Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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葵の章

葵の章⑪

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 大切にされるあまり、葵は広い世界を知らない。旅行先も限られていた。

 「葵に何かあってはいけない」からと、自動車以外の乗り物に乗ったことがない。乗る術も知らない。
 車も移動距離が制限されていた。

 ・・・息苦しい。

 葵はストレスを晴らすようにトレーディングカードにのめり込んだ。

 トレカの競技人口は圧倒的に男性が多い。

 大会も男だらけなので両親は余りいい顔をしなかったが、葵の現状を見かねた兄達が間に入ってくれた。
 兄達の助けもあり、葵はトレーディングカードを続けられた。

 自分の実力を試したくなった葵は兄達とチームを組み、大きな大会に出て決勝まで進んだ。
 結果は残念ながら準優勝だったが、葵はとても嬉しかった。

 準優勝チームには賞金と、レアカードが贈呈された。
 優勝チームには賞金とレアカード、副賞としてレジャーランドの入場券と宿泊券が贈られた。

 葵は一度で良いからそのレジャーランドに行ってみたかった。
 とても遠い所にある上、レジャーランドなんて危険だからと一度も連れて行って貰えなかった。
 
 葵はギュッと賞金を握りしめた。

 このお金があれば自力で行ける。
 帰宅した葵は両親に賞金の使い道を話すが、秒で却下された。
 腹を立てた葵は癇癪を起こし、大暴れした後部屋に引き籠もってしまった。


 籠城を続けて何日経ったか分からない。葵は何もやる気が起きず、ベッドでぼんやりと横になっていた。

 心配した兄達が食事を運んでくれるので飢えずに済んでいる。
 大好きな兄達とはチャットで会話を続けていた。ただ、両親の顔は見たくないし声も聞きたくない。
 完全にむくれる葵の部屋の扉を、誰かがノックした。

「・・・・・・」
 
「葵、俺だ」

「日向兄さん!」

 長兄の日向は長身で髪を銀に染めていて、耳に沢山ピアスを付けている。
 一見すると父によく似た三白眼の強面だが、葵をとても可愛がってくれた。

 大好きな兄なら応じよう。葵はムクリと起き上がるとドアを開けた。

「日向兄さん、どうしたの?」

「お前に客が来ているんだ。今すぐ応接室に来てくれないか?」

「?」

 日向は誰とは言わなかったが、葵は何となく従った方が良い気がした。
 兄と共に応接室に向かうと、上座に美しい女性が座っていた。

 この顔は知っている。黒狐族のプリンセス、若紫だ。

 その直ぐ側には有名な麗人、朝顔が控えている。
 両親は葵に座るよう促した。座る前に若紫に会釈すると、黒狐族自慢のプリンセスは柔らかく微笑んだ。

「噂通り、本当に美しい娘さんですわ。流石は番付五位。納得です」


 番付とは天界美女番付の事だろう。葵はこの番付で五位に入っていた。
 
 王女からの賞賛に両親は恐縮するばかりだ。
 数多の事業を手がけ、経済界に影響がある父ですら『王族』の前ではただの一般人になる。
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