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第2章『黙した傷の在処、語らぬ想い』
29.未完を宿す推論-1
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——朝。
ベッド横のチェストの上で、ラザラスのスマートフォンが『ムー、ムムー』と震え始めた。
2回目なので、分かる。あれはエスメライからの着信だ。
ロゼッタが(影の中で)半分寝ぼけている間に、ラザラスはモゾモゾと布団から抜け出し、電話に出た。
「もしもし? あー、いえ、お気になさらず……って、ロゼッタですか?
分かりました、伝えます……いやいや、緊急事態ですよね? 間に合わなくても文句なんて言いませんよ!」
(えっ!? わたし!?)
またエスメライからラザラス経由で呼び出しが掛かったらしい。
流石に頭が働いてきた。
ぬるりと影から飛び出し、ラザラスの前に立つ——相変わらず、彼の顔は包帯まみれだ。困ったことに、全く腫れが引いていない。
(番組収録ってやつ、今日だったよね……?)
結局、間に合わなかった。
こんな状況でエスメライからの呼び出しに応じて、大丈夫なのだろうか……?
ロゼッタが悩んでいると、ラザラスの方から声が掛かった。
「気にせず行ってきて欲しい。どうせ、放送局行くのは夕方だしな」
「ラズさん……」
「間違いなく緊急事態だし、優先順位は呼び出しの方だ。エスラさんにも言ったけど、間に合わなくても大丈夫だから」
せめてと思い、寝起きのラザラスに『感影』と『聴力強化』を掛ける。最悪これがあれば、どうにかなるはずだ……少なくとも、日常生活は。それだけは。
「毎日悪いな。それじゃ、俺は……君を待ってる間に目が開くことを祈る作業をするよ」
「あははは……」
それは絶対に無理だ。
どれだけ祈ろうが叶うわけがない。
悲壮感しかないラザラスを見ながら、ロゼッタは拠点に移動した。
◯
「あっ! ロゼッタ! 朝からごめんな!?」
とりあえず中庭に転移してみると、ロゼッタの存在に気づいたエスメライが飛び出してきた。
「あんたなら行けると思って、確認無しに呼んじゃったんだけどさ……あんた、『体魄強化』って使えるかい?」
——体魄強化。
それは身体強化系統の術のひとつだが、唯一『中級』に分類されるものだ。軽く使用するだけでも相当な魔力消費が発生するため、使える人間は限られるという記載があった。
「えっと、なんだったかな……例えば、病院の先生が患者さんに使うような……生命力の強化、でしたっけ?」
「そう、それ!」
……それをラザラスに使えば、目の回復が早まったのだろうか?
一瞬そんなことを考えてしまったのだが、この術を求められた時点で誰かしらが“危険な状態”であることはほぼ確定だ。急いだ方が良さそうだと判断したロゼッタは辺りを見回し、適当な観葉植物に目をつける。
「ロゼッタ……?」
「すみません、絶対に失敗したらダメなやつって判断したので……予行練習、させてください」
観葉植物に向かって手をかざす。
魔力が心臓から手を伝い、流れる。
「【体魄強化】!」
ぶわりと、風が巻き上がるような感覚がした。
練習に付き合ってもらとた植物を一瞥すると、心なしか喜んでいるように見える、気がする。
「た、たぶん、行けますね。少なくとも爆発とかはしないかと……」
「爆発したら困るなぁ。まあ、失敗されても死にはしないと思う。
これ、今までは放置してた案件なんだ。だから、あんまり気負いすぎずに受けてよ」
エスメライは苦笑しつつ、「着いてきて」とロゼッタを手招きする。
階段を登りながら、背を向けたまま、彼女はぽつりと呟いた。
「でも、できたら……助けてやって」
「……」
放置してた案件、というよりは“放置するしかなかった案件”なのだろう。
その時点で必然的に、危険な状態に陥ったのが誰なのかも見えてくる——ステフィリオンの中で体魄強化を使えそうな人物は、ひとりしかいないからだ。
(あ、分かった。全部繋がった。ふーん、そりゃ『言いたくない』よねぇ……)
頑なに黙秘していたが、それは“彼”が、痕跡を隠した上でこの術を普段使いしていたためだろう……当たり前だ。こんな術を使いながら生活している事実を、不用意に晒せるはずが無い。
もはや弱点のレベルを、遥かに超えてしまっている。
(嫌だもう! 本っ当に嫌い!!)
