余命3000文字ーー手紙の余白に咲いた奇跡

終章 余白に咲く未来

晃の「余命3000文字」は終わった。しかし、手紙を送り終えたその日、ふいに自分の胸のなかに「新しい物語が芽生えている」のを感じた。
もしかしたら、人の命や言葉は「限られている」からこそ大切なのではなく、他者や過去と繋がり直すことで、何度でも“物語”として更新される――そう思う晃。
数日後、祖母から返ってきた手紙には「あなたは私の人生で出逢った最も素晴らしい“作家”です。どんなに短くても――あなたが紡ぐ言葉を、私はいつまでも待っています」とあった。
窓の外には、去年祖母と一緒に植えた朝顔が静かに咲いていた。
「言葉は終わらない。命もまた、誰かに預けられていくのだ。」
新しい余命＝「未来に咲く言葉たち」として、晃は静かにペンを取った。