「リスポーン地点は魔王の城でした。」

師芭

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第1章

Ⅰ―Ⅰ

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 僕はいずれにしても悪者だった。
 そんな悪者の僕には勇気と呼べるものは無く、何かをやり遂げようとする力も無かった。でも……そんな自分を変えてくれる転機は無いわけでは無かったのだ。
 
 地球という惑星の日本という国に住む一般的な男子高校生の僕は、別に何かを望んだりしていなかった。
 確かに老後は静かに暮らせたらとか、そういった思いはあったけど。あったけども夢や希望なんか追い掛けるのは自分には性が合わない気がした。
 僕はつまらない人間だと自分でも自覚している。それを変えようとは思わない。だって、変えた所でいつもの日常に変化が訪れる事も無いのだから。
 



 ………無いはずだったんだけど。
 眼前の光景に目を瞬かせた。僕の眼には、洋風な広間と横から延びる二つの螺旋階段が映っている。そして全体的に禍々しいオーラを放っていた。
 「…っえ」
 あまりにも急すぎて、脳が現状を処理出来ていない。確か、僕は自室のベッドでゲームをしてて…それで…それで、ゲームに付属しているペンを落としたから拾おうとして…ベッドから落ちたんだ。
 
…………で?いやいや、なんでそれでこんな事になるんだよ。ていうか、ここ何処だよ!?
  脳が現状を理解し始め、次第に焦燥感が何処からか沸いてきた。
 そして、焦燥感が混濁した頭で必死に考え最も有り得るような結論を出した。
 
…夢?…なのか?これ。
 確かにゲーム中に寝てしまった気がする。
 
 そう思ってしまえば途端に気が楽に感じた。そうだ夢ならば、こんな場所にいるのも説明がつくし起きてしまえば、またいつもの日常だ。
 
そうと決まれば、こんな夢から、さっさと目覚めよう。そう思い、両手の平を顔に思いっきりぶち当てた。
 「っ!?」
 痛みにより顔を歪ませた。自分がした事なのに、それとなく自身に怒りを覚える。しかし、憤慨してる場合ではない。痛みを和らげるように頬を撫でる事の方が最優先事項だ。
 

いや、そうじゃなくて。え?え?夢の中って確か痛みを感じないんじゃ…?
 もっかい、やってみるか…?今度はもう少し、控えめに……。ゴクリと喉を鳴らして、再び両手の平を構えようとした…その瞬間。
 

「何者だぁ!?」
 

なんか奇妙な声が聞こえた。何か例えるならば、モンスターその1の様な…いや、それは見た目か……。え?モンスター?
 
   そう、僕の前にはモンスターが立っている。割と…いや結構、弱そうだ。丸い顔から手と足が生えていて、ひとつ目。黄緑色だったら、どっかにいるなと感じさせる容姿だが、残念ながら色は黒だ。
 
   その弱そうなモンスターは僕に何者だ!?と迫るが、僕こそモンスターに何者だ!?と問いたい。いや、モンスターか。
 冷静にそんな事を考えてると、モンスターは仲間を呼んだようだ。
 
ぞろぞろと、色々な姿形をしたモンスターが現れた。所々、姿は同じだが色が違うというのも見受けられる。ゲームに出てくる典型的なモンスターの群れみたい。
 

  
  モンスターはこちらへ迫って来た。そうだ!ここは夢の中。ならば別にこのモンスターを倒せるんじゃないか?僕はさながらゲームの主人公の様にモンスターに向かって行った。第三者の目からしたら大分、愚かで滑稽な行動だろう。何せ、地球生まれ日本育ちで平々凡々に暮らしてきた高校生が武器一つ持たず拳を上に構え発狂しながら、複数のモンスターに突っ込んでいくのだから。


 案の定、僕はモンスター達に蹂躙される事となる。体には今まで生きてきて感じたことの無い激痛が走り、四肢は動かなくなってしまった。しかし僕はそんな状態にも関わらず、夢が覚めてくれさえすれば良いと薄れゆく意識の中、考えていた。
 
 






 
 …目を開けたらそこは、自室などでは無かった。しかし、知らない場所という事でも無い。眼の前には洋風な広間と横から延びる二つの螺旋階段。そう僕は、さっきまで立っていた場所にまた戻っている。辺りにモンスターはいなく、モンスターにやられた傷も見当たらない。