一部の家具を覗けばほぼ何も無い、虚無に等しい部屋に通される。
ベッドの上で、彼はひたすら荒い呼吸を繰り返していた。
どうやら意識は無いらしく、部屋に人が入ってきたというのに無反応だ。
「……」
黙り込んでしまったロゼッタの肩を、エスメライが叩く。
「ロゼッタ?」
そもそも自力で呼吸ができていないようで口元が何かで覆われているし、右手首には点滴の管が複数繋がっている……苛立ってしまった。
ロゼッタは肩に乗ったエスメライの手を片手で払い、容赦なく部屋に入っていく。
「……」
部屋の主を、見下ろす。
顔色が悪く、冷や汗が浮いている。
「苦しいだろうし、一発で決めてあげようじゃん?」
もはや冗談抜きで粉雪にすら攫われて行きそうな状況と化している男——クロウの胸に手を当て、ロゼッタは叫んだ。
「ッ、【体魄強化】!!」
これでもかと魔力を込めたせいで、そこそこ強い風が吹いた上に、派手に部屋が光ってしまった。点滴が吊るされている台が、大きく傾く。ロゼッタは苛立ちながら、もはや何も見ずにそれを掴む。
流石にやりすぎたかもしれない。隣の部屋に風と光が漏れた可能性があるが、特に誰もこない。支障はなさそうだから、良しとする。
強いて言えば、背後で軽く震え上がってしまったエスメライが問題だろうか。
「え……っ、えっ!?」
彼女はほんの少しだけ顔を青くしながら、口を開く。
「ちょ、ちょ、ちょっと……ロゼッタ……?」
「嫌いなので」
「ロゼッタ……!?」
「嫌い! なので!」
どうしてここまで腹が立つのか分からないが、今回ばかりは一切悪いことはしていないのだから許して欲しい。
ちらりとクロウを一瞥すれば、酷く乱れていた呼吸が落ち着いていた——呼吸が止まっていないことに少し安堵したのは、秘密だ。
ロゼッタは手を離し、深く息を吐き出す。湧き出しそうな感情を、抑え込む。
「はぁ……とりあえず、わたしは帰ります。あまり見られたくない姿だったと思うんで」
「……あたしも正直、嫌がるだろうなとは思ってた。優先順位が低かったから、無視しただけで」
「でしょうね。まあ、適当に誤魔化しといてください」
クロウが嫌がるだろうとは思いつつも、放置せずに済むなら放置したくなかった、が本音だろう。
その辺りの事情を含め、クロウに対して強い苛立ちの感情を抱いてしまう。
(帰ったらラズさんに試してみようかな。普通に使えるっぽいし)
結果的に合法で人体実験ができたのだから、良かったのかもしれない。
そう思い、立ち去ろうとしたロゼッタの手首を、ヒヤリとしたものが包んだ。
その“手”のあまりの冷たさに、さらに苛立ちが隠せなくなる。せっかく感情を抑え込んだのに。
「……あのさぁ」
手が離れる。
振り返ってみると、クロウが口元に着いていたものを外している最中だった。
視線があった瞬間に、彼は酷くかすれた声を発した。
「……。礼くらい言わせろ、アホ」
「アホは無くない!? 絶対にお礼言う気ないよねそれ~~!!」
「お、お前はなんでそんな怒ってんだよ……っ!」
——ちょっとどころか、かなり元気がない。腹が立つ。
「……っ」
クロウはずるずると身体を起こすが、まだ気怠いらしく、背中を壁に預けている。
呼吸するたびに、肩が上がっている。意識はあるようだが、かなり辛そうだ。
(魔力あげたら、少しはマシになるかな)
そう思ったロゼッタは、クロウに手を伸ばす。
「クロウ、右手出して。魔力あげる。持ってけるだけ持ってって」
「……。持ってけるだけ? 良いのか?」
「うん。せっかくだからクロウの正確な魔力量知りたいし」
普段使いで体魄強化が使える時点で、彼が本来持つ魔力量はかなりのものなのだろう。
とんでもなくバツが悪そうなクロウの手を掴み、魔力を吸われる感覚を覚えながらロゼッタは口を開いた。
