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次世代編 星の継承者たち
しおりを挟む星の封印が解かれてから十年が経った。
世界は平穏を取り戻し、星の力は人々の暮らしに溶け込んでいた。夜空には五つの星が並び、かつての闇の時代を知らない子どもたちが、その光を当たり前のように見上げていた。
だが、星の力は静かに、次なる継承者を選び始めていた。
星の学校では、ある少女が注目を集めていた。名はルナ。銀色の髪と夜空のような瞳を持ち、星の記憶を夢に見るという。
「先生、昨日も夢を見ました。星が泣いていたんです。風が止まって、空が閉じていくのを見ました」
セラはその言葉に、静かに目を伏せた。
「それは……星の兆し。君の中に、星の力が芽吹いているのかもしれない」
ルナはまだ幼かったが、星の核に触れたとき、淡い光が彼女の手のひらに宿った。
一方、星の塔では、リオの息子であるカイが修行を重ねていた。父のように剣を扱い、星鉄を鍛える技術を学びながら、星の守護者としての道を歩み始めていた。
「父さんは、星を守った。でも俺は、星を育てたい」
カイはそう語り、塔の頂で星の風を感じていた。
ある日、星の塔に異変が起きた。
封印の石碑が微かに震え、かすかな闇の気配が漂い始めたのだ。
「星が……再び試されようとしている」
リオは塔の記録を読み返し、かつての戦いの痕跡を確認した。
「でも、今度は俺たちじゃない。次の世代が、星を導く番だ」
セラはルナに星の核を託した。
「これは、かつて私が持っていたもの。今は、君の手にあるべきだと思う」
ルナはそれを受け取り、静かに頷いた。
「私が……星を守るの?」
「ううん。星と一緒に、歩いていくの。守るだけじゃなく、感じて、育てて、信じて」
カイとルナは、星の塔の前で初めて言葉を交わした。
「君が星の巫女になるなら、俺は君の風になる」
ルナは少し驚いたように笑った。
「じゃあ、私が迷ったら、風で導いてね」
ふたりの旅は、まだ始まったばかりだった。
星は、静かに瞬いていた。
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