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第2章『黙した傷の在処、語らぬ想い』
29.未完を宿す推論-2
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(それにしても、大変そうだな……いじっちゃったけど、普通に異常事態だしな……)
今更ながら、あまりいじるべきではなかったかもしれない。申し訳ないことをした。
そんなことをロゼッタが考えていると、クロウの方から話しかけてきた。
「別に体魄強化とか耐久強化使わねぇと死ぬわけじゃねぇんだよ。だから、使ってない時もある……外した瞬間にこうなるリスクがあるだけで」
「リスクがあるだけで相当マズいと思うんだけど……なんでそんなことに……」
そう問えば、クロウは少しだけ逡巡する。
「昔、相当に無茶なことやったせいで免疫力……病気とかその辺に抵抗する力、って言えばいいか? その辺が派手にやられちまったんだよ……自業自得だ」
(じ、自業自得って……)
何があったのかは分からないが、あまりにも踏み込みにくい。
逡巡した時点でほぼ確実に、8年前の話だ。本人は「ある程度は開き直ってる」とは言うものの、分かっていて触れるようなことはしたくない。
ロゼッタの様子を見て、思うところがあったのだろう。クロウは目を逸らしたまま、口を開く。
「そもそもオレは体質的に苦手なもんが多い上に虚弱気味だったから、耐久強化はともかく、体魄強化はよく使ってたんだよ。日中に外出るなら必須だったしな、日光に負けるから」
自嘲的に吐き捨てる彼の動きに合わせて、服の裾が軽く捲れた。白い包帯が、巻かれていた。
やっぱり無傷では帰れなかったか、とロゼッタは目を細める。つまり任務中か、任務後にこうなったということだ。
「……」
ロゼッタの視線が包帯に向いたことに気づいたクロウは、どこか決まりが悪そうに話し始めた。
「傷自体は大したことねぇから、気にすんな」
「大したことないなら良かったけど……って、それならどうして……!」
「外した瞬間にこうなるリスクがあるっつったろ? なのに、現場でトラブったから術を外すしかなくなったんだよな」
「……」
これは、酷い。本当に、酷い。
流石に不憫すぎる。
「まあ……傷口から雑菌かなんか入ったんだろな」
「うわぁ……」
「だから、拠点に戻ってからの、記憶が、ほぼほぼ、ない……」
——致命的が過ぎる。
ドラグゼンも60人の屍を生み出す男が、まさか裏で雑菌か何かにやられて大惨事になっているとは思うまい。そして恐らく、この弱点には気づいていないのだろう……何故ならクロウは現状、細菌攻撃の類を仕掛けられていない様子だからだ。
ドラグゼン目線、戦闘員を大量に送り込んだり、あの手この手で精神的に追い込むより、細菌の類でしばいた方が早いはずだ。やってこない時点で、知らないのだろう。
知らないままでいて欲しい。そんなことをされれば、クロウは冗談抜きで死ぬ。粉雪に攫われる。
(しかも、さぁ……)
余計なことに気づいてしまった。
ロゼッタは、おもむろに口を開く。
「クロウって、かなり血被る戦い方するけど……そういうのも、ダメなんじゃ……」
「……。過去にな、任務先で斬った奴が明らかに感染症か何かに罹ってたことがあってな。
術解除案件になっちまったから、病気貰うまでは想定の範囲内だった。だが、“重症化”は想定外だった」
「ああー……」
「あの時ばかりは、流石に……死ぬかと……当時の記憶が、アホほど欠けてる……」
「……」
……クロウの魔術師適性が高いのは、文字通り「魔術を使えないと死ぬから」なのかもしれない。
色々悪化したのは無茶をしたせいなのだろうが、それがなかったとしても、彼が非魔術師として生まれていた場合は大惨事になっていたことだろう。