「隠してたのは『体魄強化』だけ?」
「今さら隠してもしゃーねぇな……『耐久強化』もだよ」
「へぇ?」
「あとは前にも言ったが、『視力強化』も普段使いだ。潜入調査中は『筋力強化』と、状況次第で『聴力強化』も使ってるな」
「身体強化系統のフルコースじゃん」
「……」
「で? それを? 片っ端から『黙影』で痕跡消してたってこと?」
「……」
「返事は?」
「はい……」
クロウが俯いてしまった。
いじめすぎたかもしれない。
それはそれとして、相当に魔力を吸われている感覚がする。
「普段どれだけ“それ”に魔力使ってるの?」
「最低でも、半分は……その日の体調次第で、配分は変えてる……」
「ふーん? 普段、そんな無茶してんだ。その分だと、サイプレスの時はもっと無茶してたよね?
あれ、半分どころじゃなかったよね? 今にして思うと、相当に酷かったよね?」
「……っ」
「返事は?」
「はい……」
俯いた上で、クロウは顔を背けてしまった——正直、だいぶ面白いことになっている。
先程まで相当に苛立っていただけに、良い憂さ晴らしになりそうだ。
とはいえ、あまり弄り倒すのもどうかと思う。
別に弱い者いじめがしたいわけではないし、クロウは目を覚ましたばかりだ。これくらいでやめておこう。
そう思い、ロゼッタはクロウに魔力を送ることに集中した。
ベッド横のチェストの上で、ラザラスのスマートフォンが『ムー、ムムー』と震え始めた。
2回目なので、分かる。あれはエスメライからの着信だ。
ロゼッタが(影の中で)半分寝ぼけている間に、ラザラスはモゾモゾと布団から抜け出し、電話に出た。
「もしもし? あー、いえ、お気になさらず……って、ロゼッタですか?
分かりました、伝えます……いやいや、緊急事態ですよね? 間に合わなくても文句なんて言いませんよ!」
(えっ!? わたし!?)
またエスメライからラザラス経由で呼び出しが掛かったらしい。
流石に頭が働いてきた。
ぬるりと影から飛び出し、ラザラスの前に立つ——相変わらず、彼の顔は包帯まみれだ。困ったことに、全く腫れが引いていない。
(番組収録ってやつ、今日だったよね……?)
結局、間に合わなかった。
こんな状況でエスメライからの呼び出しに応じて、大丈夫なのだろうか……?
ロゼッタが悩んでいると、ラザラスの方から声が掛かった。
「気にせず行ってきて欲しい。どうせ、放送局行くのは夕方だしな」
「ラズさん……」
「間違いなく緊急事態だし、優先順位は呼び出しの方だ。エスラさんにも言ったけど、間に合わなくても大丈夫だから」
せめてと思い、寝起きのラザラスに『感影』と『聴力強化』を掛ける。最悪これがあれば、どうにかなるはずだ……少なくとも、日常生活は。それだけは。
「毎日悪いな。それじゃ、俺は……君を待ってる間に目が開くことを祈る作業をするよ」
「あははは……」
それは絶対に無理だ。
どれだけ祈ろうが叶うわけがない。
悲壮感しかないラザラスを見ながら、ロゼッタは拠点に移動した。
◯
「あっ! ロゼッタ! 朝からごめんな!?」
とりあえず中庭に転移してみると、ロゼッタの存在に気づいたエスメライが飛び出してきた。
「あんたなら行けると思って、確認無しに呼んじゃったんだけどさ……あんた、『体魄強化』って使えるかい?」
——体魄強化。
それは身体強化系統の術のひとつだが、唯一『中級』に分類されるものだ。軽く使用するだけでも相当な魔力消費が発生するため、使える人間は限られるという記載があった。
「えっと、なんだったかな……例えば、病院の先生が患者さんに使うような……生命力の強化、でしたっけ?」
「そう、それ!」
……それをラザラスに使えば、目の回復が早まったのだろうか?
