後天性超能力を身に付けてしまった俺は平凡に生きたい

raima

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後天性超能力者

第8生 夢の世界

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 夢の中に近い場所に居るため、目を覚ますとという言い方は少しおかしいかもしれないが、引寄が目を開くと青い炎の揺らめく洞窟の中に居た。
 並んだ骸骨も、終わりが見えないほど奥まで続く洞窟も、何もかもが倒れている間に見たものと同じだった。
 これから眠る度にここに来る可能性を考えると何処か憂鬱な気持ちになる。
「やっぱり不気味な場所だな」
 青い炎を吐き出す骸骨はやはり恨みがましく引寄を睨んでいる……ように感じられる。それは恐らく人骨に対する引寄のマイナスの感情が原因になっているのだろう。
 炎は熱を放つことはなく、洞窟内は僅かに肌寒い。暖かくならないかと意識してみたが、よくある明晰夢の話とは違って、洞窟の中は引寄の思い通りにはならなかった。それどころか、引寄のような生きている人物を拒むように低い唸り声のような風の音があちこちから聞こえてきた。
 少し気になって背後を振り返ると、そこから先には真っ暗な洞窟だけが続いていた。続いている棚は空のままで、もしかしたら未来の自分自身が収まるのかもしれない。青い炎が並んでいる方向と比べれば光が一切ないためにすぐに先が見えなくなってしまう。なんとなくではあるがこちら側には進まない方が良さそうだ。
 そういえば、恋華もこのような夢を見ているのだろうか。何かが大量に並んでいる夢とぼかしていたことから、もしかしたら違うものがたくさんあるのかもしれない。どちらにしても、同じものが続いている光景は人によっては発狂してもおかしくないとは思う。
 確か、前回は十字架の刺さった髑髏があり、それを触ろうとして何者かに怒られたのだった。
 引寄は近くにある骸骨に向かって手を伸ばし、触れる直前で止めてみる。青い炎が手のひらを突き抜けて揺らめいているだけで特に何も起こる様子はなかった。
 実際に触ってみれば何か起こるのだろうか。それとも他に何か条件があるのだろうか。
「あまり変なことはしない方が良さそうだな」
 前回のように目を覚ますだけなら大丈夫だろうが、精神に影響が出る可能性を考えるとゾッとしてしまう。最悪の場合は精神崩壊を起こして廃人になってしまうかもしれない。
 何かアクションを起こすとしたら恋華から話を聞いた後が良いだろう。それまではこの洞窟内を散策するだけに留めておこう。
 引寄は何か変な部分がないか確かめながらゆっくりと歩き始めた。
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