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朧月夜の章
朧月夜の章⑯
しおりを挟む期限まであと二日、ディアゴは考えが纏まらずに悩んでいた。煮詰まって答えが導き出せない中、ディアゴの部屋を訪れたのは空とイフラースだ。
五人はディアゴを応援しようと、邪魔にならない程度に交代で部屋を訪れていた。
空とイフラースは両手に弁当や惣菜、甘味や飲み物を袋一杯に詰めて持参した。
「一緒に食べませんか?」
「神の国で評判のプリンもありますよ」
「朝一に並んでやっと買えたんです」
空とイフラース、美少年とレオパの組み合わせはさぞ目立っただろう。
大金持ちなのに金にものを言わさず、真面目に並んで買う姿勢にディアゴは好感を抱いた。
苦労の末に手に入れたプリンはデザートとして楽しもうと、先ずは弁当を食べる。テイクアウトの特上寿司は気分が上がった。
「美味いな」
「それは良かったです」
資金提供者のイフラースは嬉しそうに笑った。差し入れの惣菜も食べ尽くし、三人はプリンに舌鼓を打つ。トロッと滑らかなプリンは疲れた心を癒やすくらいに大変美味であった。
「美味しいですね!」
「並んだ甲斐がありました・・・」
感動する空とイフラースを見てディアゴは笑った。ここ数日、引き籠もって思考に耽るばかりだった。仲間達はディアゴの力になろうと気を使い、こうして癒やしも提供してくれる。
空とイフラースはほんわかしているので、疲れた時は特に効くコンビである。
「朧月夜にも食べさせてやりたいが、接触禁止だからな」
残念そうに目を伏せるディアゴに空とイフラースはニコッと笑顔を浮かべた。
「その時は、また並びます!」
「ディアゴさんのためなら喜んで!」
空とイフラースの嘘偽りない笑顔を見たディアゴは泣きそうになった。自分のために行動したって彼らには何の利益にもならない。なのに空とイフラースは自分のために労力を使い、見返りすら求めない。
あのまま狭い世界で生きていたら絶対に出会えなかった存在だ。
心優しき友が出来たことを、心から誇りに思う。
「・・・ありがとう」
「お礼なんて要らないです」
「友達じゃないですか」
ディアゴという男が好きだから力になる。
その言葉にディアゴは光明を見出した。二人を見送った後、ディアゴは最終審査の条件と花言葉、朧月夜との会話を改めて検証し直していた。
いかなる状況にも当て嵌まりそうな花言葉の数々にふとある考えが浮かんだ。
朧月夜は『心情に寄り添え』と言った。
花言葉が導き出す事件の真相を朧月夜は求めている訳では無い。朧月夜の心に寄り添い、全てを受け入れてくれる存在を彼女は欲しているのだろう。
そのヒントは恐らく、唯一違う花言葉を持つアキメネスの花にある。
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