幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第287話 本当だった

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「さっきのって別チームからのスカウトよね。あの人の言葉を信じるなら」
部屋に戻ると楓が誰に言うともなしに言葉にした。
「そう、信じるなら、ね」
「で、愛翔としてはどうするの?」
桜が愛翔の左腕に抱きつきながらニッコリとしている。
「桜も楓も、分かってて言ってるだろ」
”まったくこの2人にはかなわないな”愛翔は頬を掻きながら
「とりあえず、クラブの窓口に連絡してカール・グリフィン・バーンフィールドなるスカウトがいるかの確認。同時にオレに対してアプローチを掛けてきているのが事実かどうかを聞いて、判断はそれからかな」
「まあ、そのあたりが妥当ね。私達はどのクラブにどんなスカウトがいるのか知らないのだから。偽スカウトに騙されてサインしたなんてことになったらそれこそだもの」
やはり法律系を目指すだけあって楓もこのあたり慎重だった。
「で、すぐ確認するのよね。あ、でも時差は、ああ逆だから大丈夫ね。連絡先調べて急いで確認しましょ」
「おう、楓も桜も前のめりだな」
珍しく愛翔が圧倒されている。
「当たり前じゃないの、ローマ・ソチエタからの失礼な提案からの大逆転だもの」
”それもそうか”と愛翔も納得したものの
「だけどたしか外国人枠で色々規制があったはずなんだけど」
と心配をしながらも、さっそくスマホを操作しロンドン・ステイビレッジFCの連絡先を調べ始めた。
窓口の電話番号を見つけるとさっそく電話を掛ける。
「もしもし、住吉愛翔と申します。実は先ほど貴クラブのスカウト、カール・グリフィン・バーンフィールド氏から声を掛けられまして、ええ。はい、お願いします」
窓口で担当者に繋ぎなおす間に愛翔が桜と楓にここまでで分かったことを話す。
「とりあえずカール・グリフィン・バーンフィールドというスカウトがロンドン・ステイビレッジFCに存在することは確かみたいだ。あとはさっきの彼が本人なのか、俺へのアプローチがどこまで本当なのか……、あ、はい私です」
2人への説明の途中で電話が切りかわり、愛翔が電話への対応に意識を向けた。
「ええ、そうなんですね。……ええ、じゃあ、本当に……はい。わかりました。では、1週間後にまたご連絡ささて頂きます」
スマホの終話ボタンをタップし通話を終えると、愛翔は大きく深呼吸をした。
「ねえ、どうだって?」
愛翔の様子に桜と楓も手を前に組んで愛翔を見つめている。
「本当だった。昨日まではローマ・ソチエタFCのチャレンジャーチームにいたから声を掛けることができなかったけど、契約に至らなかったからとすぐにアプローチをしてきたそうだ」
「すごく、早いわね」
「さすがに、驚いたわね」
桜も楓もカール・グリフィン・バーンフィールドの早さには驚きを隠せない。
「いや、あれはもうストーカーに半分足を突っ込んでたからな」
愛翔の言葉に桜が”そういえば”と続けた。
「ミケルさんの話のあと、何か気づいてる風だったのはひょっとして?」
「ああ、俺たちの裏で聞き耳を立てているのに気づいたからさ。多分ミケルさんも気づいてたぞ」
「え?」
「ミケルさんが、あの場で断られると思ったって言ってただろ。あれはそのあたりも含めてだよ。まあ俺としては裏取ってからじゃないと動きたくなかったから即答しなかったけどさ」
そこまで話していると”ジリリリリ”部屋備え付けの電話が鳴った。
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