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第1章『運命の出会い』

第6話 軍議

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 ……夕立ゆうだちでもくるのかな? ……と見上げるが、何も無い。 ……何も無いどころか…… 

 ……本当に……何も無い……! ただ暗闇に、自分と少女だけが存在しているようだ。

 そう思っていると、地面が音を立ててがってきた。

「じ、地震!?」

 俺は恐ろしくなって、その場にうずくまり、頭をかばいながら思わず目を閉じた。


 ……ようやく静まり、ゆっくり目を開けると……


 広い講堂? の内部にいるようだった。

 周囲には、巨大で不気味な銅像? が林立りんりつしていた。 

 「軍議をらすぞ。 着席せい」と少女が言った。 少女は勲章がジャラジャラ付いた軍服のコスプレをしている。 大胆に露出した、白く華奢な脚が、上半身の粗暴さとの好対照をしている。

 あれっ! 俺もコスプレしてる! さすがに少女のショートパンツスタイルではなく、カッコ良いスラックスだ。 胸には、例の徽章バッヂが、燦然さんぜんと輝いている。

 ……って言うか……これ、コスプレじゃ無いの? 本物モノホンの軍服!?

 恐る恐る、荘厳な装飾がほどこされた『玉座』のような椅子に座る。

 それとときを同じくして、

 「これより、軍議をらす」という、耳をつんざき、腹にこたえる地響きのような声がした。

 すぐ横の銅像が、こちらをた。

 ……銅像じゃない! か、怪獣だ!

初見はつ まみえにて。 それがしは、『衛鬼兵団えいきへいだん参謀本部、総参謀』です。 以後、お見知りおきを」と、怪獣が頭を下げた。 俺も同様に頭を下げた。

ず総司令閣下より、今回の評議内容のご提示を、お願いしたく存じます」 ……低音で良く通る声の上に間近まぢかなので、こちらを向かれると鼓膜が破れそうだ。

 俺は、少女に「評議内容って、何だっけ?」……と聴いた。

 「先程さきほど、『アノコ』の『フウセン』をどうのと申しておったでは無いか」

 あ~、あれかあ ……あんなのを評議……すんの?
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