(クロウが非魔術師だったとしたら、もう出会えてすらないんじゃないかな……ていうかステフィリオンが絶対に詰んでる気がする……)
そう思うと同時、ロゼッタは気づく。
「あのさ、これ……魔力……ラズさん何人分?」
「せめて単位をレヴィにしてくれ、単位ラザラスは計算が面倒だ。レヴィなら5、6人くらいで済むと思う」
確かに「持ってけるだけ持ってって」とは言ったが、その結果、結構な量の魔力を持っていかれた。三分の一くらいは持っていかれた。
別に倒れはしないが、そこそこの疲労感はある。クロウには一般人並の魔力量しかないように感じていたが、実際は黄金眼——ギルバートをある程度上回るくらいにはあった。
「なるほどね。黄金眼とやり合っても『色々犠牲にすれば勝てる』って、こういうこと」
ある程度、上回っていた。
……素の魔力量、なら。
「まあ、後々こうなるのを覚悟すれば」
「う、うーん……」
不幸中の幸いなのは、本来の魔力量が多いからこそ、相手の情報を読み取る『透識』や魔術の発動を防ぐ『崩霊』が入らないことだろうか。何なら恐らく、『拘束』の類も無効化できる。
これまで幾度となく対峙してきたであろうドラグゼンに弱点を知られなかったのは、そういった事情があるのかもしれない。
(これは……わたしが例外だったってだけなんだろうね……)
自分自身が例外枠ゆえに心配になってしまったが、ここまで生き残っているのなら大丈夫なのだと、信じたい——信じさせて欲しい。お願いだから。
「……」
魔力量のゴリ押しでどうにかこうにか死なずに済んでいたとはいえ、後ろで黙って立っているエスメライ達の心労は相当なものだったに違いない。
魔力を分け終わったロゼッタは、クロウから少し距離を取ってエスメライに視線を向ける。
「エスラさん、たぶんもう、大丈夫だと思いますよ」
「……。助かったよ、ありがとう……」
本当に心配していたのだろう、エスメライはふらふらとクロウの側に歩み寄っていく。
(これが定期的に起きてるんだろな……ホント、よく生きてたよね、この人……)
体魄強化は、使える人間がかなり限られる術。それは、ロゼッタにも理解できた。
回収班や追跡班にも術師がいなかったのか、頼れなかったのかは分からない。
だが8年間、エスメライは幾度となくクロウがそのまま命を落とさないことを祈り続けていたに違いない。
恐らく死ぬことはない。それでも、祈るだけで何もできないのは、本当に辛かったと思う。
ロゼッタの視線には気づかないまま、エスメライはクロウに話しかける。
「報告についてはレヴィから話、聞いてるから。そこまで持ち直してんなら、もうしばらく寝てたら治ると思うから。ゆっくり休んでて」
「……ありがとうございます」
ひとまず、この件についてはこれで終わりだろうか。
まだ魔力には余裕があるし、ラザラスに術を試してみよう——そう思いながらも、エスメライと一緒に部屋を出ようとした時だった。
ばさり、という音がした。
振り返ると、クロウが何故か、自身の翼を少しだけ広げている。いつ見ても、雪のように真っ白で美しい翼だと、羨ましくなってしまう。
「あの……エスメライさん」
躊躇いがちに、クロウがエスメライに話しかけた。
「ん? どうした?」
「多分、報告漏れしてると思うんで……質問を兼ねて、補足させてください」
そう言って、クロウは少しだけ黙り込む。言葉を選んでいるのだろうか。
「アルビノってどれくらいの確率で生まれるか、分かりますか?」
出てきたのは、意外な質問だった。
気になる話題ではあるが、今出てくるべき内容とは思えなかった。
同じような感想を抱いていそうなエスメライは「アルビノかぁ」と呟き、頭を動かし始める。
「……カラス種だと確か、数万分の1とかだよ。まあ、珍しいのは確かだね」
「なら、白髪に赤い瞳になりやすい種族っていますか?」