一瞬そんなことを考えてしまったのだが、この術を求められた時点で誰かしらが“危険な状態”であることはほぼ確定だ。急いだ方が良さそうだと判断したロゼッタは辺りを見回し、適当な観葉植物に目をつける。
「ロゼッタ……?」
「すみません、絶対に失敗したらダメなやつって判断したので……予行練習、させてください」
観葉植物に向かって手をかざす。
魔力が心臓から手を伝い、流れる。
「【体魄強化】!」
ぶわりと、風が巻き上がるような感覚がした。
練習に付き合ってもらとた植物を一瞥すると、心なしか喜んでいるように見える、気がする。
「た、たぶん、行けますね。少なくとも爆発とかはしないかと……」
「爆発したら困るなぁ。まあ、失敗されても死にはしないと思う。
これ、今までは放置してた案件なんだ。だから、あんまり気負いすぎずに受けてよ」
エスメライは苦笑しつつ、「着いてきて」とロゼッタを手招きする。
階段を登りながら、背を向けたまま、彼女はぽつりと呟いた。
「でも、できたら……助けてやって」
「……」
放置してた案件、というよりは“放置するしかなかった案件”なのだろう。
その時点で必然的に、危険な状態に陥ったのが誰なのかも見えてくる——ステフィリオンの中で体魄強化を使えそうな人物は、ひとりしかいないからだ。
(あ、分かった。全部繋がった。ふーん、そりゃ『言いたくない』よねぇ……)
頑なに黙秘していたが、それは“彼”が、痕跡を隠した上でこの術を普段使いしていたためだろう……当たり前だ。こんな術を使いながら生活している事実を、不用意に晒せるはずが無い。
もはや弱点のレベルを、遥かに超えてしまっている。
(嫌だもう! 本っ当に嫌い!!)
一部の家具を覗けばほぼ何も無い、虚無に等しい部屋に通される。
ベッドの上で、彼はひたすら荒い呼吸を繰り返していた。
どうやら意識は無いらしく、部屋に人が入ってきたというのに無反応だ。
「……」
黙り込んでしまったロゼッタの肩を、エスメライが叩く。
「ロゼッタ?」
そもそも自力で呼吸ができていないようで口元が何かで覆われているし、右手首には点滴の管が複数繋がっている……苛立ってしまった。
ロゼッタは肩に乗ったエスメライの手を片手で払い、容赦なく部屋に入っていく。
「……」
部屋の主を、見下ろす。
顔色が悪く、冷や汗が浮いている。
「苦しいだろうし、一発で決めてあげようじゃん?」
もはや冗談抜きで粉雪にすら攫われて行きそうな状況と化している男——クロウの胸に手を当て、ロゼッタは叫んだ。
「ッ、【体魄強化】!!」
これでもかと魔力を込めたせいで、そこそこ強い風が吹いた上に、派手に部屋が光ってしまった。点滴が吊るされている台が、大きく傾く。ロゼッタは苛立ちながら、もはや何も見ずにそれを掴む。
流石にやりすぎたかもしれない。隣の部屋に風と光が漏れた可能性があるが、特に誰もこない。支障はなさそうだから、良しとする。
強いて言えば、背後で軽く震え上がってしまったエスメライが問題だろうか。
「え……っ、えっ!?」
彼女はほんの少しだけ顔を青くしながら、口を開く。
「ちょ、ちょ、ちょっと……ロゼッタ……?」
「嫌いなので」
「ロゼッタ……!?」
「嫌い! なので!」
どうしてここまで腹が立つのか分からないが、今回ばかりは一切悪いことはしていないのだから許して欲しい。
ちらりとクロウを一瞥すれば、酷く乱れていた呼吸が落ち着いていた——呼吸が止まっていないことに少し安堵したのは、秘密だ。
