異世界冒険のご褒美は、大陸の覇権⁉︎

圭太郎

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第1篇 : ケモナー男子高校生、ケモナー冒険者にJob-change!

1 ≪俺、これから冒険者として生きてみる≫

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 「おーい、起っきろー起っきるのニャー」…んんっ何だ?「おーい、起きろって言ってるじゃないかニャーっ」「キョースケ、早く起きるニャー!」今俺、呼ばれた?てか、何でこいつ俺の名前を知ってんだ?不思議に思いながらも俺は目を開けた。するとそこには、今まで見たことのない景色が広がっていた。

 「お、やっと起きたかニャ、待ちくたびれたのニャー」声のする方を振り返ると、そこにいたのは「獣人種ワービーストっ」「ん、どうしたのニャ?私のカオに何かついてるかニャ?」声のする方にいたのは、俺もよく知る、というか俺の大好きな猫耳を生やした女の子だった。

 よく見るとこの子、頭には猫耳を生やしているし、お尻には尻尾もついてる、ついでに言うと手には肉球もついているじゃないか!!そんな好奇心を抑えつつ俺は尋ねた。「な、なあいきなりで悪いがココはどこなんだ、あと何で俺の名前を知っているんだ?あ、それと君のことについても教えて貰えると助かる」

 すると、その女の子は待ってましたとばかりに口を開いた。
 「ここの名前は!私達、亜人種が営む冒険者のためのギルドの街《ヴィースタ》そして私は、この街で冒険者のために《ストリート・プロテクター》略してSPをしているのニャン」
…なるほど。俺たちの世界でいうところの警察みたいなもんか…。

 「あ、じゃあそのSPの君が何で俺の名前を知ってんだ?」これを知るのは大切なことだった。恐らくだが、ココは俺の住んでた世界とは違う、多分異世界と呼ばれるところだ。そんな場所で俺の名前を知っているならば、俺がここにいる理由を知っているかもしれない。
「それは、ほらソコ、後ろキョースケの後ろに財布が落ちてるニャ、その中からガクセイショウってのが出てきたニャ。だから名前がわかったのニャン」そうだったのか、だからこの子は俺の名前を知っていたのか。

 「あ、じゃあ君の名前聞いてもいいかな」、そう尋ねると女の子は勢いよく首を縦に振った。「わかったニャ、だけど条件があるニャ」「お、おう」条件というのが気になったが、とりあえず今は素直に聞いておこう。、「まずは私はヒナタ、17歳、獣人種キャットピープルの一族ニャ、そしてさっきも言った通り、私はここのSPをしているニャ」
なるほど思った通りだった。やっぱりこの子は獣人種だった。
それはいいとして、この子条件があるって言ってたな。一応聞いとくか。

 「なぁ、名前はわかった、ありがとう」「ところで条件って何だ?」そう尋ねた途端ヒナタの目が泳ぎはじめた、よく見ると少し冷や汗もかいている。
「あのー、条件っていうのはぁキョースケの旅にぃ、私をSPとして連れて行って欲しいのニャア」そう言ってヒナタは黙ってしまった。こんな可愛い子が俺と一緒に旅をしたいって言ってくれるのは正直とても嬉しい、さっきは突然のことで何が何だか分からなくて軽くパニックになってたせいでヒナタをよく見てなかったが、今よくよく見てみると、小柄だが、胸やお尻は程よく出ていて、ウェストはキュッと引き締まっている。手足は細く、いかにも獣人らしく所々ふわふわしていそうな栗色の体毛に覆われている。17歳という年の割には小柄なせいか少し幼くも見える。

 おっと、そう言えばヒナタは俺の旅について行きたいとか言っていたな…。
「ちょっと待て、旅って何だ。」するとヒナタは不思議そうに首を傾げて言った。「何だって?この世界では17歳になったら旅に出るのが普通だにゃん?だからキョースケもこの街に来たんじゃないのかニャ?」何?そんなこと初めて知ったぞ。「いや、俺は目が覚めたらっていうか、お前に起こされたらここに居たからな、そんな話は知らんぞ。」「だから俺は旅をするつもりはない」ていうか早く家に帰りたい…。まだゲーム始めたばかりなんだよなぁ…、俺がそんなことを考えていると、ヒナタは俺の話は聞きませんでした、とばかりに話し始めた。

 「じゃあ、この世界のルールを初めから教えてあげようかニャア」そう言って彼女はイタズラっぽく微笑むと、何もなかったはずの空中からタブレットの様なものを取り出して説明を始めた。

 「まず初めに、さっきも言ったけど、この街は冒険者のための街で、冒険者になるために、この世界の住人は17歳の誕生日を迎えると皆この街に集まってくるんだニャア」「なるほどな、で、冒険者って言うからには魔王を討伐したりすんのか?」「そもそも、この世界に魔王はいるのか?」「いや魔王はいないんだけどニャア、ちょっと複雑なことになってるんだニャア」「ん、何だ、複雑なことって」

