Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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明石の章

明石の章⑩

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 ・・・これは一体どういう状況だろうか???

 目覚めたレオンハルトは自分を抱き枕にして眠る明石を見て戸惑い、同時にドキドキしていた。

(ね、寝顔が可愛いな)

 クウクウと寝息を立てて眠る明石が可愛くて、レオンハルトはジッと明石を見つめていた。

 間近で見る明石の顔は本当に整っている。
 長い睫に滑らかな頬、ピンクの唇は艶々でふっくらとしている。長い黒髪も綺麗で良い匂いがした。
 もたれ掛かる体の感触も柔らかい。

 最初は戸惑ったレオンハルトだが、明石の抱き枕になるのも悪くないと思った。
 
 動いたらこの幸せな時間が終わってしまいそうで、レオンハルトは動けずにいた。

(しっかしずっとこのままって訳にはいかないしなぁ・・・。透輝は様子を見に来ないのか??)

 さてどうしたものかと顔を上げると、ジッと自分を見下ろす透輝と目が合った。

「!!!???」

「お静かに」

 透輝は一体何時からそこに居たのか。

 特殊部隊出身のレオンハルトが気付かないとは。
 優しそうな顔をしているが、きっと戦闘能力もレオンハルトに引けを取らないのだろう。

 流石は『八人の美姫』の護衛に選ばれた武官だ。

「明石様を迎えに来たのですが、お二人が余りにも気持ちよさそうに眠っていたもので。起きるまで見守っていました」

「いや、そこはさっさと明石を連れて帰るもんじゃないのか??俺が襲ったらどうするんだよ」

「貴方様にそのような度胸はありませんよ。本当は女性が苦手でしょう?」

 キッパリと断言されて咄嗟に反論が思い浮かばず、レオンハルトは口をパクパクさせた。

「は?いや、その、苦手というわけでは・・・」

「・・・だとしたら怖い、ですか?」

 透輝はじっとレオンハルトの瞳を見た。レオンハルトは突然核心を突かれて動揺した。


『本当は貴方が好きだったんです。貴方だって私が好きでしょう?』

 真夜中の寝室。

 レオンハルトの上に誰かが乗り上げてきた。
 暗殺目的の刺客なら良い度胸だと瞼を上げると、そこにいたのは裸の女だった。

 その顔を見て、レオンハルトは血の気が引いた。

 ぐっと吐き気が込み上げて咄嗟に俯いた。透輝は驚いてレオンハルトの背中を撫でた。

「大丈夫ですか!?」

「・・・・・・・」

 獅子の顔色は一目見て判別が着くほど青くなっていた。
 医者を呼ぼうとした透輝を止めたのはレオンハルトだ。

「大丈夫だ。ちょっと気分が悪くなっただけだ」

「・・・踏み込みすぎましたね。申し訳ありませんでした」

「謝る必要はねぇよ。これは俺の問題だからな。明石には言うなよ」

「分かりました。明石様は私を連れて戻ります。イーサン殿を呼んで参りましょうか?」

「アイツに心配はかけたくない。一人で帰る」

「・・・そうですか」

 透輝は勘が鋭い。

 かなり早い段階で透輝はレオンハルトの女性不信を見抜いていた。
 気に入らない男に少々意地悪をするつもりで踏み込んでみたが、どうやら自分が触れてはならない領域だったらしい。

「プレゼントも明石様に渡しておきます。随分珍しいですね。今まで何も贈ってこなかったのに」

「わ、悪かったな!男なんて大体こんなもんだろ!?」

「・・・こう言っては何ですが、朱寧様とオマール様はそれはそれは熱心に贈り物をして手紙を送り、明石様にアピールしていました。落選したお見合い相手の方々も同じです。まっっったく何もしていないのは貴方だけです。私達護衛官は報告も兼ねて話をしますが、仲間内でも貴方の評判は最悪です。ハッキリ言って選ばれたのは奇跡です」


 容赦ない言葉の数々にレオンハルトはショックを受けた。

 ・全く何もしていないのは自分だけ。

 ・お見合いの評判は最悪。

 ・選ばれたのは奇跡。


 ダメージが大きすぎてそれ以上何も言えず、レオンハルトは獅子の姿のままトボトボと歩いて帰った。

 シュンと垂れ下がった尻尾が見えなくなると、透輝は明石を姫抱きにして神殿の最深部へ戻ったのだった。
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