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葵の章
葵の章⑮
しおりを挟む黄玉経由で手渡された資料を葵は全て目を通した。
まぁ、ドン引きだ。想像以上にエドワードの手口は悪辣だった。
悪辣だが、理解出来る部分もある。
父も経営は油断大敵と言っていた。ビジネスの世界で騙し騙されは日常茶飯事なのだろう。
葵はテーブルに置かれたトレーディングカードとデッキを見た。
『自分の目で見て判断すればいい』。
ミハエルの言葉が甦る。
トレーディングカードは心理戦。強敵と渡り合ってきた自分は判断できる術を持っている。
この目で見極めてやろうではないか!私はもう惑わされない!
「よぉし!決めた!」
っしゃあ!と気合いを入れる。
決断の時がきたのだ。黄玉も姿勢を正した。
「黄玉!これを三人に届けて!」
「畏まりました」
その日の晩、空、ミハエル、エドワードの元にトレーディングカードとプレイマット、ガイドブックが配られた。
「葵様より伝言です。これが正真正銘、本当の意味での最終審査となります。五日後、候補者の皆様には葵様の得意とする『ワンダフルワールド』で対戦して頂きます。葵様は相当な実力者でございますので勝敗は問いません。ただ、全力でぶつかって来い!との事です。公平を期すため、五日間は葵様との面談は禁止とさせて頂きます。例外は認めません」
空とミハエル、別ホテルに滞在するエドワードはトレカの束とガイドブックを見比べながらルールを整理していく。
『ワンダフルワールド』
天界で一番の人気を誇るトレーディングカードだ。
まず、プレイヤーは六枚のカードを自分で選択する。
基本の二枚:主に対戦する犬神を二柱選択する。レアカード以外の犬神はこの時点でほぼ平均値の力しかない。
犬神が使う武具・呪術の四枚。犬神に装備させたい武具と使役したい式神を選択する。この四枚によって犬神の初期レベルに差がつく。
レアカード級の防具はチートレベルになるが、対戦相手の戦法によって無効化も可能だ。
基本となる六枚を選択したら、中央に置かれたカードの束から五枚取る。
相手に見えないようにし、戦法を練っていく。
一枚使用すれば一枚追加する。相手が降参するか、カード切れの場合は持っている手札の多さで勝敗が決まる。
(この場合、手札が多い方が負けである)
ぱっと見簡単そうなゲームだが、カードの組み合わせによってはNGがあったり、選んだ犬神とカードの相性もあったりする。
相性が悪ければ攻撃力が半減し、相性が良ければ攻撃力がUPする。
中には恐ろしい意味合いを持つカードも存在した。
想像以上にルールが複雑だ。
初心者はガイドブック片手にプレイしないと自爆の危険性があった。
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