Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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明石の章

明石の章㉓

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 最終審査当日。
 空、イフラース、ユアンはレオンハルトに差し入れを持って来た。

「レオンハルト王!このリュックの中にお役立ちグッズを沢山入れておきました!五日は大丈夫ですよ!」

 ユアンはパンパンに膨らんだリュックをレオンハルトに手渡した。
 ズシッと重たい。一体何が入っているのか??

「泥水を飲み水に変えるキットにライター、方位磁石、サバイバルナイフと思いつくものは全て詰めてあります!生存確率は確実に跳ね上がるかと」

「俺からはお弁当と非常食を。レオンハルト王、ペットボトルの水は何本まで持ち込み可能ですか?」

 空はよいしょ、と箱入りのミネラルウォーターを置く。
 その上には今日の弁当と軽食、保存食が積まれていた。

 俺はこれから無人島へ行くのだろうか?

 空達は最終審査をサバイバル訓練か何かと勘違いしていないだろうか??

 
 冷静なディアゴとミハエルが卒業した今、レオンハルトの友人は天然と心配性しか残っていない。

 ツッコミ役不在の弊害が今まさに出てきた。

 この大荷物を抱えて移動など出来るわけがない!
 しかも誰もおかしいと気付いていない。斜め右に立つイフラースですら食料らしき紙袋を持っている。

 レオンハルトはふと遠い目をした。

 きっと差し入れの出番はない。逆に大荷物が出来た。
 彼らにあるのは自分への好意と応援したい気持ちだと分かっている。
 だからこそ笑顔で受け取ろう。

 レオンハルトはリュック、食料と水をイーサンが持って来た台車に全て乗せた。

「あ、私からは情報と明石さんへの差し入れ用のお菓子です」

 イフラースは可愛らしい手提げ袋をレオンハルトに手渡した。

「浮舟さんは明石さんについては殆ど何も語りませんでした。ただ、『明石も苦労している。力を持たない平民は貴族にとってはゴミ以下だ』とだけ教えてくれました・・・」 

 イフラースの声は次第に小さくなっていった。
 この一言は想像以上に重い。

「・・・そうか・・・」

 レオンハルトは平民の血を引くからこそ、その言葉の重さがよく分かる。

 王座に就いたレオンハルトは母の死因となった事故について再調査した。
 マリアンナはいずれ再調査されると分かっていたのだろう。
 証拠どころか事故の詳細な記録、運転手諸共消されていた。

 王妃の権力は絶大だ。庶民出身の母は到底太刀打ちできず、父は母を遠くへ隠すしかなかった。
 あの女からすれば母と自分の命などそこらに転がる石ころ以下だろう。
 貴族の傲慢さは嫌と言うほど知っている。

 だからこそ決めている。
 俺が民の味方になると。

 明石もだ。身分で誰かに傷つけられたのなら俺が仇を取ってやる。
 二度と同じ目に遭わせない。何があろうとも俺が守る。

「空、ユアン、イフラース。ありがとうな。行ってくる!」

「レオンハルト王!頑張って下さい!」

「私達は透輝殿に聞いた出口で待っています」

「き、きっと大丈夫です。レオンハルト王なら明石さんを見つけられます」

 空・ユアン・イフラースの声援は温かくレオンハルトの胸に広がった。

 このお見合いに参加して本当に良かった。
 『レオンハルト』を心から応援してくれる友人達を得られたのは奇跡だ。
 種族の違いなど関係ない。きっとこれからの世界に『種族』の境界など必要なくなるのだろう。

「ああ、任せとけ!」

「「「はい!」」」

 レオンハルトは台車を押し、仮想都市入り口ゲートがある薔薇園まで向かった。
 イーサンは仮想都市までお供したかったが、ぐっと堪えた。

 大神殿に来てからずっと、レオンハルトの護衛を務めているクラウスも同じだ。
 薔薇園入り口でレオンハルトは立ち止まると、二人の顔を見た。

「イーサン、クラウス、行ってくるな」

「レオンハルト様、お気を付けて」

「絶対嫁さんを連れて帰って来いよ。信じているからな」

「だな。明石を連れて国へ帰ろう」

 レオンハルトは笑うと、一人で薔薇園に入っていった。

 イーサンとクラウスは主の背を見送った。頼りがいのある広い背中。
 我らが王の勝利を二人は信じていた。
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