Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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朧月夜の章

朧月夜の章③

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「・・・聞いていた印象と随分違ったな」

「ん?誰が?」

「オーランドだ。物陰から此方を伺うように見ていた。・・・何かしただろうか?」

「う~~ん。ビビったんじゃないか?ディアゴは重種だからな」

 今日もお馴染みのメンバーがレオンハルトの部屋に集まり、仲良く食事をしていた。
 ただ、主催のレオンハルトは何故かげっそりと窶れた顔をしていた。

「レオンハルト王・・・どうしたんです?」

「な、何かありましたか?」

「私で良ければ話を聞きますよ」

 優しく気に掛けてくれる空、イフラース、ユアンはレオンハルトにとって心の安定材料となりつつある。先程まで話していた二人とは大違いだ。

「・・・俺はどうしていいのか本当に分からなくなってきた。なぁ、ライバルと飯を食うのが普通なのか?ライバルと談笑するのが礼儀なのか??常識って何だ??」

「「「え・・・??」」」

 正午、レオンハルトはライバルである朱寧・オマールとばったり顔を合わせた。オマールは写真を見せて貰っていたので顔は知っているが、朱寧とは正真正銘、初めましてだ。

「これはこれはレオンハルト王」

「明石姫を巡る最大の敵、と我々は認識しています。お手柔らかに」

 褐色のセクシー系イケメン、オマールは握手を求めるように手を差し出す。別に断る理由もないのでここは素直に握手を交わした。

「王ともなれば女性の扱いは手慣れたものでしょう。ですが、私も本気です。彼女の夫の座は渡しませんから」

 バッと華麗に朱寧は扇を広げ、口元を隠した。

 艶やかな髪を高い位置で一つに結び、スッと涼やかな瞳と美しい輪郭。背も高く、伏雅と並び称される美男というのは間違いではない。

 ただ、とんでもない誤解が一つだけ生じていた。

(手慣れていない!!)

 王族=ハーレムは昔の話だ。猫族は乳幼児の死亡率が六種族でダントツ高く、王は多くの妾を囲って子を産ませていた。
 ・・・だが、生き残る子は少なかった。子が死に、残された母親達の生活維持に莫大な予算が投じられた。子を失った母親達は悲しみを癒やすように浪費し、後宮の存在は国の財政を圧迫し始めた。
 当然だが国民感情は悪くなるばかり。当時の王は世論に押されるような形で後宮を解体したのだった。

「俺も、王として負けるわけにはいかない。名の知れた人格者か、大いに結構じゃないか。争い甲斐があるな」

 ニヤリと笑うレオンハルトと、朱寧、オマールの間に緊張が走る。ピリッとした空気は決して嫌いではない。
 そのまま立ち去ろうとしたレオンハルトだが、何故かオマールに呼び止められた。

「まぁ、我々は恋敵ですが折角こうして面識が出来た訳ですし。三人で昼食でもどうですか?」

「それは良いですね。敵を知るには丁度良い」

「・・・はぁ!?」

 こうしてレオンハルトは二人に囲まれるようにカフェへ連行され、共に食事をしながら腹の内を探り合ったのだった。

「・・・バレませんでした?」

「・・・多分」

 女性の扱いに慣れているどころか、お見合いで数々のやらかしを犯したポンコツ王。この事実を知られるわけにはいかない。レオンハルトは必死で熟れた男を演じていた。

「因みに、イメージはミハエルだ」

「はぁ!?なんで俺!?」

「一番身近な遊び人といったらお前だろ!!」

「変に演じていないだろうな!俺のイメージも悪くなるから止めろ!」

「・・・上手く演じた。多分!」

 ミハエルが悲鳴を上げた。空達も気づいてしまった。絶対上手く演じていない。かなりおかしな仕上がりになった筈だ。

「王、何事も誠実に対応しなくては。嘘はいずれバレます」

「嘘じゃないぞ。あくまで参考にさせて貰っただけだからな」

 変な所で前向きな王にディアゴは頭を抱えた。だが、それが彼の良い所でもある。人々を引きつける魅力がレオンハルトには備わっていた。
 領主として王に仕える立場だが、主が彼で良かったと思う。それが突然降って湧いた王冠だとしても。
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