Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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葵の章

葵の章⑨

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「葵さん、今日もお美しいですね」

「嘘っぽ~~い。それ、本心?」

「勿論ですよ。僕にとって一番美しい姫君は葵さんですから」

「ふ~~ん」

 素っ気ない口調だが、葵は満足そうな笑顔を浮かべている。
 ここまでは正解だ。エドワードも笑みを浮かべる。

 葵は褒められるのが好きな女性だ。
 子どもっぽい一面が全面に出ているが、話してみると教養があり馬鹿ではないと分かる。

 ただ、八人の美姫の中で扱いやすそうなのは誰かと問われれば、答えは間違いなく彼女だった。

「昨日、久是空くんとお茶をしたんです」

「へぇ~~。そうなんだ」

「僕って何か誤解されているみたいで。一度ちゃんと話し合おうと思っていたんです」

「誤解ってどんな?」

「仕事上で起きたトラブルを相手が面白おかしく大袈裟に語る事ってあるでしょう?空くん達はそれを鵜呑みにしちゃったみたいで」

「あ――・・・。あるあるよね。出る杭は打たれるって諺もあるくらいだし」

「ええ。僕はただ、命懸けで仕事に向き合っていただけなんです。悲しくて・・・」

 エドワードが悲しげに目を伏せると、葵は黙り込んでしまった。

「葵さんにこんな話はしたくなかったんですけど、空くんとミハエルさんって仲が良いでしょう?二対一だと勝ち目がないから不安で・・・」

「え、そうなの!?」

「え?知らなかったんですか?」

 葵は驚いた。まさか二人が友達だったとは。

 つまり、指名の時に空が言っていた『葵推しの友人』はミハエルだ。なんたる偶然。

 自分を巡って友人と戦うと宣言した空の言葉に嘘は無いだろう。

 空は最終候補の一人として足繁く自分の元に通って話をしたり、プレゼントや花を贈ってくれる。だが。


「・・・何か、気に入らないなぁ・・・」

 友人がミハエルだと黙っていたのはまぁ、分かる。恋の戦は駆け引き必須。望む女を手に入れるために策を使いライバルを蹴落とすやり方は否定しない。
 
 しかし二人で結託してエドワードを陥れようとするのは違うだろう。
 そんなの、フェアじゃない。

「二人は悪くないですよ。だって誤解だったんですから」

「・・・でも、ペナルティは必要よね?後は私に任せて。エドワードは何も悪くないんだから」

「葵さん・・・!ありがとうございます!」

 エドワードは感動し、両手で葵の手を握った。直ぐに黄玉の制止が入り、お叱りを受けたが気にしない。

 本当に扱いやすい女だ。

 表裏のない性格は嫌いじゃない。正義感が強いくせに深く考えない所は利用しやすくて大好きだ。

 エドワードにとって重要なのは『如何に自分の利になるか』だ。

 葵は極上の美人で、オマケに実家が太いなんて最高だ。結婚時手として申し分ない。
 
 ただ、エドワードが見据えるのはその先。いずれ解放されるであろう黒狐の国の、巨大市場だ。

「葵さん、カフェでチョコレートケーキを買ってきたんです。一緒に食べませんか?」

「チョコレートケーキ!私大好きよ!」

「美味しいですよね~~!」

 本当に、美味しい。

 エドワードは目を細め、カフェオレにたっぷりの砂糖を入れたのだった。
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