1皿目から料理に夢中になる夫に麗奈が苦笑した。
「まあ、俺としては喜んでもらえるのなら招待した甲斐があります。気楽に楽しんでください」
愛翔は少しだけ緊張感を持ちながらも笑顔で応え、両サイドの桜と楓は微笑みながらそっと愛翔の腕に手を添える。
「しかし、今日の愛翔にぃちゃん決めてるね。桜ねえちゃんもねえちゃんもドレスでしょ。すごい気合はいってるじゃん」
柾が無邪気な笑顔を向けた。
「まあな、こういうのは大切なんだぞ。覚えておくといい。まあ必要になった時に聞いてくれれば教えるけどな」
愛翔も柾の事は可愛がっている。

「季節野菜を使ったポタージュスープです」
「白身魚のムニエル。本日は長崎県産の真鯛となります」
「本日のメインとなります飛騨牛のフィレ肉のポワレ。トリュフソース掛けです」
メインがサーブされたところでシェフが挨拶に周ってきた。
「住吉様。お連れ様。本日はご来店ありがとうございます。料理はお楽しみいただけていますでしょうか」
「ええ、とても美味しくいただいています。さすがは『エールブリリヨン』ですね」
愛翔が笑顔で対応する。
「そして住吉様は、Jリーグ昇格がほぼ確定的とかお慶び申し上げます。これからのご活躍をご期待しております」
「ありがとうございます。正式に昇格したときにはまた祝いの席を設けさせていただきたいですね」
シェフとの何気ない会話。こんなところも如才ないところを見せる愛翔。

「では、この後デザートとお飲み物となります。ごゆっくりお楽しみください」
その後、デザートワゴンが回ってきて女性陣の目がハートになり場を和ませ、最後飲み物がサーブされた。
愛翔は、テーブルを見回し、コーヒー紅茶がいきわたり、ウェイターが下がったのを確認すると、最後の覚悟を決め、そっと気合を入れた。
「理沙さん、直樹さん、麗奈さん、慎一郎さん、そして柾。今日は来てくれてありがとう。料理は楽しんでもらえたでしょうか」
「うん、とても美味しかったわ」
「素敵なディナーをありがとう」
理沙と麗奈が微笑みながらこたえ、愛翔が一度深呼吸をする。そして
「実は今日は皆さんにお話があってきてもらいました」
そこで一息入れ同席しているメンバーの顔を見渡す。
「これまで、桜と楓にはずっと支えてもらってきました。2人とも魅力的でどちらを選ぶんだと随分と悩んできたのですが」
ここで再度深呼吸をする愛翔。そして両側でそっと愛翔の手を握る桜と楓。愛翔が意を決して続ける。
「俺は、2人を、どちらも諦められない。俺は欲張りになることにしました。桜も楓も俺の横にいて欲しい。これからの人生を一緒に生きて欲しいそう思い2人にプロポーズをしました。一般的な常識倫理とは相いれない。それは分かったうえです。どうか俺たちが3人で生きていくことを認めてください」
愛翔が深々と頭を下げる。横で桜が口を開く。
「あたしも愛翔を愛しています。愛翔とずっと一緒に居たい。愛翔を支えたい。ずっとそう思ってきたの。それが楓と一緒でなら、なおさら素敵だと思えるの。お父さんお母さん、麗奈さん、慎一郎さんどうか認めてください」
「私も愛翔と一生を共にしたい。この2年でその思いはずっと大きくなりました。もう愛翔以外は考えられません。そして桜とならきっと一緒に愛翔と素敵な人生を送れると思っています。どうかゆるしてください」
桜と楓が愛翔の両横で頭を下げた。
わずかな沈黙の後直樹が口を開いた。
「盛装した3人を見ればこういう事もあり得るだろうとは思っていたよ。私達もあり得る未来として話し合ってはいたんだ。そして君たちの絆も分かっているつもりだよ。ただ、君たちは若い。あせらずもう少しゆっくりと余裕をもって考えてみてはどうかな?具体的には、そう桜と楓ちゃんが大学を卒業するまで。それまでを猶予期間・確認期間としてその時期を過ぎても気持ちが変わらなければ私達親4人も3人を祝福しようじゃないか」
「ありがとうございます。認めてもらえるように頑張ります」
愛翔が涙を滲ませた。それに対しちょっと揶揄う雰囲気で慎一郎
「あ、そうそう、子供はせめて高校卒業してからにしてくれよ」
と片目をつぶってみせた。
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