「それは……ラザラスくらいの薄い金髪とか、レヴィみたいな紫の目じゃ、駄目なんだよな?」
こくり、とクロウが頷いた。
「あの子、はっきり白い髪に赤い目だと言っていたので、恐らく違うかと」
エスメライの顔色が、明らかに変わる。
「確かにレヴィからは、あんたが白い髪に赤い目だから、アルビノだから襲われた可能性が高いって聞いてるよ。
そんな感じのことを、ナイフ握りしめた子どもが言ってたって」
その話を聞いたロゼッタはばっと顔を上げて、クロウを見る。
子どもに襲われたということは、やはり今回も精神攻撃を受けていたか——ロゼッタがひとり考えていると、彼はぽつりと、呟くように言葉を紡いだ。
「『お母さんが言ってたんだ……白い髪に、赤い目。そいつが全部、悪いんだって』」
まるで、子どものような言い回し。
一瞬驚いたが、どうやら一言一句違わず伝えてきただけのようだ。
クロウは苦笑し、エスメライの顔を見上げる。
「……って、竜人族の子が言ってたんですよ。明らかに正気じゃなかったんで、今も覚えているかは分かりませんが」
「あんたをピンポイントで狙わせるために、ドラグゼンの人間が仕込んだろうって、判断してるんだけど……」
エスメライの発言に、クロウはゆるゆると首を横に振るう。
「オレの考えすぎかもしれません。むしろ確率論で考えるなら、その認識で合っている可能性の方が高いです。でも、変に引っかかるんですよね」
クロウは一呼吸置いてから、話し始めた。
「今回の被害者達の中には、母親や父親に助けを求める子が何人か混ざっていました。
全員が全員ではありませんが、恐らく、親から引き離されるような形で連れてこられた子がいたんだと思うんです」
ロゼッタは親から引き離された子がいる事実に対して憤りを覚えたが、クロウの話を聞いてハッと冷静になる。
(……。わたし、親の顔なんて覚えてない)
繁殖場出身であれば、恐らく同じ結論に辿り着くだろう。
繁殖場出身でなくとも子どもに慣れているクロウであれば、違和感を覚えて当然かもしれない。
場合によっては、補足説明を入れよう。
ロゼッタは、クロウの言葉の続きを待つことにした。
今更ながら、あまりいじるべきではなかったかもしれない。申し訳ないことをした。
そんなことをロゼッタが考えていると、クロウの方から話しかけてきた。
「別に体魄強化とか耐久強化使わねぇと死ぬわけじゃねぇんだよ。だから、使ってない時もある……外した瞬間にこうなるリスクがあるだけで」
「リスクがあるだけで相当マズいと思うんだけど……なんでそんなことに……」
そう問えば、クロウは少しだけ逡巡する。
「昔、相当に無茶なことやったせいで免疫力……病気とかその辺に抵抗する力、って言えばいいか? その辺が派手にやられちまったんだよ……自業自得だ」
(じ、自業自得って……)
何があったのかは分からないが、あまりにも踏み込みにくい。
逡巡した時点でほぼ確実に、8年前の話だ。本人は「ある程度は開き直ってる」とは言うものの、分かっていて触れるようなことはしたくない。
ロゼッタの様子を見て、思うところがあったのだろう。クロウは目を逸らしたまま、口を開く。
「そもそもオレは体質的に苦手なもんが多い上に虚弱気味だったから、耐久強化はともかく、体魄強化はよく使ってたんだよ。日中に外出るなら必須だったしな、日光に負けるから」
自嘲的に吐き捨てる彼の動きに合わせて、服の裾が軽く捲れた。白い包帯が、巻かれていた。
やっぱり無傷では帰れなかったか、とロゼッタは目を細める。つまり任務中か、任務後にこうなったということだ。
「……」
ロゼッタの視線が包帯に向いたことに気づいたクロウは、どこか決まりが悪そうに話し始めた。
「傷自体は大したことねぇから、気にすんな」
「大したことないなら良かったけど……って、それならどうして……!」
