Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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浮舟の章

浮舟の章㉕

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 浮舟はイフラースを連れて大神殿屋上に来ていた。

 軽い身のこなしで浮舟は柵を越えた。その先には何もない。

「!危ない!!」

 咄嗟に手を差しのばすが、浮舟はひらりと躱した。

「ねぇ、本当に私で良いの?知っているでしょう?私酷い女よ?」

 あの日の暴力を言っているのだろう。
 イフラースは首を横に振った。

「これからは私が止めます。浮舟さん。私の役目は貴女をここへ引き留めることです。私がいる限り浮舟さんを境界線から外に出させはしない。何度だって止めて見せます」

 イフラースは笑った。

「こう見えて心も体も頑丈なんです。あれくらいは暴力に入りません」

「本当に優しいのね。だから悪い女につけ込まれるのよ」

「浮舟さんは悪い女じゃありません」

「ふふ、私が最初で最後の女だものね?ずっと分からないか」

「構いません」

 差しのばされた手を浮舟は取った。

 そのままイフラースは引っ張ると、浮舟は素直に胸に飛び込んだ。

「ねぇ、レオパに戻らないの?」

「レオパの方が好みですか?」

「慣れなくて。あの可愛い顔は落ち着くわ」

「普段はレオパの姿で過ごしているんです。浮舟さんの望みとあらば、私は何でも叶えます」

 笑うと、イフラースはいつものレオパの姿に戻っていた。

 浮舟は黄色のレオパを見て満足そうに笑った。

「まだまだあるんだけど。私生活能力はないわよ。掃除洗濯料理は一切しない」

 なので浮舟のアトリエ兼住宅はゴミ屋敷だった。
 見かねた端眼や、明石一家が定期的に掃除してご飯も作っていた。

「私がします。こう見えて料理は得意なので」

「あら、そうなの?」

「シチューが一番上手に作れます」

「家に着いたらすぐ作って」

「勿論です」

 浮舟はイフラースの体に寄りかかって目を閉じた。

「絵を描いているときは引き籠もって出てこないわよ。寂しくない?」

「ご飯を置いていくときに話し掛けます。少しでも私を思い出して貰えると嬉しいです」

「美味しいご飯を食べる度に貴方の顔を思い浮かべるわ」

「それで充分です」
 
 イフラースは優しい。
 ちゃんと浮舟の望む答えをくれる。
 だからつい、浮舟は無茶を言ってしまうのだ。
 
「あと、これは絶対約束して。私より先に死なないで。もう置いて行かれるのは嫌」

「ど、努力します」

「・・・貴方、本当に見る目無い。もっと条件の良い女は沢山いるでしょうに」

「浮舟さんしか興味ないです。だから私達は幸せになれますよ。幸せになりましょう」

 浮舟は返事をしなかったが、その代わりレオパの口にチュッと口づけを落とした。

「あ、あわわ・・・」

 真っ赤な顔のレオパが面白くて浮舟は笑った。
 もう充分、幸せだ。
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