 夢の中で夢を見ていたのか?そんな事が頭によぎるが、何となく違う気がした。それが何故なのかは分からないけど、勘ってやつかもしれない。

 いつの間に緊張していたのか、脈打つ鼓動は速くなり汗がプツプツと肌に浮き出ている。


 「…とりあえず、ここが何処なのか調べてみよう」


 緊張をそうする様に生唾を飲み込み、キョロキョロと辺りを見渡す。

 見えた範囲では、ここが何処なのかは分からない。螺旋階段の先には多くの扉が植え付けられていて、僕のいる階には左右対象に扉が一つずつある。

 何処から行こうか…。

 こういう時、僕は必ず右へ行く。理由は単純、僕は右利きだから。そう思いながら一番、手頃な階にある右の扉へ足を進める事にした。
 

 奥に何かを感じさせるような扉に手をかける。はたして開いてるのだろうか?

 ガチャリ

 小気味良い音が響く。あ、まずい。こんな盛大な音をたててしまったら、あいつらに気付かれる……。
 「何者だぁ?」
 振り向いた時には遅かった。この瞬間、夢だと思いたかったのは、もしかしたらこいつらがここに居たからなのかもしれない。

 
 ▼モンスターの群れがまた現れた

 
 とテロップで出てきそうなこの状況。瞬間、前にモンスターにやられた痛みが傷の無い体から感じた。

 僕は、もう群れに突っ込んで行く勇気は無かった。
 手にかけてある扉を勢いよく開け走り出す。扉の先の廊下は障害物など無い一方通路。モンスターの群れは、我先にと僕の元へ迫って来る。
 
 そして、運は僕に味方しなかった。廊下は行き止まりとなっている。その終点を告げるようにゲームで見る宝箱らしき物が一つ。詰んだという文字が頭に浮かぶ前に宝箱を開けた。
 


 それは宝箱を模したモンスターだった。
 
 
 





 …目を開けると、洋風な…。またここか。

 ……いや、痛みも感じなかったよ?宝箱のかたちしてる癖に丸呑みしてくれたよ?胃液で一瞬だったよ…。

 …三度目の正直だか、仏の顔も三度までだか知らないけど取り敢えず、何となく分かってきた事がある。

 『これは夢ではない』

 確証はないけど、やけに自分の呼吸や物に触れた時の感触という様な細かい事が生々しく感じるからだ。

 夢ではないという事は、現実なのか?でもこの光景は自分の知っている日常ではない。じゃあ、なんだ?と言われれば何も言えないが、しいて言えばゲーム。そうまるで、ゲームの世界に入った様な感覚なのだ。


 自分にしては痛い結論だと思う。だって、漫画や小説みたいな物語のお話だ。でも本当に確かなのは今、この瞬間、僕はこの世界にいるということ、しっかり存在してるという事。


 何だか、それさえ確かめれば今の状況が分からなくたって不安には思わなかった。それよりもゲーム好きの性か、嬉しさが増している。それを、そう思わせたのはいずれ分かる時が来るという予感がしていたからかもしれない。