ロゼッタは手を離し、深く息を吐き出す。湧き出しそうな感情を、抑え込む。
「はぁ……とりあえず、わたしは帰ります。あまり見られたくない姿だったと思うんで」
「……あたしも正直、嫌がるだろうなとは思ってた。優先順位が低かったから、無視しただけで」
「でしょうね。まあ、適当に誤魔化しといてください」
クロウが嫌がるだろうとは思いつつも、放置せずに済むなら放置したくなかった、が本音だろう。
その辺りの事情を含め、クロウに対して強い苛立ちの感情を抱いてしまう。
(帰ったらラズさんに試してみようかな。普通に使えるっぽいし)
結果的に合法で人体実験ができたのだから、良かったのかもしれない。
そう思い、立ち去ろうとしたロゼッタの手首を、ヒヤリとしたものが包んだ。
その“手”のあまりの冷たさに、さらに苛立ちが隠せなくなる。せっかく感情を抑え込んだのに。
「……あのさぁ」
手が離れる。
振り返ってみると、クロウが口元に着いていたものを外している最中だった。
視線があった瞬間に、彼は酷くかすれた声を発した。
「……。礼くらい言わせろ、アホ」
「アホは無くない!? 絶対にお礼言う気ないよねそれ~~!!」
「お、お前はなんでそんな怒ってんだよ……っ!」
——ちょっとどころか、かなり元気がない。腹が立つ。
「……っ」
クロウはずるずると身体を起こすが、まだ気怠いらしく、背中を壁に預けている。
呼吸するたびに、肩が上がっている。意識はあるようだが、かなり辛そうだ。
(魔力あげたら、少しはマシになるかな)
そう思ったロゼッタは、クロウに手を伸ばす。
「クロウ、右手出して。魔力あげる。持ってけるだけ持ってって」
「……。持ってけるだけ? 良いのか?」
「うん。せっかくだからクロウの正確な魔力量知りたいし」
普段使いで体魄強化が使える時点で、彼が本来持つ魔力量はかなりのものなのだろう。
とんでもなくバツが悪そうなクロウの手を掴み、魔力を吸われる感覚を覚えながらロゼッタは口を開いた。
「隠してたのは『体魄強化』だけ?」
「今さら隠してもしゃーねぇな……『耐久強化』もだよ」
「へぇ?」
「あとは前にも言ったが、『視力強化』も普段使いだ。潜入調査中は『筋力強化』と、状況次第で『聴力強化』も使ってるな」
「身体強化系統のフルコースじゃん」
「……」
「で? それを? 片っ端から『黙影』で痕跡消してたってこと?」
「……」
「返事は?」
「はい……」
クロウが俯いてしまった。
いじめすぎたかもしれない。
それはそれとして、相当に魔力を吸われている感覚がする。
「普段どれだけ“それ”に魔力使ってるの?」
「最低でも、半分は……その日の体調次第で、配分は変えてる……」
「ふーん? 普段、そんな無茶してんだ。その分だと、サイプレスの時はもっと無茶してたよね?
あれ、半分どころじゃなかったよね? 今にして思うと、相当に酷かったよね?」
「……っ」
「返事は?」
「はい……」
俯いた上で、クロウは顔を背けてしまった——正直、だいぶ面白いことになっている。
先程まで相当に苛立っていただけに、良い憂さ晴らしになりそうだ。
とはいえ、あまり弄り倒すのもどうかと思う。
別に弱い者いじめがしたいわけではないし、クロウは目を覚ましたばかりだ。これくらいでやめておこう。
そう思い、ロゼッタはクロウに魔力を送ることに集中した。
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