上 下
1 / 86
第1章『運命の出会い』

第1話 少女

しおりを挟む
 ある日、コンビニで弁当を買い、アパートに帰る途中、夕焼けがあまりにも綺麗だったので見惚みとれていると、突然『キューン』いう聴き慣れない音がした。

 ふと、そちらに目をやると、金ピカに輝く鳥? みたいなもんが飛んでいた。

 物珍しさから追いかけると、そいつはカエデのたねのようにクルクル回って、俺の足元に落ちた。

 拾い上げると『龍のバッヂ』のようだった。

 何気なくそれを胸に当てると、まるで磁石のように、服に貼り付いた。 引っ張るが、取れない。

 高価な物だとまずいと思い、そのまま交番へ行こう……と思った時、俺の前に一人の少女が現れた。

 文字通り出し抜けに『現れた』のだ……。

 何回か、目をこすったが、少女は消えない。

 年の頃なら13、4歳か? おさなさの中にも気品があり、あと数年もすれば誰もが振り返る美人になるだろう。

 試しに、少女の左のほっぺたを指で押してみると、張りのある、ぷにぷにした感触が指に伝わって来た。 ……まぼろしでは無いようだ。
しおりを挟む

処理中です...