Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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二次審査編

二次審査①

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 『神の国』
 天帝により大陸の最北端に建国された国だ。
 首都は『神殿都市』と呼ばれ、大小様々な神殿が建てられている。各国から集まった神官達が世界の平和を願い、祈りを捧げている。神の国は直接天界とやり取りが出来る唯一の国。天界の神官・文官が降りたって祭事を担うこともあった。
 
 空は現在、面接を受けるために他の候補者達と待機していた。ここは天帝の配偶神が祀られる純白の神殿。数ある神殿の中で最も美しいと評される建築物だ。

 空が辺りを見回すと、六種族そろい踏みで見ていて楽しい。だがここに居る候補者達はごく一部で、空は第B班の一人だ。

 B班の前日にA班は面接を終えているそうだ。E班まであるそうで、三次審査に進めるのは何人か分からない。空も祖父の顔を立てて全力で挑むが、正直この狭き門を突破する自信は無い。参加者を見る限り、自分が一番子どもだからだ。

 ・・・だが、隣の椅子に座る人物、もとい蜥蜴を見たら別の意味で不安が増してくる。紺のスーツを着た黄色い蜥蜴は緊張からかガタガタと震え、キョロキョロ辺りを見回したりと忙しない。
 緊張しているのは自分も同じ、親近感を覚えた空は勇気を出して声を掛けてみた。

「緊張しますよね」

「ぅえ!?ひっ、は、はひぃぃ!!」

 黄色い蜥蜴は突然話し掛けてきた空に驚いたようだが、返事はちゃんと返してくれた。ビクビクする黄色い蜥蜴は目が丸くて可愛らしい。空は改めて自己紹介から始めた。

「俺は久是空といいます。人族の学生です」

「わ、私はイフラースです。うわぁ、イケメンですね・・・」

 イフラースと名乗った有鱗目族の青年は、蜥蜴ではなくレオパだった。レオパはヤモリの一種で、美しい色合いが特徴らしい。

「イフラースさんは人型をとらないんですか?」

「人型は苦手で・・・」

 人族以外の種族は、本来の姿と人型を使い分けながら生活をしている。龍、猫、鹿、鳥の標準は人型だが、有鱗目族は本来の姿で過ごす事が多い。現神官長もニシキヘビの姿で活動している。

「こんな姿では相手にされないでしょうが、お相手に嘘はつきたくなくて」

 イフラースは自信なさげに俯いた。綺麗な黄色の尻尾もシュンと垂れ下がっている。

「・・・俺、イフラースさんと会ったばかりですけど、友達になりたいです」

「え、ええ!?」

「相手にされないなんて、そんな事はないと思います。イフラースさんは誠実で優しいからモテるんじゃないですか?」

「モテた経験は無いんですが、イケメンに褒められるのは嬉しいです」

 イフラースは照れからか、頬を赤く染めた。尻尾もユラユラ揺れている。ほっこりした空が連絡先を交換しようとスマホを取り出すと、ポンポンと肩を叩かれた。振り向くと、白い長髪が目を引く碧眼の美男子が笑っていた。

「ボーイズトークなら俺も混ぜてよ」

 ニカッと笑った鳥族のイケメンは、ミハエルと名乗った。華やかな美男子はサイベリアン・ゴスという白鷹だそうだ。鼻が高くてやや鋭い二重の瞳、髪と同じ色の長い睫が印象的だ。

「待機中は暇でさ。それにここに居る連中は皆ライバルみたいなもんだろ?話し掛けても無視されるのは嫌だったし、誰かお喋りしてくれないかな~~なんて思っていたら目の前にいるじゃん。俺も仲間に入れてよ」

「俺は構いませんよ。イフラースさんはどうですか?」

 新たなイケメンの登場にイフラースは縮こまっていたが、小さく頷いた。ミハエルは話し上手で話題も豊富だ。最初は緊張していたイフラースも、次第に笑顔を見せるようになっていた。

「俺はどちらかというと気の強い女性が好みなんだけど、空とイフラースはどう?」

「わ、私はこんな感じですので、引っ張ってくれる女性が良いと思うんです」

「俺はまだ正直、分からなくて。人族はそもそも女性が少ないですから」

「あ~~~・・・」

 ミハエルは気の毒そうに空を見た。人族はトップレベルで女性の数が少ない。鳥族はまだそこまででは無いが、年々女児の出生率が下がっているのも事実。誰も空を馬鹿に出来なかった。空を励まそうとしたのか、イフラースがその手をギュッと両手で握りしめた。

「わ、私も一緒ですから大丈夫ですよ。家が山奥にあるもので、まず誰も尋ねてきません。隣の家は山三つ越えた先とかですし・・・」

「はは、それはそうだろうね。『鉱山王』ともなれば、所有する土地の広さは王族レベルだろうから」

 イフラースが驚いてミハエルを見ると、美しき白鷹はパチンとウインクした。

「鳥は情報通だからね。滅多に表に出てこない鉱山王と面識が出来ただけでも参加した意義があった」
「鉱山王?」

「じ、自分からは名乗っていないですよ!?」

 空の手を放し、イフラースは首と手をブンブン横に振った。

「はは、二つ名が付くのは良いことだよ。もっと胸を張りなって」

「無理ですよ!!」

 イフラースは涙目だ。空はサッとハンカチを差し出した。幸い涙が零れるまではいかなかったので、イフラースはハンカチを謹んで辞退した。

「あ、因みに俺は『流通王』って呼ばれているよ。サイベリアン運輸って知っている?俺はそこの社長なんだけど」

「・・・滅茶苦茶大企業じゃないですか」

「私もお世話になっています・・・」

「本当?ありがとう」

 ミハエルはニコッと笑った。
 サイベリアン運輸は世界最大の運送会社で巨大倉庫を各国に所有している。引っ越しもお手の物で空もお世話になった。イフラースも主に通販で世話になっているそうだ。

「これも何かの縁だからさ、連絡先を交換しようよ」

「良いんですか?」

 イフラースと違い、空は学生で何の権力も無い。ミハエルはそんな空に「良いから良いから」と読み込み用のQRを差し出した。

「俺達、この先長い付き合いになると思うんだよね。何だろうな?猛禽類の勘ってやつ?」

「そんなのあるんですか??」

「あるある。狩猟本能がそうさせるのさ」

「・・・勘。関係あります・・・?」

 イフラースも胡散臭そうな目で見ていたが、連絡先は素直に交換していた。

「友達リストに、二人も追加されて嬉しいです」

 ポッと頬を染めるイフラースが可愛い。空もイフラースと無事連絡先を交換し、ボーイズトークに花を咲かせると空の名が呼ばれた。どうやら空の順番が来たらしい。迎えに来た神官に空は一礼した。

「久是空様、順番です」

「はい」

「が、頑張ってください」

「空~~、三次審査で会おう!」

「イフラースさんとミハエルさんもです。絶対三次審査で会いましょうね」

 イフラースとミハエルに手を振って別れると、空は神官と共に面接室へ向かった。
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