 「それはだニャア、この世界で今私たちが居るのは、この世界の空の中空に位置する浮遊大陸センター・オブ・フロスティアっていう大陸の更に中心に位置する街なんだニャア」

 「で、この浮遊大陸の遥か下にはたくさんの大陸が広がっているニャ」「ちょっと待つニャ」そう言ってヒナタは図鑑を開いた。「あった、あったこれニャ」そう言うと、図鑑にある国旗というか大陸の識別旗チェック・フラッグを指差しながら言った。

 「ここに載っているのはニャア、かつては栄えていた十七の大陸のことだニャ」「かつては?じゃあ今はもうないのか?」「話を最後まで聞けニャ」「すまない、続けてくれ」「十七の大陸のうち、いくつかは戦いで滅んでしまったのニャ」

 「でもそれ以外の大陸は他大陸と戦争をした訳でもないのに滅んでしまったのニャ。なんでか分かるかニャ?」いきなりの質問で戸惑う俺の顔に気づいたのか、その先を話し続けた。

 「それは、ある瘴気しょうきが発生したからだニャ」「瘴気?」「そうニャ、その瘴気が他大陸を滅亡に導いたと云われているんだニャ」「でもそれって昔の話なんだろ、もう終わった事なら俺達には何の関係もなくね?」

 するとヒナタは俺を蔑む様に言った。「はぁ~、キョースケは本当に救いようのないバカだニャン」「私達に関係のない昔話をする訳ないニャ」「この話は昔話っちゃー昔話だけど、今も続いてる話なのニャン。だからこの話をしているんだニャン」「確かにそうだな」ヒナタの言ってることはわかった。確かにただの歴史なら別に今話す必要はないのだ。
 では何故こんな話をしたんだろうか、ヒナタはこの話は今も続いていると言った。どういうことだろうか。

 「なぁ、ヒナタ。何となく理解は出来るんだが、お前は今も続く話だって言っていたよな、そりゃ一体どーゆーことなんだ?」「それはニャ、この瘴気の正体がまだ解明されてないからだニャ」「で、それを解明しようとする研究者や冒険者が数えきれないほどこの街から旅立って行ったのニャ」「それでもまだ解き明かされてないのか…。」俺の呟きにヒナタは力無くうなづいた。「そうだニャ…、旅立って行った奴は一人も戻ってこないんだニャ、ダイチも戻って来なかったニャ…。」

 「ダイチ?」「私の幼馴染おさななじみニャ、アイツは冒険者の中でも優秀なイイヤツだったニャン…。」俺は何と声を掛けていいかわからなかった。

 しばし、沈黙が続いた。「……」しばらくしてヒナタが口を開いた。「申し訳ないニャ、暗い気持ちにさせちゃったニャ」「いや、大丈夫だぞ。辛かったな、初対面のヤツが何言ってんだって思うかもしれないけど、辛い事や悲しい事があった時は無理に我慢しなくていいぞ。」そう言った途端、彼女の頰を一筋のしずくが伝っていった。彼女のその二つの蒼い瞳は涙に濡れ、サファイアの如くあおく輝いていた。ヒナタは黙って泣いていた。さっきまでの彼女とは別人のようだった。

 しばらくして、泣き止んだ彼女は言った。
「見苦しいとこ見せちゃったニャ、でもありがとうニャ」そして彼女は笑った、真夏の太陽に咲く向日葵ひまわりのように。泣いている彼女も美しかった、けれどやっぱりヒナタは笑っている方が似合っていると思った。「さあキョースケ、まだ話は終わってないからニャア、ていうかここからが本題だからニャ」さっきの涙はどこへやら、いつの間にか元気を取り戻したヒナタの姿がそこにはあった。

 「さっき、旅に出た者は戻らなかったって言ったよニャア、その理由は彼らが瘴気を吸い込んだことによる『アンデッド化』が原因なのニャ」「アンデッド化?」「そうだニャ」

【アンデッド化】:瘴気を吸い込んだ者が理性や人としての感情を失い、見境なく周囲の街はおろか人や獣などを蹂躙じゅうりんする生ける屍リビングデッドとなること。

 「アンデッド化した者は自分が何者なのかも忘れ、ただ殺戮さつりくのために生きているニャア」「一説によると、アンデッド化した者たちが大陸を破滅させたという話もあるのニャ。今はこの説が有力ニャ」確かに、アンデッド化した者は人や街を襲う、また更に死なないのだからその数は増える一方だ、そうなれば大陸がいくら強大な国家を保有していたとしても滅亡するだろう。俺はやっと納得がいった。そして、ヒナタはこう付け加えた。「瘴気は、アンデッド化の原因になること以外まだ何も分からない。そう、どこに出現するのかも…」そこで俺の記憶は途切れた……。

 
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