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明石の章
明石の章㊹
しおりを挟む「と、このような感じでお二方は臨時のお見合い中でございます」
レオンハルトは明石の実妹が来ているとは知らない。
罰ゲームの詳細を聞いて驚いていた。お手つきは勘弁したいが、明石の妹は見て見たかった。
「実は弟達も来ています」
「「「明石姉さん~~!」」」
遠くから女装した御影、吹雪、出雲が手を振っていた。レオンハルトは衝撃の光景に吹き出した。
御影、吹雪は渋い父親似でそこそこゴツいが、出雲は胸がペッタンコな明石だ。
「「「おめでとう~~!明石姉さん!」」」
嬉しそうに飛び跳ねる弟達を見て明石は泣き笑った。
「ありがとう!御影、吹雪、出雲!!大好きよ!!」
「「「俺達も大好き!!」」」
「うん!!」
レオンハルトには兄しかいないが、弟がいたらこんなに賑やかなのかと思った。
きょうだいって良いな。
もし明石が許してくれるなら、子どもは沢山欲しいと思った。
明石一家のようにきょうだいの絆が強く、仲良しなら最高だ。
「結婚式には呼ぶからな!俺はレオンハルト!よろしくな!」
「明石姉さんをよろしくお願いします!」
「俺はレオンハルト王推しでしたので嬉しいです!」
「浮気は駄目絶対ですから~~!!」
「しねぇよ!!」
即答に満足した弟達は笑いながら姉と姉婿を見送った。
レオンハルトと明石は出口と書かれたゲートをくぐり、神の国大神殿へ戻った。
出口には空、イフラース、ユアンがいて、イーサンはレオンハルトの腕の中にいる明石を見て号泣した。
「レオンハルト様・・・!!わ、私は信じていました!!明石様を見つけるのは絶対にレオンハルト様だと!!」
「泣きすぎだ。まぁ、気持ちは分かる。俺も泣きそう」
クラウスも目を赤くしていた。
「明日、帰る。準備を進めてくれ」
「御意ッ!」
「了解!」
王が『正妃』を連れて国へ帰還する。
イーサンとクラウスは走る。
国に帰ったら忙しくなる。王の結婚式となると準備も相当な時間が掛かるが、そこはやり手のイーサンの腕の見せ所だ。
絶対に最高の式を挙げる!
猫族の歴史に残る式にしなければならない!
イーサンとクラウスが風のように走り去ると、レオンハルトは空、イフラース、ユアンに勝利を報告した。
「レオンハルト王、おめでとうございます」
「本当に良かったです・・・!」
ユアンは眼鏡を外して泣いていた。ポンコツ王が八人の美姫人気ナンバーワンを射止めた。
これはとんでもない快挙だ。
「・・・決まったのね」
「!?」
いつからそこに居たのか。
腕を組み、空達の丁度真後ろで様子を見ていたのは浮舟だ。
彼女は黒地に髑髏と燃えるように赤い彼岸花の着物を着ていた。
恐ろしいが美しかった。
「う、浮舟さん!」
イフラースは頬を染めて浮舟を見た。
彫りの深い、野性味のある美貌は明石だけを見た。
「浮舟、来てくれたのね」
明石は嬉しそうに微笑んだ。
「ちょっと心配だったし。ふ~~ん。脳筋王に決まったのね」
「脳筋・・・」
レオンハルトの顔が引き攣った。
浮舟はハッと笑った。
「芸術のげの字も理解出来ない筋肉は脳筋でしょうよ。まぁ、明石が納得して選んだのなら価値のある脳筋ね」
どうにも褒められている気がしない。
これは浮舟との見合いも相当やらかしたのだろう。
怖くて空とユアンは口を挟めず、イフラースはオロオロしていた。
浮舟にとってこれが『普通』なのか、明石は気にせずニコニコ笑っていた。
「ありがとう浮舟、心配してくれて」
「・・・明石だけよ。ねぇ脳筋王、明石を不幸にしたら絶対許さないから。ぶっ殺した上で離縁させる。勿論二度と会わせない。心配はしなくて良いわよ?明石と家族五人くらい、私の収入で充分養えるし」
人気画家、浮舟の絵は高額で取引される。
美女の凄みにレオンハルトは目を逸らさず、正面からしっかり受け止めた。
「安心しろ。俺は明石以外の女に触れたりしないし興味も無い。必ず幸せにするから安心してくれ」
「・・・約束よ。王様」
それだけ告げると、浮舟は去った。
イフラースが慌てて追いかけ、彼女をカフェに誘っていた。
仲が良い明石との別れは寂しいのだろう。浮舟はイフラースの誘いに同意し、共にカフェへ向かった。
「寂しくなりますね。レオンハルト王が卒業するのは」
空は寂しそうに俯いた。
レオンハルトはいつも空に優しかった。
優しいお兄様が卒業するのは寂しいが、彼が幸せそうに微笑んでいるのが何より嬉しい。
だから笑顔で見送ろう。
これまで彼が友人達を笑顔で見送ってきたように。
「何言ってんだ。いつでも遊びに来い。お前なら大歓迎だ」
「はいっ!」
レオンハルトは空の頭を撫でた後、明石を連れて神殿の奥に向かった。
明日、彼は明石を連れて国へ帰る。
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