116 / 201
明石の章
明石の章⑯
しおりを挟む翌朝、飲み過ぎたレオンハルトはベッドでグッタリと横になっていた。
「・・・きもちわる・・・」
「飲み過ぎですよ!!」
イーサンはブツブツ小言を言いながらも水を差しだしてくれた。
「朝食はどうですか?食べられそうですか?」
「何か食べないと落ち着かんが、今は気持ち悪さが勝ってる・・・」
ならばさっぱり系のお粥が良いだろう。
イーサンはパパッと卵粥を作った。おだしの香りが部屋に広がる。
完成すると、イーサンは卵粥をレオンハルトの前に差し出した。
「さ、レオンハルト様。これを食べて休んだら、明石様に会いに行きましょう。手紙が届いていますよ」
「何!!本当か!?」
レオンハルトは勢いよく起き上がったが、気持ち悪さで再びベッドに沈んだ。
何とかお粥を食べ終え、二日酔いに効くドリンクを飲んで手紙を開封する。
思えば女性から手紙を貰うのは初めてだ。何かすごくドキドキする。
『レオンハルト様、お手紙ありがとうございます。
本当は直接会ってお礼を言いたいのですが、都合が合わず申し訳ありません。
全部開けて見て驚きました。
故郷の家族の分まで用意して下さり、ありがとうございます。レオンハルト様のお心遣いを決して忘れません。
レオンハルト様、私はレオンハルト様を最悪だと思ったことは一度もありません。
出会ったばかりの私でも分かります。レオンハルト様はとても優しくて思いやりに溢れた方です。
私はお見合い前に色々あって落ち込んでいました。自信を無くした私ですが、レオンハルト様と一緒にいると勇気と元気を貰えるんです。
頑張ろう、前を見ようと前向きになれます。
レオンハルト様は凄いです。
あと、私は母が作る甘い卵焼きが大好きです。
レオンハルト様は甘い物は好きですか? 明石より』
レオンハルトは何度も何度も手紙を読み返した。
明石は俺と一緒にいると、勇気と元気を貰えるらしい。頑張る気力が湧くそうだ。
レオンハルトの顔が熱くなる。尻尾もブンブンと揺れる。
・・・何か、照れるな。
俺も明石と一緒にいるとドキドキするんだ。
特殊部隊時代でも経験したことないドキドキと緊張で、体が思うように動かなくなる時がある。
頭の中はもっと酷い。真っ白になって、気の利いた言葉は一切思い浮かばない。馬鹿正直に思った事は全て口に出してしまう。
本当は明石を喜ばせたいのに。
優しい女性は母さんとユキヒョウのリアーナしか知らない。
明石はとても優しくて綺麗で、俺には勿体ない女性だ。
勿体ないと思うのに一緒になりたいと思う。叶うなら抱きしめたい。全力で守りたい。
明石を思うと心が落ち着かなくなる。
「母さん・・・俺、好きな女が出来たかも」
レオンハルトはポツリと呟いた。
記憶の中の母が、小さなレオンハルトの頭を嬉しそうに撫でた。
0
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った
しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。
彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。
両親は彼の婚約者を選定中であった。
伯爵家を継ぐのだ。
伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。
平民は諦めろ。
貴族らしく政略結婚を受け入れろ。
好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。
「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」
待ってるだけでは何も手に入らないのだから。
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる