1 / 10
第一部:秘密のレシピ
しおりを挟む
美咲が祖母から受け継いだ小さなカフェ「カフェ・カメリア」は、閑古鳥が鳴いていた。築50年の古い建物は、かつては温かい笑顔と香ばしいコーヒーの匂いで満ち溢れていたが、今はどこか寂しげな空気を纏っている。美咲は、そんな店の雰囲気に、自身の将来の不安を重ね合わせていた。大学を卒業してすぐ、急逝した祖母の遺言でこの店を継ぐことになった。周囲からは、「若いのにすごいね」「大変でしょう」と声をかけられるが、その裏に隠された「どうせ長くは続かない」という軽蔑の視線を感じ取っていた。祖母が大切に守ってきたこの場所を、自分の代で終わらせるわけにはいかない。その一心で、美咲は毎日必死にメニューを考案し、店の清掃に励んでいた。しかし、現実は厳しかった。美咲の淹れるコーヒーは、祖母の味には程遠く、新しく考案したメニューも、常連客の心を掴むには至らない。
「おばあちゃん、どうしたらいいの……」
カウンターの隅に置かれた、祖母が使っていた年季の入ったコーヒーミルを撫でながら、美咲はため息をついた。そのとき、ガラス戸の向こうで雨粒が勢いを増し、雨音とともに一人の青年が店に入ってきた。すらりとした長身に、黒いシンプルなシャツを着こなした、整った顔立ちの彼。その佇まいは、この古びたカフェには不釣り合いなほど洗練されていた。彼は、店内の古びた壁紙や、色褪せた写真をゆっくりと眺め、まるで思い出を探しているかのように、優しい眼差しを向けていた。美咲は、この店の雰囲気を壊さないよう、静かにカウンターの奥に身を潜めた。しかし、彼はまっすぐにカウンターへと向かってきた。
「ご注文は、ブレンドでよろしいですか?」
美咲は、緊張しながら尋ねた。祖母のブレンドは、この店の一番の売りだった。しかし、今の美咲の腕では、祖母の味を再現することはできない。
彼は、美咲の顔をじっと見つめ、柔らかな声で言った。
「はい。あとは、新メニュー、何か試作されてますか?」
美咲は、心臓が跳ね上がるのを感じた。なぜ、この人が知っているのだろう。美咲は、まだ誰にも話していない、秘密のメニューを試作していた。抹茶とあんこと生クリームを組み合わせた、和風のロールケーキ。祖母の味を守るために、新しい風を吹かせたい。そんな思いから生まれた、美咲の唯一の希望だった。
「え、どうして……?」
美咲は、警戒心を剥き出しにして、彼に問いかけた。彼の表情は、一瞬戸惑ったようにも見えたが、すぐに穏やかな微笑みを浮かべた。
「この香り。バターと抹茶と、あと、何かのフルーツ。試作をされてるんだろうな、と」
彼の言葉に、美咲は言葉を失った。たった一瞬嗅いだだけで、ここまで正確に言い当てるなんて、一体何者なのだろう。美咲は、彼が有名な料理評論家か、もしくは、ライバル店の偵察ではないかと疑った。
「レシピは盗みませんよ。僕が欲しいのは、あなたのその、真っ直ぐな情熱だけですから」
彼は、そう言って、胸ポケットから名刺を取り出した。そこには、「有名ホテル、パティシエ、拓海」と書かれていた。美咲は、驚きと同時に、安堵した。彼は、美咲と同じ、食に携わる人間だったのだ。しかし、有名ホテルのパティシエが、なぜこんな小さなカフェに?美咲の疑念は、晴れるどころか、さらに深まっていった。
「失礼ですが、どうしてこの店に?」
「僕の祖父が、この店の常連客で。美咲さんのお祖母様と、とても親しくしていたんです」
拓海は、そう言って、カフェの隅にある古い写真立てを指差した。そこには、若き日の祖母と、拓海の祖父らしき男性が、笑顔で写っていた。美咲は、その写真を見て、胸が熱くなった。祖母は、拓海の祖父のことを、よく話してくれていた。
『ねぇ、美咲。昔、カメリアには、もう一人、大切な人がいたんだよ』
その言葉の意味が、今、ようやく分かった気がした。
拓海は、美咲の祖母が亡くなった後も、祖父からこの店のことを聞かされていた。そして、祖父の死後、祖父の代わりにこの店を見守るよう、頼まれていたのだという。
「僕の祖父も、あなたの祖母も、本当にこの店を愛していました」
拓海の言葉に、美咲の警戒心は少しずつ解けていった。しかし、美咲は、拓海の言葉を信じきることができなかった。有名ホテルのパティシエが、何の利害関係もなく、こんな小さな店を助けるはずがない。そう、美咲は頑なに思い込んでいた。
「あの、もしよかったら、あなたの淹れるコーヒーを、もう一度飲ませてもらえませんか?」
拓海は、美咲に優しい眼差しを向けた。美咲は、彼の言葉に戸惑いながらも、再びコーヒーを淹れた。今度は、祖母のブレンドではなく、美咲が一番自信のある、オリジナルのコーヒー豆を使った。拓海は、一口飲むと、静かに目を閉じた。
「美味しい。でも、やっぱり、まだ何か足りない」
美咲は、彼の言葉に愕然とした。やはり、自分の腕は、まだまだなのだ。しかし、拓海は、続けて言った。
「美咲さんのコーヒーは、とても優しい味がする。でも、祖母様のコーヒーは、もっと力強かった。美咲さん、コーヒーを淹れるとき、何を考えていますか?」
美咲は、拓海の言葉に、戸惑いを隠せない。
「え、何をって……」
「コーヒーを淹れることだけを考えてるでしょう?でも、祖母様は、きっと、コーヒーを飲む人の笑顔を想像しながら、淹れてたんだと思う」
拓海の言葉に、美咲はハッとした。確かに、美咲は、祖母の味を再現することばかりに囚われていた。お客様の笑顔を想像しながら、心を込めてコーヒーを淹れる。そんな当たり前のことを、忘れていたのだ。
拓海は、美咲の作った抹茶のロールケーキを一口食べると、静かに言った。
「美味しい。でも、抹茶の風味を殺さないように、バターの量を減らしてるでしょう?でも、それだと、生地がパサつく。だったら、バターの代わりに、生クリームを使ってみたらどうですか?」
拓海の言葉に、美咲は再び驚いた。そのアイデアは、美咲が今、まさに試そうとしていたことだった。美咲は、拓海が本当に、この店のことを思ってくれているのではないかと、少しだけ彼のことを信じられるようになった。
「美咲さん、よかったら、僕と一緒に、新メニューを考えてみませんか?」
拓海は、美咲に笑顔で提案した。美咲は、彼の言葉に、胸が高鳴るのを感じた。しかし、同時に、まだ拭い切れない不安も残っていた。拓海は、本当にこの店のためを思ってくれているのだろうか。それとも、やはり、何か裏があるのだろうか。美咲の心の中は、喜びと不安が入り混じった、複雑な感情でいっぱいだった。
「おばあちゃん、どうしたらいいの……」
カウンターの隅に置かれた、祖母が使っていた年季の入ったコーヒーミルを撫でながら、美咲はため息をついた。そのとき、ガラス戸の向こうで雨粒が勢いを増し、雨音とともに一人の青年が店に入ってきた。すらりとした長身に、黒いシンプルなシャツを着こなした、整った顔立ちの彼。その佇まいは、この古びたカフェには不釣り合いなほど洗練されていた。彼は、店内の古びた壁紙や、色褪せた写真をゆっくりと眺め、まるで思い出を探しているかのように、優しい眼差しを向けていた。美咲は、この店の雰囲気を壊さないよう、静かにカウンターの奥に身を潜めた。しかし、彼はまっすぐにカウンターへと向かってきた。
「ご注文は、ブレンドでよろしいですか?」
美咲は、緊張しながら尋ねた。祖母のブレンドは、この店の一番の売りだった。しかし、今の美咲の腕では、祖母の味を再現することはできない。
彼は、美咲の顔をじっと見つめ、柔らかな声で言った。
「はい。あとは、新メニュー、何か試作されてますか?」
美咲は、心臓が跳ね上がるのを感じた。なぜ、この人が知っているのだろう。美咲は、まだ誰にも話していない、秘密のメニューを試作していた。抹茶とあんこと生クリームを組み合わせた、和風のロールケーキ。祖母の味を守るために、新しい風を吹かせたい。そんな思いから生まれた、美咲の唯一の希望だった。
「え、どうして……?」
美咲は、警戒心を剥き出しにして、彼に問いかけた。彼の表情は、一瞬戸惑ったようにも見えたが、すぐに穏やかな微笑みを浮かべた。
「この香り。バターと抹茶と、あと、何かのフルーツ。試作をされてるんだろうな、と」
彼の言葉に、美咲は言葉を失った。たった一瞬嗅いだだけで、ここまで正確に言い当てるなんて、一体何者なのだろう。美咲は、彼が有名な料理評論家か、もしくは、ライバル店の偵察ではないかと疑った。
「レシピは盗みませんよ。僕が欲しいのは、あなたのその、真っ直ぐな情熱だけですから」
彼は、そう言って、胸ポケットから名刺を取り出した。そこには、「有名ホテル、パティシエ、拓海」と書かれていた。美咲は、驚きと同時に、安堵した。彼は、美咲と同じ、食に携わる人間だったのだ。しかし、有名ホテルのパティシエが、なぜこんな小さなカフェに?美咲の疑念は、晴れるどころか、さらに深まっていった。
