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二次審査編
二次審査⑤
しおりを挟む「ルール等の説明もございますが、先ずは姫君達の紹介から始めたいと思います。お一人目は『明石』様です」
一番左に座る女性がすっと扇を下にずらすと、会場からどよめきが起こる。
美しい女性だ。大きな瞳とピンクの唇。全てのパーツが小さな顔にバランス良く配置されている。大きな瞳はやや垂れ目で、目につくのはとにかく大きな胸。巨乳癒し系だ。
「明石様は天界で神官を務めていらっしゃいます。フルートが得意で、神官らで結成された『神聖楽団』にも所属しております。慈悲深く、音楽の才もある素晴らしい姫君でございます。お二人目は『朧月夜』様です」
スッと扇を下げて現れたのは、何とも艶めかしい美女だ。
白い肌に切れ長の二重の瞳。ふっくらした紅い唇の右下には黒子があって、それが妙に艶めかしく映る。華のあるセクシー系美女だ。緊張している明石と違い、彼女は余裕そうに笑っていた。
「朧月夜様は天界で人気ナンバーワンを誇る占い師でございます。華のある美貌で男性陣から絶大な人気を誇り、その上教養もある素晴らしい姫君でございます。三人目は『浮舟』様です」
唯一、ウェーブがかった黒髪を持つ女性だ。扇を下げると、現れたのは彫りの深い美しい顔。どこか野性味のある美しさにイフラースはくぎ付けになった。
「浮舟様は新進気鋭の女流画家でございます。天界で名誉ある『天帝賞』を最年少で受賞し、その後も名だたる賞を総なめにした天才画家。才能溢れる素晴らしい姫君でございます。四人目は『朝顔』様です」
八人の中で一番背の高い女性だ。
扇を下げて現れた顔は正に『美形』だ。ショートカットがよく似合う、スッとした一重の瞳と長い睫毛。だがその瞳はやや鋭く、男達を上から見下すような目をしている。だがそれが嫌ではない、クール系美女だ。
「朝顔様は王女の警護を仕事とする護衛官でございます。そして彼女は王女の従姉でもあります。文武両道を地で行く、黒狐族女性人気ナンバーワンを誇る素晴らしい姫君でございます。五人目は『花散里』様です」
小柄で細身の女性が扇を下げると、眼鏡を掛けた可憐な顔が露わになる。小顔で大きな一重の瞳が小動物を連想させる。真っ直ぐ前を見て姿勢を正す姿は凜としていた。
「花散里様は黒狐族一の才女として有名でございます。天界の文官採用試験、科挙を歴代最高得点で通過した才色兼備。我々文官人気ナンバーワンを誇る、素晴らしい姫君でございます。六人目は『葵』様です」
一番着飾っている女性だ。露わになった顔は、美しいが気の強さも表れていた。
アーモンド型の瞳はやや吊り目で、綺麗な鼻筋に形の良い唇。高慢なお嬢様タイプの美女だ。好みのど真ん中だったのか、ミハエルが良いね~~!と口笛を吹きながら声を上げていた。
「葵様は裕福な家の出で、その美貌も天界に轟いています。引く手あまたの中、黒狐族の為ならとお見合いを引き受けて下さいました。お心も美しい、素晴らしい姫君でございます。七人目は『玉鬘』様です」
その美貌に、七人で一番の響めきが起きた。それ程に彼女は美しかった。ほっそりとたおやかな体。肌はきめ細やかで白く、大きな瞳は長い睫毛に縁取られた黒曜石。
小さな口はぷっくりと赤く色づき、仄かな色気を纏う。
「玉鬘様は黒狐族一の美女として有名でございます。彼女の見合いを知った天界の男性陣が抗議デモを起こす絶世の美貌。天界美女ランキングにて五年連続一位獲得。殿堂入りを果たした素晴らしい姫君です。そして最後のお一人が此度のお見合い発案者にて王の息女。王女『若紫』様でございます」
黒狐族王女の顔は、気品がありとても美しい。二重の大きな瞳は神秘的に輝き、切りそろえられた前髪に艶やかな長い黒髪。形の良い赤い唇は慈愛に満ち溢れた笑みを浮かべていた。
「若紫様は王の第一子として執務を熟し、慈善事業にも大変熱心でいらっしゃいます。民の人気も高く、大学は首席卒業と家柄・美貌・頭脳の三拍子揃った黒狐族自慢のプリンセスでございます。非の打ち所がない、素晴らしい姫君です」
『黒狐族自慢の美姫』に偽り無しの美女揃い。それが一堂に揃うと迫力が違う。空は圧倒されていたが、イフラースは浮舟一人をずっと見つめており、ミハエルは葵に手を振っていた。その横でユアンも圧倒された一人か、ポカンと佇んでいた。
「これより候補者の皆様に制限時間はありますが、姫君達と対面にてお見合いをして頂きます。ここから先が本番。四次審査に進める者は姫君自身が選びます。お一人につき最大三名。その中から最後に選ばれた一人が姫君の『夫』となります」
一人につき最大三名。お目当ての姫がいたなら何が何でもアピールして、三人の内一人に入り込まなければならない。中々の狭き門だ。だが、あくまで三人選んだ場合だ。そこに気付いた者は当然、空以外にもいた。
「三次審査で一人しか選ばなかった場合はどうなるんです?」
龍の王、伏雅だ。琥珀は伏雅の質問は当然だと頷いた。
「その場合は四次審査に進むことなく婚姻が成立となります」
「そうか、ありがとう」
伏雅はちらっと玉鬘を見た。伏雅は黒狐族一の美女、玉鬘狙いなのだろう。質問と同時に多種族に牽制もするとは。恐ろしい男である。
「お見合いは基本お一人につき一回と定めていますが、十日間のお見合い期間終了後に姫君が希望すれば話し合いという名のデートも可能です。『指名』システムと名付けましょうか。指名は回数制限がございません。姫君が納得いくまで候補者の皆様には付き合って頂きます。指名は基本、拒否権はないので悪しからず」
その後もルールの説明が続いた。
要約すると『姫君達のプライバシーは守りましょう。写真等の流出は絶対に認めません』『無理矢理は駄目絶対』『プレゼントは一応認めるが常識の範囲内で』『お触りは厳禁』『姫君には礼節を持って接しましょう。姫君が恐怖を抱いた瞬間、即失格とする』だ。
冷静に考えると至って普通のルールだが、美女を前にすると理性を失う者もいる。不届き者への牽制には必要だ。
「では、本日より三次審査を始めたいと思います!皆様の携帯にメールを送信いたしました。今後のお見合いスケジュールでございます。時間厳守でお願いします」
会場に通知音が響く。
空、イフラース、ミハエル、ユアンは携帯を手に取り一人目のお見合い相手を確認する。
「・・・!!う、運命です!!これは絶対に運命です!」
「成る程。これは気を引き締めて挑まないとね」
「いよいよですね。緊張で心臓が痛いです・・・」
「・・・若紫」
小さく呟いて、空は一人目のお見合い相手となる女性を見た。
空の視線に気付いたのか、若紫は目を細め、口元を扇で隠したのだった。
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