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29,スキル《耕作:見習い人》。
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『栽培』領域のスキルパネル《耕作:見習い人》。
その効果は、『バトル中。一時的な耕地をつくり、そのバトルに必要なスキルの種を植えて育て、スキル実を収穫できる。収穫したスキル実は一度使用すると効果を終える』。
ためしに使ってみようとしたけど、どうやらバトル中でないと発動できないようだ。
このスキル《耕作:見習い人》、効果説明だけでは分からないことが多い。早急に確かめたいのは、次の2点。
その1,『バトルに必要なスキルの種』とあるが、このときのスキル内容は私が決めることなのか、それとも《耕作:見習い人》自体が、バトルの内容から的確に判断してくれるものなのか。
私が決めるとなると、かなりチートすぎるスキルを創造しそうだ。その場合に困るのは、あまりに都合がよすぎるものだと、スキルの実の栽培に失敗するのではないか、ということ。
だとしたら、《耕作:見習い人》自体が決めてくれるほうが、確実でいいのかも。
その2,全体のかかる時間は、どれくらいか。まず手順が多すぎる。耕地を創り、スキルの種を植えて育て、収穫する。
最初から最後まで、どの程度の時間を要するものなのか。他にも細かいところで、理解しておかねばならないことが多そうだ。
さて、《耕作:見習い人》パネルを解放しても、まだ38のスキルポイントが残っている。
そこでまずは『使用者の防御力UP(防御Lv.3)』と『武器の打撃力をUPする(打撃Lv.3)』それぞれの次段階パネルを解放。
『使用者の防御力UP(防御Lv.4)』と『武器の打撃力をUPする(打撃Lv.4)』の解放に成功。
基礎的な攻撃力と防御力は、派手さはないけど、地道に上げておかないとね。
この二つのパネルを解放することで、スキルポイントを12使用した。
残り26のスキルポイントで、《氷打》に続く未解放パネル《爆雷舞》を解放。
これは《爆打》と《雷打》の効果をあわせ、相乗効果で威力も増幅した連続攻撃。解放に必要なスキルポイントは、22だった。
これで残りは4で、とくに解放できるパネルもないので貯金にまわす。
「とりあえず、いったん帰ろうかな。しかし、100階まで攻略したのに、その証拠を得られないのは残念──うん? なんだろ、これ?」
【覇王魔窟】100階フロアの片隅に、エメラルドグリーンの水晶体がぷかぷか浮いている。先ほどまでは、こんなものはなかった。
なんとなく手をかざしてみると、脳内で女性の優しい声がした。これは耳が嬉しがる声だ。美人さんに違いないっっ!!!
〔はじめまして。私は【覇王魔窟】でのサポートを担当する、アリエルよ〕
「はぁ。はじめまして」
100階攻略してはじめて、サポート要員がついた。つまり【覇王魔窟】を創った古代神からしてみたら、最低ラインが100階なのだろう。100階にさえたどり着けない雑魚に用はない、と。初心者の領域は終わるわけか。
〔あなたのお名前は、アリアでよろしいわね? アリア。この100階に、あなたの攻略記録を登録するわ。次回から、あなたは100階から攻略を再開することができるのよ。ちなみに次の攻略記録ポイントは、200階の魔物を撃破したときに現れます〕
すると、その次は300階かな? とにかく、攻略記録ポイントの制度が出てきたので、毎回1階から始めなくて済むようだ。
私は呟いた。
「こんな便利機能があるなんて、誰も教えてくれなかった。どうしてだろう?」
ジェシカさんは、知らなかった可能性が高い。ジェシカさんはエルフ族として、【覇王魔窟】の歴史や一般知識には詳しい。ただエルフ族は【覇王魔窟】には入れないので、内部の詳細情報は知りようがない。
そして〈挑戦者(ディファイアンス)〉を要する各組織にとって、【覇王魔窟】内で得た情報は、門外不出。よって公表されてはいない事実も多々。
そもそも100階までたどり着く者も、そう多くはないだろうし。ライオネルさんあたりはたどり着いたことがありそうだけど、聞かれもしなければ教えるようなことでもないだろうし。
とにかく、次回から望めば、100階より始められるのは有難い。もちろん、また1階から初めて、魔素稼ぎをしてもいいわけだ。選択肢が広がるのは、ベロニカさんが魔物化する前に、あの少年くんを撃破せねばならない身としては、良いことだ。
