第一楽章「誤判」

7tch1*

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Chapter.1「全ての始まりは息子の反抗期で、正直、苦しかった。」

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ー記録.美和視点。

あ、おかえり」
「…」
 私の声かけに息子は無視。
 私の息子、透は中学生になってから反抗期を迎えたようだ。
「透、帰ってきたならちゃんとただいまって言いなさい。泥棒が入ったと思うでしょ」
「…いちいちうっせーな」
 今のように話しかけても無視、ああやって暴言吐いてくる日が多々ある。
反抗期になる前は、いつもニコニコしてて可愛らしかったのに。
 そう思うと、その時の記憶が走馬灯のように脳裏をよぎる。
 『母さん、ただいまー』
 『母さん、今日の晩ご飯は何?』
 『うわ、これすげーうまい!』
 家に帰って来ると、太陽のような笑顔で話しかけて来る透。
 私の作ったご飯をとても美味しそうに食べる透。
 それが反抗期を迎えたことを機にそれが嘘かのように豹変してしまった。
 寂しく思いながら静かに目を閉じると、
「透、今日も態度悪いね」
「ええ、本人は甘えてるつもりなんだろうけど…」
 娘の朱莉が苦笑いしながら近づいて来た。
 そこで我にかえった。
 朱莉は透の3つ上の姉の高校1年生で、朱莉にも中学時代は反抗期があり、態度が悪かったが、暴言を言ってきたことはなかった。
 だから、そう言う時期だと思って普段通りに接して来た。
 そうしてるうちに、いつの間にか落ち着いて行ったのだ。
「…うん、確かにちょっと最近の透はひどいよね」
「そうね。…でも、いつか落ち着いていくわよね」
「うんうん。私もそうだったからね」
 そうよ。
 あの頃の透は願ったって戻ってこない。
 それに、朱莉の時にも経験して、乗り越えて来たじゃない。
 反抗期は成長の証でもあるのよ。
 透の反抗期だって対応していかなくっちゃ!
 頬を両手で打ち、気を引き締める。
「透、ご飯出来てるから、やること終わってからでいいから、ご飯食べにおいで」
「…部屋に入ってくるなっての」
 透の部屋のドアを少しだけ開けて、それだけ言って去る。
 今は態度が悪いが、それもいつか落ち着く。
 そう信じて、透と日々を過ごす。
 だけど、その意気込みだけで乗り越えられるほど甘いものではないことを、その時の私は知らなかった…。
 
 
 
 
 
 
 

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