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明石の章
明石の章㉒
しおりを挟む翌日、レオンハルトは透輝の元に突撃した。
「マップが欲しい」
「マップ・・・ああ、地図ですね」
透輝はため息をついた。
「朱寧様とオマール様も同じ質問をされました。残念ですが当日でないとお渡しできません。全てにおいて、御三方には同じ条件で最終審査を受けて頂きます」
他人の知恵は借りるなということだろう。
「はぁ・・・仕方ないか」
レオンハルトは大人しく引き下がった。
「明石は元気か?」
「ええ。お元気ですよ。レオンハルト王、明石様から伝言を預かっております。
『レオンハルト様、返事を出せず申し訳ありません。沢山頂いたプレゼントの中で、私は獅子のヌイグルミが一番のお気に入りです。とても可愛いです』とのことです」
獅子のヌイグルミ。
それはレオンハルトがどうしても渡したくて購入したヌイグルミだ。
三十㎝くらいの、つぶらな目をした獅子。ぽっこりしたお腹が可愛くて手に取ると、イーサンは「子どもっぽくないですか??」とやんわり反対した。
確かに子供用のヌイグルミだ。それでもレオンハルトは購入した。
「そうか・・・良かった」
少しでも自分の存在を感じて欲しい。そんな動機で買ったなんて言えなかった。
明石はレオンハルトの気持ちに気付いたのだろうか?
いや、単に見た目が可愛いから気に入ったのだろう。
レオンハルトの意図に気付かなかったとしても、明石が一番に気に入ってくれた。
それがとてつもなく嬉しかった。
「なぁ、プレゼントを追加で贈るのは可能か?」
「いいえ。あと二日、手紙も贈り物も受け取りません。花もです」
「そうか・・・」
キッパリと断られてしまった。
厳しいと思ったが、それが『公平』とやらなのだろう。
「なら伝言だけ頼む。『明石、俺は甘い物が大好きだ』」
「まぁ、それ位なら良いでしょう」
透輝は以前、レオンハルトの心の内に土足で踏み込んだことを後悔していた。
本来なら厳しく対応しなくてはならないが、これで借りは返した。
「では私はこれで」
「ああ」
続きは明石と直接話そう。
話したいことが沢山あるんだ。
帰ろうとすると、またまた朱寧・オマールと鉢合わせた。
だがもう、嫌ではない。
「飯でも食って帰るか?」
「「ですね」」
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