102 / 201
明石の章
明石の章②
しおりを挟むレオンハルトは明石と一緒に庭を散歩していた。
いつしか身を隠していた薔薇の庭園。失恋した悲しみを癒やすようにキャットミントの花に隠れたが、今は別の意味で隠れたくなった。
「レオンハルト様、薔薇がとても美しいですね」
にこやかに笑う明石が眩しい。
巨乳癒やし系美女を前にレオンハルトは緊張していた。
「そ、そそそうだな!」
「品種もこんなに沢山あるなんて知りませんでした。まぁ、黄色の薔薇もありますよ」
明石は美しく咲く黄色い薔薇を指差した。
「まるでレオンハルト様のようです。とても華やかですね」
「そ、そうか!」
ここでレオンハルトも明石に似合う薔薇を見つけたら良いのに、不器用な彼は出来なかった。
ただギクシャクと首を縦に振るだけで精一杯だった。
目を泳がせているが、彼も幾度の失敗を経て学習した。
女性に気遣えないポンコツ王もこのままでは流石に駄目だと思い始めた。
「ば、薔薇が好きなのか!?」
「お花全般好きです。美しくて癒やされます」
「そ、そうか!なら城を花で埋め尽くしてやろう。だから安心して嫁いでこい!」
「本当ですか?嬉しいです」
嬉しそうに笑う明石は美しい。レオンハルトはギクシャクと頷いた。
正直、最初に見た時は苦手なタイプかと思った。
男無しでは生きていけない打算的な女。平気な顔をして嘘をつく女がこの世で一番大嫌いだ。
『本当は貴方が好きだったんです』
甘く媚びた声を思い出した。
レオンハルトは強制的に嫌な記憶を遮断した。
目の前にいるのは明石だ。あの女とは違う。
実際話してみると、明石は打算的とは程遠く男に依存するタイプでもない。
神官という職種からか『自分』をしっかり持っている。
過酷な現場でも動揺しない、強い精神力も持ち合わせていた。
「レオンハルト様の治める国を見て見たいです」
「・・・正直言うと、福祉面では後れを取っている。猫族は昔から『自己責任』で済ます悪い癖があってな。生まれで全て決まる」
レオンハルト自身も生まれで振り回されてきた。
良い面を一つ上げるとすれば、比較的自由な時間を過ごせたことだ。
鹿の国と鳥の国に行って、レオンハルトは如何に自分の国が遅れているかを痛感した。
0
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った
しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。
彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。
両親は彼の婚約者を選定中であった。
伯爵家を継ぐのだ。
伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。
平民は諦めろ。
貴族らしく政略結婚を受け入れろ。
好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。
「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」
待ってるだけでは何も手に入らないのだから。
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる