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浮舟の章
浮舟の章①
しおりを挟む「君達は当時、どの国が最強と呼ばれていたか知っているか?」
翠遙は千年前の地図を広げ、ホワイトボードに貼り付けた。
「その軍は圧倒的不利の前評判を覆し、鳥の国に圧勝した。国境の領有地争いをしていた人族は恐れ戦き、戦わず逃走した。黒い甲冑を身に付け、統率された動きに練り上げられた戦略。勇敢で恐れを知らぬ軍隊は龍族すら恐れていた」
当時、その軍が奪った領地を翠遙は赤く塗りつぶす。
鳥の国は領地の三分の一を奪われ、人族は国境と大陸を横断できる唯一の大道、桐の道一帯を支配された。
「・・・そして、彼らは虐殺に遭い国力が弱り始めた黒狐族の国に目を付けた」
彼等が住む国土の多くが岩と砂漠で、緑は殆ど存在しない。
故に緑豊かな大地を渇望していた。
黒点痘の流行により、肥沃で豊かな大地が『力』で手に入る可能性が出てきた。
頑丈な体に殉教を意味する黒い甲冑を身に付け、彼らは進軍する。
――有鱗目族の大罪、『略奪した罪』の始まりである。
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