Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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花散里の章

花散里の章⑦

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 本には彼女の詳細も書かれていた。

 サンノミヤは黒狐族王家のプリンセスで、三番目に生まれた娘だからサンノミヤと名付けられたそうだ。

 小柄で大変愛らしく、レオベルト王子は一目で恋に落ち二人はやがて恋仲となった。
 だが、虐殺が二人の仲を引き裂いた。

 レオベルト王子は虐殺に遭い、滅亡一歩手前の国からサンノミヤを迎えに行ったのだ。

 あの島はレオノーラ王女が二人の隠れ家として用意した物だ。
 町も、レオベルト王子が出来るだけ多くの黒狐族を連れて帰るために設備された。

 ・・・結局、使われぬままで終わった。

 物語の結末も二つ用意されていた。

 一つは事実。

 もう一つは騎士達が望んだ未来。

 ・・・現実は残酷だ。
 だからこそ望んだ未来の結末を見て涙が出た。

 胸を打たれたウィリアムは物語と史実を照らし合わせ、王子と騎士が辿ったルートを調べた。

 レオベルト王子とサンノミヤ、騎士達の物語が真実だと証明して見せたかった。

 研究に没頭し、領地の運営も手を抜かない。
 結果、厳格なピューマは独身のまま三十三の誕生日を迎えた。

 一人でもウィリアムは満足していた。
 三十三の誕生日に研究の成果を発表し、大反響を得たからだ。
 
 手応えを感じたウィリアムは歴史研究家として本格的に活動を始めた。
 レオベルト王子の資料が新たに発見されたら自ら出向き、収集する。
 研究室は書物と資料で倒壊一歩手前だ。そろそろ増築も必要かもしれない。

 ウィリアムはいずれ黒狐族側の資料も確認したいと思っていた。

 レオベルト王子が愛したサンノミヤ。
 本だけでは掴めない彼女の実像が黒狐の国に必ずあるはずだ。

 サンノミヤが確かに実在した証をこの目で確かめたかった。
 
「・・・つい熱く語ってしまいましたね。失礼」

「いいえ。素敵です。千年前、誰からも否定された恋をウィリアム様が肯定して下さったのです。きっと天国の二人も喜んでいます。騎士様達も」

「・・・確かに。すっかり二人のファンです」

「そういえば、もう一人の騎士、アナキン様は猫族の方なのですか?」

「これが詳細を書いていないのです。分かっているのは彼も何かしらの騒動を起こして牢屋に入れられていたそうですが」

「・・・罪人だったと?」

「恐らく、他種族の男です。騒ぎを起こして牢屋に入れられたものの、扱いに困ったのでしょう。最後は私の先祖が故郷に連れて帰って面倒を見ていたようです」

「仲が良かったのですね」

「二人は戦友でもありますからね。千年も隠され続けた秘密を共有した仲です。正直、羨ましいです」

 彼と話すのは好きだ。

 理知的で、時折見せる情熱的な一面は好感が持てる。

  責任感が強いのも良い。領民の信頼がない男など駄目に決まっている。
 その点、彼は領地を手堅く運営する優秀な領主だ。

 ・・・ああ。自分の駄目な一面が出ている。

 感情より理論、条件、将来性。花散里は首を横に振った。

「もっとお話を聞かせて下さい。次はウィリアム様自身のお話を」

「・・・では、チェスをしながらお話ししましょう」

「それは良いですね」


 花散里は微笑んだ。
 ただ、自分は負けず嫌いだ。勝負事なら尚更。

 自分に負けていじけるような男ならここで切ろう。
 大人しげな顔に潜む冷酷な一面が出てくるが、微笑みを浮かべて無理矢理引っ込めた。
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