農家の娘さん、〖百合結婚できないバグ〗解消のためコツコツ努力していたら、人類最強になっていた。

狭間こやた

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15,栽培スキルパネル《耕作:見習い人》。

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大爆笑が終わったところで、ルドル卿が申し出てきた。

「面白い。お前を、わがパーティに招いてやろう。安心しろ。いまのところ、わがパーティは私を含めて、4人。お前を入れても、5人ルールを破ることはない」

「え、私を加えてくださると?」

 うわぁぁぁ、とてつもなくお断りしたいが、どうもこの貴族さん、下民に断れることに馴れてなさそう。へたすると、厄介なことになる。そこで私は、とっておきの笑みを浮かべておこう。

「ありがとうございます、光栄ですっ!」

 農家の娘たるもの、ときに台風でカブ畑がダメになることがあっても、笑顔で「次があるよ」と言えなくてはね。今回も、それと似たようなことだ。ルドル卿という台風、ひとまずやり過ごそう。

 ルドル卿の後ろから、興味深い3人がやってくる。一人は筋肉隆々な男の人で、まさしく戦士という感じ。大剣クレイモアを装備。
 二人目は、40代の男でカトラス舶刀を装備。抜け目なく目を光らせている。三人目は、華奢な少女で、なんか落ち込んだ目をしている。

 カトラスの男が、ルドル卿に言う。

「なぜ、この小娘を5人目にくわえるんで?」

 ルドル卿は、一応は声を小さくして、

「ライオネルよ、考えてみろ。14階のに対する生贄要員は、一人より二人のほうが確実だろうが」

 ライオネルと呼ばれたカトラス舶刀の男が、私を見やる。

「はぁ、なるほど」

 何やら悪だくみされているようだが、私は私のペースでいこう。ところで農家の娘の直感からして、ライオネルという人は、ただ者ではなさそう。

 ところで、今のうちに私は溜めに溜めたスキルポイントを使っておくとしよう。当初は7階まで待つつもりだったけど──事情も変わったよね。

 さて現在、溜めたスキルポイントは、77だ。

 まずは『打撃』領域より。
『武器の打撃力をUPする』の次にある解放可能パネルは、『武器の打撃力をUPする(打撃Lv.2)』。つまり、さらに打撃力がUPされるわけだね。解放に必要なスキルポイントは、5。地味だけども、通常攻撃は上げておいて損はない。基礎力あってこその、スキルである。はい、解放。

『打撃』の解放ルートは二つに分かれていて、打撃スキル《爆打》から続いている未解放パネルは、《雷打》。『雷撃とともに放たれる打撃。雷属性』。属性かぁ。あんまりそこは詳しくないから、おいおい学んでいくとして、必要スキルポイントは8。はい解放。

 続いて、『防御』領域。今のところ解放済みは、《強靭盾》と『使用者の防御力UP』。これも双方とも別ルートなので、それぞれ次の解放可能パネルを見てみよう。
 まず『使用者の防御力UP』に続く解放可能パネル、『使用者の防御力UP(防御Lv.2)』。必要スキルポイントは5。まずはこれを解放して基礎防御力を上げよう。

 つづいて《強靭盾》に続く防御スキルの解放可能パネルは、《守りの盾》。必要スキルポイントは8。効果は、『パーティ仲間の一人にのみ、《強靭盾》と同じ効果の盾を発動することができる』か。
 ふーーーーーーん。ソロプレイヤーとしては、いらないなぁ。いらないのだけど、ただ《守りの盾》を解放しておかないと、次の防御スキルパネルが解放できないし。仕方ない。解放しておこう。

 ここで防御スキルをもうひとつ解放もできるけど、まぁここは『射程』領域をいってみよう。これまではどうしても、鍬(くわ)という武器の性質上、近接戦闘しかできなかったけど。やっぱり遠くから攻撃できると嬉しいよねぇ。

『射程』領域は、まず初期はひとつのルートだけのようだ。はじめの解放可能パネルは、《波動砲》。これは『前方に向かって、通常攻撃と同じ威力の波動を飛ばすことができる。射程は30メートル』。
 これ、ずっと狙っていたんだけど、なんと解放のために必要なスキルポイントが25も必要だから。ずっと待機させておいたのは、このせい。
『射程』領域は、解放のためのスキルポイントが多めっぽいね。それって、もともと〈スーパーコンボ〉が近接戦闘用のため、遠距離系は苦手ということかな。はい、解放。

 さて。まだスキルポイントは26も残っている。
『打撃』を強化して攻撃特化にいってもいいし、『防御』特化で守り重視もいいよね。

 だけど私の熱い視線は、すでに『栽培』領域に向けられている。すでに《無題》をひとつ解放してあるよね。
 この《無題》パネルは、ようは空白パネル。つまり焦らすパネルともいえる。だから次の《無題》パネルを、スキルポイント5使って解放する。これで、さらに次の解放可能な『栽培』領域パネルの内容を確認できる。

 それは──またも《無題》だった。《無題》、つまり何の強化効能のないパネルが3連続? 一体、『栽培』領域は、どこまで私を焦らす気なのだろう。
 次だ。次こそは、凄い『栽培』スキルパネルが待っているに違いない。
 ギャンブラーって、こんな気持ちなのかな。次こそは、勝つという気持ち。
 というわけで、さらにスキルポイント5で《無題》パネルを解放。
 その次にあったのは──また《無題》! もう、いい加減にしてよ! ここまできたら、またスキルポイント5を使って解放だよ!

 すると──その次の未解放パネルは、《無題》ではなかった。

《耕作:見習い人》という栽培スキルパネル。
 その効果は、
『バトル中。一時的な耕地をつくり、そのバトルに必要なスキルの種を植えて育て、スキル実を収穫できる。収穫したスキル実は一度使用すると効果を終える』。

 やったっっ! なんか、凄いのが出てきたっっ! そのバトル限定で、特殊なスキルを会得できる実を、栽培できるらしい。農家の娘にぴったり。

 よしさっそく解放するぞ──え?《耕作:見習い人》解放に必要なスキルポイントは、120。現在の私のスキルポイントは、11。

 ぜんぜん足りないじゃん!
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