Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

文字の大きさ
103 / 201
明石の章

明石の章③

しおりを挟む

 猫の国は生まれで全てが決まる。

 どれだけ駄目な奴でも上級貴族に生まれれば生涯安泰で、どれだけ頭が切れても市民の出では出世は見込めない。
 
 地方を治める領主も世襲制で、領主ガチャに外れたら領民はとんでもない目に遭う。

 ならばとレオンハルトはリコール制度を設けようとしたが、悉く却下された。
 貴族達の批判をかわしながらも、やっとの思いで成立させたのは国家公務員の条件緩和だ。
 国家公務員になるためには馬鹿みたいに厳しい条件が盛り込まれており、中種以下の一般市民は受験さえ認められなかった。

 条件を緩和して初めて行なわれた国家公務員試験。
 一番の成績で合格したのは、貧しい家庭出身の小さな黒猫だった。

 彼は今、レオンハルトの秘書官として立派にお役目を果している。

 重種が何だ。軽種が何だ。身分や貧富の差で振るいに掛けていては本当に優秀な人材は得られない!

「それらを変えようと戦っている最中だ。だからこそ、いつ何が起るか分からん」

 特殊部隊時代の同僚達が守ってくれているが暗殺の心配は付きものだ。
 例え襲われても獅子のプライドをかけ、全力で叩きのめしてやる。

「・・・つまらない話をしたな」

「そんな事はありません。レオンハルト様はご立派です。私も一般家庭出身だから分かります。『王』が民の味方である事がどれほど心強いか。レオンハルト様に希望を見出している人々は大勢います」


『レオンハルト様、ありがとうございます。レオンハルト様のお陰で私の家は貧困から抜け出すチャンスを掴めました。ご恩は一生掛けてお返し致します。本当にありがとうございました』


 任命式の日、黒猫秘書官のイーサンは涙を流しながらレオンハルトに感謝した。


 ・・・ああ、己の行動は決して間違ってはいなかったのだと実感した瞬間だった。

 言葉通り、イーサンはレオンハルトに忠誠を誓い自分を一番近くで支えてくれている。有能な彼にどれだけ助けられたか。

『レオンハルト様!神殿の速報をご覧になりましたか!?これは運命です!レオンハルト様を支えて下さる美しくて聡明な奥方様を見つけましょう!』

 前のめりになるイーサンに押される形で、レオンハルトは見合いに応募した。

 応募したと同時にイーサンは講師を呼んで恋愛指南塾を始めた。
 何故かレオンハルトは強制参加となった。
 あの時は納得できなかったが今なら分かる。女性に気遣えず、思った事は馬鹿正直に口に出すレオンハルトは悉く見合いに失敗した。


 全敗して国に帰る覚悟が出来た頃、明石が最終候補の一人として選んでくれた。

 今更だが自分の何処が気に入ったのだろう??

「・・・その、一つ聞いても良いか?」

「はい、何でしょう?」

「どうして俺を選んでくれた?散々やらかした男なのに」

 バツが悪そうに目を逸らすレオンハルトを見て明石は笑った。

「嘘をつかない所が素敵だと思いました。レオンハルト様は何でも正直に話して下さいます」

「馬鹿正直な所が気に入ったのか?変わっているな」

「そうですか?私は取り繕わず、ありのままに気持ちを伝えてくれるレオンハルト様に魅力を感じました。迷惑でなければ嬉しいのですが」

「迷惑な訳あるか!!嬉しかったぞ!」

「本当ですか?」

 明石は嬉しそうに微笑んだ。
 女性を喜ばせた経験が一度もないレオンハルトは嬉しくなり、更に彼女を喜ばせたくなった。

 そして見事に失敗した。

「本当だ!明石は美人で優しい上に胸も大きい!今まで見てきた中でダントツだ!あの時は偽物と疑って済まなかったな!!」

 明石は恥ずかしそうに胸を隠した。
 後から殺気が漂う。ちらっと後ろに視線を向けると、透輝が恐ろしい顔でレオンハルトを睨み付けていた。


 ・・・あれ?俺、またやらかした???
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】一番腹黒いのはだあれ?

やまぐちこはる
恋愛
■□■ 貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。 三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。 しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。 ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

酒の席での戯言ですのよ。

ぽんぽこ狸
恋愛
 成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。  何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。  そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。

好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った

しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。 彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。 両親は彼の婚約者を選定中であった。 伯爵家を継ぐのだ。 伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。 平民は諦めろ。 貴族らしく政略結婚を受け入れろ。 好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。 「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」 待ってるだけでは何も手に入らないのだから。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

処理中です...