Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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明石の章

明石の章㉔

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 仮想都市入り口ゲートは薔薇園の奥にひっそりと設置されていた。

 朱寧・オマールもレオンハルトと同時刻に到着し、最終候補者は全員揃った。

「レオンハルト王・・・無人島にでも行かれるのですか?」

「重装備ですね」

 朱寧とオマールは台車をじっと見た。
 どう思われようが構わない。レオンハルトはムンッと胸を張った。

「友人達からの差し入れだ」

「残念ですが、全て置いて行って貰います」

「うわっ!!」

 透輝がレオンハルトの真後ろに立っていた。
 気配は感じなかった。正直心臓に悪い。

「折角の差し入れだ。どうしても駄目か?」

「不正があってはいけません」

「はぁ・・・だったら弁当は今食うから待ってくれ。空の気持ちを無駄にしたくない」

 そう言うとレオンハルトは弁当を手に取る。
 今日の分なので弁当は全部で二つ、軽食のサンドイッチが一食分入っていた。

「折角だし皆で食べないか?勿体ないし」

 透輝ははぁ、とため息をついた。

「食べ物を粗末にするのは私の本意ではありません。食品のみ、休憩スペースに配置します。それでよろしいですか?」

「助かる。あ、これだけは明石に渡して貰えるか?友人が明石にって用意してくれた」

「失礼ですがご友人の名前を伺っても?」

「イフラースだ。鉱山王の」

「ああ、浮舟様の」

 明石と浮舟は仲が良い。浮舟の側仕え兼護衛の灰簾と話す機会も当然多くなる。

 伝説の土下座求婚は護衛達の間でも賛否両論で意見は真っ二つに分かれているが、透輝は嫌いではなかった。

「最終審査終了後に、明石様にお渡しいたします」

「そりゃ助かる。俺の腹に入ったなんて知ったらイフラースは悲しむだろうからな」

 いや、恐らくイフラースは気にしない。

 それよりもプレゼントの菓子に手を付けなければならなくなったレオンハルトの状況に涙するだろう。

 
 透輝は腕時計を確認した後、視線をゲートに向けた。

「・・・さぁ、いよいよですね。ゲートが開放されます」

 ゲートは一見すると、白い柱が二本建っているようにしか見えない。
 ブンッと音が鳴ると同時に青白い電流が走り、二本の柱の間に真っ黒な球体が浮かび上がる。

 この球体こそが仮想空間への入り口なのだろう。

 入り口が人一人通れる大きさに拡大すると、中からミニチュアシュナウダーの文官が出てきた。

「ゲートが無事通過しました。中へお入り下さい」

「その前に、お三方のスマホと電子機器はここで全て回収します。最終審査が終了次第、返却しますのでご安心を」

 レオンハルト、朱寧、オマールは透輝にスマホ、イヤホンを手渡す。
 透輝は持ち主の名前が書かれた付箋を回収したスマホ等に貼ると、ミニチュアシュナウダーが持って来た袋の中に入れた。

 ミニチュアシュナウダーの文官はギュッと袋を縛ると、透輝と最終候補者三人に一礼して薔薇園から出て行った。

「それでは、お三方は私の後を付いて来て下さい。決して離れないように」

「ああ」

「ええ」

「分かりました」

 レオンハルト、朱寧、オマールの順番で透輝の後を一列になってついて行く。
 電流の影響か、静電気が酷い。レオンハルトの髪と尻尾は一気に逆立った。

「「・・・・・」」

 チリチリ逆立つ髪の毛と尻尾を真後ろにいる二人は笑いをこらえながら見る。
 レオンハルトも気付いているが、恥ずかしくて何も言えなかった。
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