Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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朧月夜の章

朧月夜の章②

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 現在。猫族の大領主ディアゴは大神殿の『鏡の池』で朧月夜と顔を合わせてお茶をしていた。麗しい笑みを浮かべる朧月夜から目が離せない。気が付いたらディアゴはジッと彼女を見つめていた。

「そんなに見つめられると、恥ずかしいわ」

「・・・申し訳ない」

「恥ずかしいだけで嫌じゃないの。ねぇ、私に選ばれて嬉しかった?」

「ああ、とても嬉しかった」

 ディアゴも空と同じで、選ぶのは姫君側だと弁えている。だがディアゴも男だ。言わないだけで女性の好みはハッキリしていた。

「ふふ、言わないだけで私のような女がタイプでしょう?目の奥の輝きが違うもの」

「・・・君には全て、見抜かれているんだな」

「占い師だもの」

 嬉しそうに笑う朧月夜は色気があり、華がある。
 『女』を前面に出しているが嫌味はなく、彼女には品があった。

 手に届かないような輝きを放つ美女。彼女は正にディアゴの好みであり、何としても妻に迎えたい女性なのだ。主君のレオンハルトには黙っていたが、彼は朧月夜へ手紙を送ったり、花を贈ったりとしっかりアピールしていた。

「最終候補の三人は占いで選んだのか?」

「相性と好み。後は仕事への理解よ」

「嫁いだ後も占い師を続けたい、と?」

「ええ。宝物のように大切に仕舞われるのは嫌じゃないけど、私はこの仕事を誇りに思っているわ。なんと言われようが続ける。貴方は認めてくれるかしら?」

「ああ。君から誇りを奪うような真似はしたくない」

 即答するディアゴに朧月夜は満足そうに目を細めた。

「ねぇ、貴方の領地はどんな所?」

「緑豊かで水源も豊富だ。気候も温暖で作物も沢山採れるから、食べ物には困らせない」

「あら、それは嬉しいわ。確か貴方は麦をメインに作っているのよね?」

「ああ。こう見えて麦を育てるのは上手い」

「・・・実りの季節になったら、とても美しいのでしょうね」

 ディアゴは想像した。黄金に染まった麦畑を歩く朧月夜を。きっとこの世で一番美しい光景だ。その隣に立つのが自分であればどれだけ良いだろう。輝くような笑顔を浮かべる朧月夜は何より美しい。

「ねぇ?何を考えているの?」

「麦畑に立つ君の姿を」

「どうだった?」

「何より美しい」

「実現できるように頑張ってね」

 それに、と朧月夜は笑った。

「きっと貴方も素敵なのでしょうね」




 穏やかに時が過ぎ、ディアゴが鏡の池から出ると視線を感じた。

 柱の陰からじっと監視するような視線が刺さる。チラッと振り返ると、そこに居たのは金髪の美青年だ。
 やや巻き毛の髪に、大きな二重の瞳は美しいアクアマリン。肌は白く、まるで童話の王子様のようだ。恐らく、彼がライバルの一人である『オーランド』だろう。
 ディアゴと目が合うとオーランドはささっと柱の陰に隠れてしまった。

 ・・・気が付かなかった振りをした方が良かっただろうか??

 悩んだ結果、ディアゴはそのまま立ち去った。

(おっかねぇ~~~!!!)

 麗しき白鳥一家のプリンス、オーランドはディアゴが立ち去るまでその場から動けなかった。体を震わせ、麗しいアクアマリンの瞳には涙が溜る。守ってあげたくなるような癒やし系美男子はすっかりディアゴにビビリ散らしていた。

(虎って聞いていたけどあれは怖いだろ!!何あの腕!!朧月夜さん潰されない??大丈夫!?)

 空は余り気にはしていなかったが、ディアゴは職業も相まってかなりのマッチョだ。特に腕は太く、上腕部はパンパンだ。
 ディアゴは物静かで理性的だが白鳥からすれば獰猛な肉食の虎。あくまでオーランド視点だが、顔も強面で恐ろしかった。

(で、でも僕は負けない!朧月夜さんと結婚するのは僕だから!)

 決意はしたが足の震えは止まらない。
 ややへっぴり腰で鏡の池にやって来た最終候補者を、朧月夜は温かい目で迎えたのだった。
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