「失礼ですが、どうしてこの店に?」
「僕の祖父が、この店の常連客で。美咲さんのお祖母様と、とても親しくしていたんです」
拓海は、そう言って、カフェの隅にある古い写真立てを指差した。そこには、若き日の祖母と、拓海の祖父らしき男性が、笑顔で写っていた。美咲は、その写真を見て、胸が熱くなった。祖母は、拓海の祖父のことを、よく話してくれていた。
『ねぇ、美咲。昔、カメリアには、もう一人、大切な人がいたんだよ』
その言葉の意味が、今、ようやく分かった気がした。
拓海は、美咲の祖母が亡くなった後も、祖父からこの店のことを聞かされていた。そして、祖父の死後、祖父の代わりにこの店を見守るよう、頼まれていたのだという。
「僕の祖父も、あなたの祖母も、本当にこの店を愛していました」
拓海の言葉に、美咲の警戒心は少しずつ解けていった。しかし、美咲は、拓海の言葉を信じきることができなかった。有名ホテルのパティシエが、何の利害関係もなく、こんな小さな店を助けるはずがない。そう、美咲は頑なに思い込んでいた。
「あの、もしよかったら、あなたの淹れるコーヒーを、もう一度飲ませてもらえませんか?」
拓海は、美咲に優しい眼差しを向けた。美咲は、彼の言葉に戸惑いながらも、再びコーヒーを淹れた。今度は、祖母のブレンドではなく、美咲が一番自信のある、オリジナルのコーヒー豆を使った。拓海は、一口飲むと、静かに目を閉じた。
「美味しい。でも、やっぱり、まだ何か足りない」
美咲は、彼の言葉に愕然とした。やはり、自分の腕は、まだまだなのだ。しかし、拓海は、続けて言った。
「美咲さんのコーヒーは、とても優しい味がする。でも、祖母様のコーヒーは、もっと力強かった。美咲さん、コーヒーを淹れるとき、何を考えていますか?」
美咲は、拓海の言葉に、戸惑いを隠せない。
「え、何をって……」
「コーヒーを淹れることだけを考えてるでしょう?でも、祖母様は、きっと、コーヒーを飲む人の笑顔を想像しながら、淹れてたんだと思う」
拓海の言葉に、美咲はハッとした。確かに、美咲は、祖母の味を再現することばかりに囚われていた。お客様の笑顔を想像しながら、心を込めてコーヒーを淹れる。そんな当たり前のことを、忘れていたのだ。
拓海は、美咲の作った抹茶のロールケーキを一口食べると、静かに言った。
「美味しい。でも、抹茶の風味を殺さないように、バターの量を減らしてるでしょう?でも、それだと、生地がパサつく。だったら、バターの代わりに、生クリームを使ってみたらどうですか?」
拓海の言葉に、美咲は再び驚いた。そのアイデアは、美咲が今、まさに試そうとしていたことだった。美咲は、拓海が本当に、この店のことを思ってくれているのではないかと、少しだけ彼のことを信じられるようになった。
「美咲さん、よかったら、僕と一緒に、新メニューを考えてみませんか?」
拓海は、美咲に笑顔で提案した。美咲は、彼の言葉に、胸が高鳴るのを感じた。しかし、同時に、まだ拭い切れない不安も残っていた。拓海は、本当にこの店のためを思ってくれているのだろうか。それとも、やはり、何か裏があるのだろうか。美咲の心の中は、喜びと不安が入り混じった、複雑な感情でいっぱいだった。
10
あなたにおすすめの小説
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
【完結】地下牢同棲は、溺愛のはじまりでした〜ざまぁ後の優雅な幽閉ライフのつもりが、裏切り者が押しかけてきた〜
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
悪役令嬢の役割を終えて、優雅な幽閉ライフの始まりだ!! と思ったら、なぜか隣の牢との間の壁が崩壊した。
その先にいたのは、悪役令嬢時代に私を裏切った男──ナザトだった。
一緒に脱獄しようと誘われるけど、やっと手に入れた投獄スローライフを手放す気はない。
断れば、ナザトは「一緒に逃げようかと思ったけど、それが嫌なら同棲だな」と言い、問答無用で幽閉先の地下牢で同棲が開始されたのだった。
全4話です。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる