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明石の章
明石の章㉑
しおりを挟む「黒いフルートっていうのが意味深ですね・・・」
ユアンはカードを手に取り、じっと見た。
「確か明石殿はフルート奏者でしたね」
「そうなのか??」
「・・・本当に何も聞いていないんですね」
イフラースはガクッと肩を落とした。
レオンハルトは今更ながら気付いた。
自分は明石について殆ど何も知らない。趣味すら聞いていなかった。
ポンコツにも程がある。駄目な自分はずっと明石の優しさに甘えていたのだ。
落ち込むレオンハルトを元気付けようと、空とユアンは自分達が知る範囲で情報を提供した。
「明石さんは家族を大切にする人が良いそうです。虐げられた女性を支援する仕事をしていて、家族を大切にしない男性は尊敬できないと言っていました」
「趣味は刺繍とフルートだそうです」
家族を大切にする。
当たり前だが、大切にできず傷つけた上に捨てる者が一定数いるのは事実だ。
仕事とはいえ、悲惨な光景を目の当たりにした明石はどれだけ傷付いたのだろうか。
側にいたら盾になったし、家族を捨てるクズは代わりにぶちのめしてやるのに。
明石には笑っていて欲しい。
椅子に座り、刺繍をする明石を想像する。
俺はその隣に座っていて、明石と刺繍を交互に見る。ふと明石が顔を上げると、目が合う。
明石は嬉しそうに笑ってくれた。
俺も嬉しくて、滑らかな頬に触れた。
ああ、これが夫婦ってやつなのか。
初めて想像したらとんでもなく恥ずかしいが、嫌ではなかった。
「空、ユアン、ありがとうな。俺は本当に駄目な男だ。もっと明石と話しておけば良かった」
「そんな事はないです。レオンハルト王、これからですよ。明石さんを一番最初に見つけて、二人の未来を話せば良いじゃないですか」
「そうですよ。私で良ければ何でも協力します。先ずはマップを手に入れましょう!」
「私もお手伝いします!」
イフラースも手を上げた。
「実は、浮舟さんは明石さんと仲が良いそうです。明後日に会うので、それとなく聞いてみます」
「イフラース。俺の心配はしなくて良い。浮舟との時間はお前の為だけに使え」
キッパリと言い切るレオンハルトは本当に格好いい。空は思わず呟いてしまった。
「格好いいです」
「え?」
「本当に、格好いいですよレオンハルト王は」
「そんなレオンハルト王だから、私も力になりたいんです」
友からの賞賛にレオンハルトは黙って俯いた。尻尾もユラユラ揺れている。
恐らく照れているのだろう。
「ありがとうな」
「はい」
「いえいえ」
「い、一緒に頑張りましょう」
「ああ!絶対に明石を一番最初に見つける!任せておけ!」
「「「はい!」」」
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