「外した瞬間にこうなるリスクがあるっつったろ? なのに、現場でトラブったから術を外すしかなくなったんだよな」
「……」
これは、酷い。本当に、酷い。
流石に不憫すぎる。
「まあ……傷口から雑菌かなんか入ったんだろな」
「うわぁ……」
「だから、拠点に戻ってからの、記憶が、ほぼほぼ、ない……」
——致命的が過ぎる。
ドラグゼンも60人の屍を生み出す男が、まさか裏で雑菌か何かにやられて大惨事になっているとは思うまい。そして恐らく、この弱点には気づいていないのだろう……何故ならクロウは現状、細菌攻撃の類を仕掛けられていない様子だからだ。
ドラグゼン目線、戦闘員を大量に送り込んだり、あの手この手で精神的に追い込むより、細菌の類でしばいた方が早いはずだ。やってこない時点で、知らないのだろう。
知らないままでいて欲しい。そんなことをされれば、クロウは冗談抜きで死ぬ。粉雪に攫われる。
(しかも、さぁ……)
余計なことに気づいてしまった。
ロゼッタは、おもむろに口を開く。
「クロウって、かなり血被る戦い方するけど……そういうのも、ダメなんじゃ……」
「……。過去にな、任務先で斬った奴が明らかに感染症か何かに罹ってたことがあってな。
術解除案件になっちまったから、病気貰うまでは想定の範囲内だった。だが、“重症化”は想定外だった」
「ああー……」
「あの時ばかりは、流石に……死ぬかと……当時の記憶が、アホほど欠けてる……」
「……」
……クロウの魔術師適性が高いのは、文字通り「魔術を使えないと死ぬから」なのかもしれない。
色々悪化したのは無茶をしたせいなのだろうが、それがなかったとしても、彼が非魔術師として生まれていた場合は大惨事になっていたことだろう。
(クロウが非魔術師だったとしたら、もう出会えてすらないんじゃないかな……ていうかステフィリオンが絶対に詰んでる気がする……)
そう思うと同時、ロゼッタは気づく。
「あのさ、これ……魔力……ラズさん何人分?」
「せめて単位をレヴィにしてくれ、単位ラザラスは計算が面倒だ。レヴィなら5、6人くらいで済むと思う」
確かに「持ってけるだけ持ってって」とは言ったが、その結果、結構な量の魔力を持っていかれた。三分の一くらいは持っていかれた。
別に倒れはしないが、そこそこの疲労感はある。クロウには一般人並の魔力量しかないように感じていたが、実際は黄金眼——ギルバートをある程度上回るくらいにはあった。
「なるほどね。黄金眼とやり合っても『色々犠牲にすれば勝てる』って、こういうこと」
ある程度、上回っていた。
……素の魔力量、なら。
「まあ、後々こうなるのを覚悟すれば」
「う、うーん……」
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これまで幾度となく対峙してきたであろうドラグゼンに弱点を知られなかったのは、そういった事情があるのかもしれない。
(これは……わたしが例外だったってだけなんだろうね……)
自分自身が例外枠ゆえに心配になってしまったが、ここまで生き残っているのなら大丈夫なのだと、信じたい——信じさせて欲しい。お願いだから。
「……」
魔力量のゴリ押しでどうにかこうにか死なずに済んでいたとはいえ、後ろで黙って立っているエスメライ達の心労は相当なものだったに違いない。
魔力を分け終わったロゼッタは、クロウから少し距離を取ってエスメライに視線を向ける。
「エスラさん、たぶんもう、大丈夫だと思いますよ」
「……。助かったよ、ありがとう……」
本当に心配していたのだろう、エスメライはふらふらとクロウの側に歩み寄っていく。
(これが定期的に起きてるんだろな……ホント、よく生きてたよね、この人……)
体魄強化は、使える人間がかなり限られる術。それは、ロゼッタにも理解できた。
回収班や追跡班にも術師がいなかったのか、頼れなかったのかは分からない。