〔アリア。ソロプレイヤーが100階までたどり着いたのは、165年ぶりのことよ。それに最年少だわ。みんな、あなたに期待しているのよ〕
なんだろう。今の言葉は、凄く自我を感じられた。攻略記録ポイントの説明とかは、別に自動音声とかでも済んだことだけれど。
「あの、ありがとうございます」
しかし、もうアリエルさんはいなくなっていた。私は〈緊急脱出トンカチ〉を取り出して、ポカッとやった。
【覇王魔窟】の表に出る。そこでは、ジェシカさんとミリカさんが、キャンプしていた。
「外に出たら、ジェシカさんとミリカさんに出会えるなんて。これは偶然ですねっ!」
ミリカさんは喜んでくれたが、ジェシカさんは不機嫌そうな顔だ。
「偶然じゃぁない。ボクたちは、キミが出てくるのを待っていたんだ。キャンプしているところで気づけ。で、アリア。キミは、どこの階まで攻略したの?」
「100階ですっっ!」
『100階攻略おめでとう』祝賀会を開いてくれるかな、と期待したけど、ぜんぜんそういう感じじゃなかった。
「ならキミは、かなり強くなったね。たぶん、この国ではもう5本の指に入るくらいに」
「それは大袈裟じゃないですか。冒険者ギルドとか、騎士団とかには、もっと腕利きがゴロゴロいるでしょう」
「いないのかもよ。だって、誰も討伐できてないもん」
「何をですか?」
「キミのせいで解き放たれた、ドラゴンだよ。キミがのんきに【覇王魔窟】攻略しているうちに、33の町が焼かれ、討伐に挑んだ騎士団は壊滅状態。冒険者ギルドでも、精鋭パーティが潰されたそうだ。誰も、勝てないんだよ」
「…………………え? なんで、私が原因みたいになっているんですかっっ!」
「いいから、さっさと討伐してきなよっっ!」
「何をですか?」
「だからドラゴンに決まっているでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
えーーーーーーーーーーーーーー。
その効果は、『バトル中。一時的な耕地をつくり、そのバトルに必要なスキルの種を植えて育て、スキル実を収穫できる。収穫したスキル実は一度使用すると効果を終える』。
ためしに使ってみようとしたけど、どうやらバトル中でないと発動できないようだ。
このスキル《耕作:見習い人》、効果説明だけでは分からないことが多い。早急に確かめたいのは、次の2点。
その1,『バトルに必要なスキルの種』とあるが、このときのスキル内容は私が決めることなのか、それとも《耕作:見習い人》自体が、バトルの内容から的確に判断してくれるものなのか。
私が決めるとなると、かなりチートすぎるスキルを創造しそうだ。その場合に困るのは、あまりに都合がよすぎるものだと、スキルの実の栽培に失敗するのではないか、ということ。
だとしたら、《耕作:見習い人》自体が決めてくれるほうが、確実でいいのかも。
その2,全体のかかる時間は、どれくらいか。まず手順が多すぎる。耕地を創り、スキルの種を植えて育て、収穫する。
最初から最後まで、どの程度の時間を要するものなのか。他にも細かいところで、理解しておかねばならないことが多そうだ。
さて、《耕作:見習い人》パネルを解放しても、まだ38のスキルポイントが残っている。
そこでまずは『使用者の防御力UP(防御Lv.3)』と『武器の打撃力をUPする(打撃Lv.3)』それぞれの次段階パネルを解放。
『使用者の防御力UP(防御Lv.4)』と『武器の打撃力をUPする(打撃Lv.4)』の解放に成功。
基礎的な攻撃力と防御力は、派手さはないけど、地道に上げておかないとね。
この二つのパネルを解放することで、スキルポイントを12使用した。
残り26のスキルポイントで、《氷打》に続く未解放パネル《爆雷舞》を解放。
これは《爆打》と《雷打》の効果をあわせ、相乗効果で威力も増幅した連続攻撃。解放に必要なスキルポイントは、22だった。
これで残りは4で、とくに解放できるパネルもないので貯金にまわす。
「とりあえず、いったん帰ろうかな。しかし、100階まで攻略したのに、その証拠を得られないのは残念──うん? なんだろ、これ?」
【覇王魔窟】100階フロアの片隅に、エメラルドグリーンの水晶体がぷかぷか浮いている。先ほどまでは、こんなものはなかった。
なんとなく手をかざしてみると、脳内で女性の優しい声がした。これは耳が嬉しがる声だ。美人さんに違いないっっ!!!