 何にせよ、僕はこの世界で冒険する事を心に決めたのであった。
 


 色々と考えあぐねていると僕が先程、入って行った右の扉から話し声が聞こえた。咄嗟に螺旋階段の裏に隠れる。


 「一体、何…起こってい…んだ…?」


 「わからん、ただこの…に何者かが…してる事は…だな…」


 微かだが、会話は聞き取れた。しかし内容までは聞こえない。

 話し声が通り過ぎていくのを確認して、今の会話を整理する。

 何者かが…。僕の事か?それとも他の誰かか…。そういえば僕はまだ何も知らないのだ。ついさっきまで浮かれていた自分を叩きたい。あ、でも確か一回叩いた。


 ゲームは情報が命だ。そう思いながら、広間に立つ。ここから見える景色もかれこれ4回目だ。

 普通のゲームとはスタート地点は違うけど、取り敢えずクリアを目指そう。僕は足を左に向け歩き出した。
 



 
 結局、左の扉を行った先は同じ行き止まりでしかも落とし穴付きだった。螺旋階段を行った先の多くの扉は右から順番に見に行ったんだけど、どれも罠ばかりだった。

 そして、結果的にゲームオーバーした回数は10回近くになった。それで僕は分かった事がある。


 1つ目は、僕はある一定のダメージを受ける(ゲームオーバーする)と最初の広間に戻される。


 2つ目は、ゲームオーバーしたら戻されるのに何分か時間がかかる。


 3つ目は、何分かの時間は自分にとって一瞬のことに感じる。


 最初に復活した時、辺りにモンスターがいなかった事も証明されるわけだ。

 まぁ、そういう事が分かったのは良いんだけどさ…、もう全ての扉を行ったんだけど一向にここが何処だか分からないんだよ。


 何これ?どうすればいいの?
 螺旋階段の裏で悲劇の勇者の様に床に手をつけ座り込む。ひんやりして気持ちいい。


 「いやぁ、魔王様も困ったもんだぁ」


 急に近くから、大きな独り言が聞こえた。どうやら声の主は階段を降りている所の様だ。

 思わず、背筋をピンと伸ばし体を硬直させた。そして、勢い良く頭を螺旋階段の裏面にぶつける事となる。


 「いっ!?」カチッ


 咄嗟に口を手でおおい隠す。危なく声をあげる所だった。

 え…?何カチッて?

 瞬間、床が抜けて僕は下に落ちた。
 
 
 僕は見事に尻から着地した。目を開けると見えたのは長く延びる廊下。やけに豪華な絨毯が敷いてある。


 まさか!隠し通路!?
 やっと見つけた新たな道。興奮が抑えられない。鼓動が速いとにかく速い。ジンジンとする頭と尻をさすりながら、迷いようのない廊下を歩いた。
 
 

 一方通路の終着点は宝箱でも落とし穴でも無く、やたら豪勢な両開きの扉だった。今まで何回も味わってきた激痛は無駄では無かったのかもしれない。一瞬、思い出に浸りそうだったが我を戻し深呼吸。


 そして意を決して扉を開けた。


 …………


 …………

 眼の前には、ワカメみたいなウェーブがかかっている長髪で頭から角を生やした青年。こっちを凄い凝視してる。目が乾くんじゃないかと思うぐらいめっちゃ見開いてる。
 

  「…………」


 無言でこちらに向かって来た。え。何。怖い怖い。


 「ようこそ!!待っていたぞ!!勇者よ!!」


 バッと手を広げ、あっはっはと笑う青年。…え?僕、勇者?


 「我こそがこの世界を牛耳る魔王なり!!」


 何か…可哀相に見えてきた。……ん?この人、魔王なの?


 「さぁ!今こそ決戦のとき!!!」


 え?いやいや無理無理。僕、武器なんか持ってないし。取り敢えず、話を


 「あの…」


 「ん?何だ勇者よ、さぁ早く戦い給え」


 「僕…武器持ってないですけども…」


 うん。武器とかあったらモンスターにもやられなかったよ。多分。


 「……………へ?」


 魔王は、さっきまでの形相から急に間抜けな顔になった。


 「あの…えっとですね…僕もよくわからないんですが…」


 つらつらと体験した事を話す。魔王も相づちをうったりして話を聞いてくれた。割と良い奴だな。ごめん、さっきの撤回。


 「…ということは、お前は何者なのだ?」


 え、モンスターと同じ事言うんだ。


 「人間です…そこら辺にいる感じの…」


 本当に平々凡々な人間の僕には他に言う事はない。


 「…ただの人間が我が城に気が付いたら入っていたと?」

 あ、何かやばそうだ。怒ってる気がする。そりゃ、そうだよただの人間が気が付いたら魔王の領地に入ってるんだもん。


 「それで、お前は何をしたいのだ?」


 床を這うような低い声で僕に迫る魔王。正直言って、凄く怖いです。今すぐ逃げたい。

 「…冒険が…したかったです…」

 過去形で話しちゃった。

 「冒険…か」

 あぁ、僕の冒険もここで終わりか…。倒されたらきっと、またあの広間からなのかな?きっと僕の顔は絶望で溢れていたであろう。
 



 「ならば我と共に冒険しないか?」
 



 「…え?今……何て……?」 
 僕は恐らく大分滑稽な顔をしていたと思う。でも、きっと誰だってこうなるに決まってる。


 「だから!我と共にこの世界を冒険しないかと聞いているんだ!」


 何、おっしゃってるか分からないんですけど!?魔王と一緒に冒険!?無理無理無理無理無

 「断ったら今すぐ消し炭にする」
 「やらせて頂きますっ」


 …………言っちゃったぁ。


 「よし!ならば共に歩もう!相棒よ!!」




 バッと手を広げ、声高々に叫ぶ魔王。そして、もう既に後悔をしている僕。
 







 こうして望むことをしなかった僕は、魔王と共に冒険をする事になりました。
 
 

 その冒険という言葉の響きに少し心を踊らせて。
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