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第272話 マスコミマスゴミ休刊
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「特別送達?またか」
写真週刊誌”ファインダー”の編集長真写照姫(ましゃ しょうき)は既に日常となった裁判所からの特別送達を何の感慨も無く面倒くさそうに受け取る。そして封を開けることもなくKD社法務部行のメール便袋に放り込んだ。
彼女は訴えられることに慣れすぎていた。そして”訴えられ賠償をしてもそれ以上に稼げば良い”そう考えるようになっていた。しかしKD社上層部では”ファインダー”が日々利益をあげ存在を認められていること自体を苦々しい思いで見ている者もいる。それは真写自身も理解していたためこれまで”ファインダー”を1度として赤字にすることは無かった。
そしてその日あるホテルの一室で愛翔の代理人として渡邊美咲が記者会見を開いていた。
多くのマスコミが集まる中KD社の関係者は1人もいない。
「では定刻となりましたので始めさせていただきます」
「私は住吉愛翔の代理人、渡邊美咲と申します。事情はこちらに見えたマスコミ各社の方はご存知と思いますが、報道の自由を著しく逸脱し未成年のプライバシーを無視したKD社写真週刊誌”ファインダー”の記事により住吉愛翔および少女A、少女Bの生活が著しく棄損された件について先日裁判所に起訴状を提出しました。社会的に大きな影響があるわけでもない一般人の日常を……
・
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以上のように、当該誌につきましての告訴いたしましたことをご報告いたします。なお、原告被告の関係となるためKD社に関しまして住吉愛翔は取材を含め直接の接触を拒否させていただきますことを合わせてご報告させていただきます」
そして昼過ぎ、真写はKD社の専務取締役竹松太聖(たけまつ たいせい)のデスクの前に立っていた。
「やりすぎたようだな」
「は?」
竹松が封筒を真写に向かって投げ渡す。封筒には”特別送達”の赤文字。
「な、5000万。法外な。これほど法外な金額を裁判所が棄却しなかったというのですか」
竹松は頭を右手で支えながら苦し気に口を開いた。
「未成年者3人を不当にさらし者にすれば請求額としてはそれほど不当では無いというのがうちの法務部の見解だ。あとはどこまで抑制できるかだが。こちらに反省の色が見られなければ大幅な減額は難しいそうだ。さらにこれを見たまえ」
竹松はリモコンで壁に据え付けられていた大型テレビのスイッチを入れ録画の再生操作をする。
そこには記者会見場での様子が映し出された。
「わかるか、”ファインダー”たった1誌が粗相をしたために、わが社は住吉愛翔というこれから話題を提供してくれるであろう取材対象を失ったのだ。ただでさえ”ファインダー”を抱えていることで当社に否定的な世論があるなかでだ。この被害は5000万ではすまんぞ。どう責任をとるのか考えておくように」
「は、はい。わかりました。失礼します」
真写は、青い顔で竹松に頭を下げ退出する。
真写が専務室のドアをくぐろうとしたところで竹松が最後の言葉を投げかけた。
「ああ、そうそう。KD社は反省し”ファインダー”は本日をもって無期限の休刊とすることが取締役会で決まったからな。身の振り方も考えておくように。さすがに今回は常務も”ファインダー”をかばい切れなかったよ」
写真週刊誌”ファインダー”の編集長真写照姫(ましゃ しょうき)は既に日常となった裁判所からの特別送達を何の感慨も無く面倒くさそうに受け取る。そして封を開けることもなくKD社法務部行のメール便袋に放り込んだ。
彼女は訴えられることに慣れすぎていた。そして”訴えられ賠償をしてもそれ以上に稼げば良い”そう考えるようになっていた。しかしKD社上層部では”ファインダー”が日々利益をあげ存在を認められていること自体を苦々しい思いで見ている者もいる。それは真写自身も理解していたためこれまで”ファインダー”を1度として赤字にすることは無かった。
そしてその日あるホテルの一室で愛翔の代理人として渡邊美咲が記者会見を開いていた。
多くのマスコミが集まる中KD社の関係者は1人もいない。
「では定刻となりましたので始めさせていただきます」
「私は住吉愛翔の代理人、渡邊美咲と申します。事情はこちらに見えたマスコミ各社の方はご存知と思いますが、報道の自由を著しく逸脱し未成年のプライバシーを無視したKD社写真週刊誌”ファインダー”の記事により住吉愛翔および少女A、少女Bの生活が著しく棄損された件について先日裁判所に起訴状を提出しました。社会的に大きな影響があるわけでもない一般人の日常を……
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以上のように、当該誌につきましての告訴いたしましたことをご報告いたします。なお、原告被告の関係となるためKD社に関しまして住吉愛翔は取材を含め直接の接触を拒否させていただきますことを合わせてご報告させていただきます」
そして昼過ぎ、真写はKD社の専務取締役竹松太聖(たけまつ たいせい)のデスクの前に立っていた。
「やりすぎたようだな」
「は?」
竹松が封筒を真写に向かって投げ渡す。封筒には”特別送達”の赤文字。
「な、5000万。法外な。これほど法外な金額を裁判所が棄却しなかったというのですか」
竹松は頭を右手で支えながら苦し気に口を開いた。
「未成年者3人を不当にさらし者にすれば請求額としてはそれほど不当では無いというのがうちの法務部の見解だ。あとはどこまで抑制できるかだが。こちらに反省の色が見られなければ大幅な減額は難しいそうだ。さらにこれを見たまえ」
竹松はリモコンで壁に据え付けられていた大型テレビのスイッチを入れ録画の再生操作をする。
そこには記者会見場での様子が映し出された。
「わかるか、”ファインダー”たった1誌が粗相をしたために、わが社は住吉愛翔というこれから話題を提供してくれるであろう取材対象を失ったのだ。ただでさえ”ファインダー”を抱えていることで当社に否定的な世論があるなかでだ。この被害は5000万ではすまんぞ。どう責任をとるのか考えておくように」
「は、はい。わかりました。失礼します」
真写は、青い顔で竹松に頭を下げ退出する。
真写が専務室のドアをくぐろうとしたところで竹松が最後の言葉を投げかけた。
「ああ、そうそう。KD社は反省し”ファインダー”は本日をもって無期限の休刊とすることが取締役会で決まったからな。身の振り方も考えておくように。さすがに今回は常務も”ファインダー”をかばい切れなかったよ」
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