〔はじめまして。私は【覇王魔窟】でのサポートを担当する、アリエルよ〕
「はぁ。はじめまして」
100階攻略してはじめて、サポート要員がついた。つまり【覇王魔窟】を創った古代神からしてみたら、最低ラインが100階なのだろう。100階にさえたどり着けない雑魚に用はない、と。初心者の領域は終わるわけか。
〔あなたのお名前は、アリアでよろしいわね? アリア。この100階に、あなたの攻略記録を登録するわ。次回から、あなたは100階から攻略を再開することができるのよ。ちなみに次の攻略記録ポイントは、200階の魔物を撃破したときに現れます〕
すると、その次は300階かな? とにかく、攻略記録ポイントの制度が出てきたので、毎回1階から始めなくて済むようだ。
私は呟いた。
「こんな便利機能があるなんて、誰も教えてくれなかった。どうしてだろう?」
ジェシカさんは、知らなかった可能性が高い。ジェシカさんはエルフ族として、【覇王魔窟】の歴史や一般知識には詳しい。ただエルフ族は【覇王魔窟】には入れないので、内部の詳細情報は知りようがない。
そして〈挑戦者(ディファイアンス)〉を要する各組織にとって、【覇王魔窟】内で得た情報は、門外不出。よって公表されてはいない事実も多々。
そもそも100階までたどり着く者も、そう多くはないだろうし。ライオネルさんあたりはたどり着いたことがありそうだけど、聞かれもしなければ教えるようなことでもないだろうし。
とにかく、次回から望めば、100階より始められるのは有難い。もちろん、また1階から初めて、魔素稼ぎをしてもいいわけだ。選択肢が広がるのは、ベロニカさんが魔物化する前に、あの少年くんを撃破せねばならない身としては、良いことだ。
〔アリア。ソロプレイヤーが100階までたどり着いたのは、165年ぶりのことよ。それに最年少だわ。みんな、あなたに期待しているのよ〕
なんだろう。今の言葉は、凄く自我を感じられた。攻略記録ポイントの説明とかは、別に自動音声とかでも済んだことだけれど。
「あの、ありがとうございます」
しかし、もうアリエルさんはいなくなっていた。私は〈緊急脱出トンカチ〉を取り出して、ポカッとやった。
【覇王魔窟】の表に出る。そこでは、ジェシカさんとミリカさんが、キャンプしていた。
「外に出たら、ジェシカさんとミリカさんに出会えるなんて。これは偶然ですねっ!」
ミリカさんは喜んでくれたが、ジェシカさんは不機嫌そうな顔だ。
「偶然じゃぁない。ボクたちは、キミが出てくるのを待っていたんだ。キャンプしているところで気づけ。で、アリア。キミは、どこの階まで攻略したの?」
「100階ですっっ!」
『100階攻略おめでとう』祝賀会を開いてくれるかな、と期待したけど、ぜんぜんそういう感じじゃなかった。
「ならキミは、かなり強くなったね。たぶん、この国ではもう5本の指に入るくらいに」
「それは大袈裟じゃないですか。冒険者ギルドとか、騎士団とかには、もっと腕利きがゴロゴロいるでしょう」
「いないのかもよ。だって、誰も討伐できてないもん」
「何をですか?」
「キミのせいで解き放たれた、ドラゴンだよ。キミがのんきに【覇王魔窟】攻略しているうちに、33の町が焼かれ、討伐に挑んだ騎士団は壊滅状態。冒険者ギルドでも、精鋭パーティが潰されたそうだ。誰も、勝てないんだよ」
「…………………え? なんで、私が原因みたいになっているんですかっっ!」
「いいから、さっさと討伐してきなよっっ!」
「何をですか?」
「だからドラゴンに決まっているでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
えーーーーーーーーーーーーーー。
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