だが8年間、エスメライは幾度となくクロウがそのまま命を落とさないことを祈り続けていたに違いない。
恐らく死ぬことはない。それでも、祈るだけで何もできないのは、本当に辛かったと思う。
ロゼッタの視線には気づかないまま、エスメライはクロウに話しかける。
「報告についてはレヴィから話、聞いてるから。そこまで持ち直してんなら、もうしばらく寝てたら治ると思うから。ゆっくり休んでて」
「……ありがとうございます」
ひとまず、この件についてはこれで終わりだろうか。
まだ魔力には余裕があるし、ラザラスに術を試してみよう——そう思いながらも、エスメライと一緒に部屋を出ようとした時だった。
ばさり、という音がした。
振り返ると、クロウが何故か、自身の翼を少しだけ広げている。いつ見ても、雪のように真っ白で美しい翼だと、羨ましくなってしまう。
「あの……エスメライさん」
躊躇いがちに、クロウがエスメライに話しかけた。
「ん? どうした?」
「多分、報告漏れしてると思うんで……質問を兼ねて、補足させてください」
そう言って、クロウは少しだけ黙り込む。言葉を選んでいるのだろうか。
「アルビノってどれくらいの確率で生まれるか、分かりますか?」
出てきたのは、意外な質問だった。
気になる話題ではあるが、今出てくるべき内容とは思えなかった。
同じような感想を抱いていそうなエスメライは「アルビノかぁ」と呟き、頭を動かし始める。
「……カラス種だと確か、数万分の1とかだよ。まあ、珍しいのは確かだね」
「なら、白髪に赤い瞳になりやすい種族っていますか?」
「それは……ラザラスくらいの薄い金髪とか、レヴィみたいな紫の目じゃ、駄目なんだよな?」
こくり、とクロウが頷いた。
「あの子、はっきり白い髪に赤い目だと言っていたので、恐らく違うかと」
エスメライの顔色が、明らかに変わる。
「確かにレヴィからは、あんたが白い髪に赤い目だから、アルビノだから襲われた可能性が高いって聞いてるよ。
そんな感じのことを、ナイフ握りしめた子どもが言ってたって」
その話を聞いたロゼッタはばっと顔を上げて、クロウを見る。
子どもに襲われたということは、やはり今回も精神攻撃を受けていたか——ロゼッタがひとり考えていると、彼はぽつりと、呟くように言葉を紡いだ。
「『お母さんが言ってたんだ……白い髪に、赤い目。そいつが全部、悪いんだって』」
まるで、子どものような言い回し。
一瞬驚いたが、どうやら一言一句違わず伝えてきただけのようだ。
クロウは苦笑し、エスメライの顔を見上げる。
「……って、竜人族の子が言ってたんですよ。明らかに正気じゃなかったんで、今も覚えているかは分かりませんが」
「あんたをピンポイントで狙わせるために、ドラグゼンの人間が仕込んだろうって、判断してるんだけど……」
エスメライの発言に、クロウはゆるゆると首を横に振るう。
「オレの考えすぎかもしれません。むしろ確率論で考えるなら、その認識で合っている可能性の方が高いです。でも、変に引っかかるんですよね」
クロウは一呼吸置いてから、話し始めた。
「今回の被害者達の中には、母親や父親に助けを求める子が何人か混ざっていました。
全員が全員ではありませんが、恐らく、親から引き離されるような形で連れてこられた子がいたんだと思うんです」
ロゼッタは親から引き離された子がいる事実に対して憤りを覚えたが、クロウの話を聞いてハッと冷静になる。
(……。わたし、親の顔なんて覚えてない)
繁殖場出身であれば、恐らく同じ結論に辿り着くだろう。
繁殖場出身でなくとも子どもに慣れているクロウであれば、違和感を覚えて当然かもしれない。
場合によっては、補足説明を入れよう。
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