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32 お誕生日会①
しおりを挟むみなさんこんにちは。ヒナタです。
今日は、サーシャの姉ミレイのお誕生日会です。
ただ行って、お祝いだけをしてもいいんだけど、プレゼントを持って行ったほうがいいよね。
でも、私と同い年の子ってどういうのが好きなんだろう。
なんか言葉がおかしいな、精神が34歳のおっさんだからこういうことになるんだよ。
さすがに16歳の女の子にプレゼントをあげる機会はなかったからな。
とりあえず、私はプレゼントになりそうなものがあるかゲイル商会に向かった。
「ん~、女の子といえばブランドもののバッグとか服とかが好きだよね」
つい、前世の偏見で考えてしまったが、この世界にブランド物なんてあるのか。
そもそも貴族なんだから、私からプレゼントしなくても買えるか。
だったら、香水とか髪留めとかか……。
結局ファッションに関係するものになってしまう。
前世だったら、付き合っていた彼女にイヤリングとかネックレスとかあげていた。
私が選ぶと、どうしても身につけるものになってしまう。
あ、でも母の日にカーネーションとかフラワーボックスとかあげたりしていたから、部屋に置けるものでもいいかもしれない。よし行ってみよう。
ゲイル商会の雑貨品コーナーに来た。
さすがゲイル商会だ、品揃えがすごい。
知らなかったけど、ゲイル商会はこの王都でも3指に入るほどの大手商会だったらしい。
ゲイルは冴えない感じに見えたけど結構やり手なんだね。
雑貨品コーナーでは、綺麗なガラス細工とか陶芸品とかが置いてある。
丁寧に職人が作っているだけあって、素晴らしい出来栄えだ。でも高い。
あまり高価なものを買っても重い女って思われたくない。
悩んでいても答えが出ないので、軽食でも食べてゆっくりしよう。
私はおしゃれなスイーツ店を選び、甘いものでも食べて頭を働かせようと考えた。
頼んだのは、クッキーだ。この世界には甘味が少なく、一番人気のクッキーがよく作られている。
ブルガルド家でも、おやつにはクッキーをよく見ていた。逆に言えばそれ以外はあまり作られていない。
ということは、前世の知識で作れるものがあるんじゃないのか。例えば、プリン、アイスクリーム、パンケーキが似たような材料で作れる。アイスクリームを作るのに生クリームが必要だが、この世界にはなければ作り方すら知らない。でも確か、生クリームがなくても作れるはずだ。
……そうか、プレゼントはみんなが今まで食べたことのない甘味を作れば喜んでくれるんじゃないのか。
本当は、ケーキを作ってあげたいがそれは時間がある時に挑戦しよう。
私は急いでお店を出て、砂糖、卵、牛乳、薄力粉、重曹を仕入れて、宿へと帰る。
いや、待て、アイスクリームを作るには冷やさないといけない。それも凍らせる必要がある。
冷凍庫などの便利なものは、高級レストランとかにあるが、あまり一般の家庭には置いていないものだ。
しかし、この世界には魔法がある。私が氷を作ればいいのだ。
そうと決まれば氷を作れるように練習しなければ。
まさか、プレゼントのために最初にやることが氷魔法を覚えることだとは、誰が想像できただろうか。
とりあえずやってみよう。
……難しい。今までで一番難しいかもしれない。
どうやって水から氷へと変化させるんだ。
凍らせるっていう方法がイメージできないんだよな。
こりゃ参った。
時間をかけてやってみたら、なんとびっくり氷ができました。本当に急に氷ができたんですよ。
今までは水を冷やして氷を作るっていうイメージでやっていたからうまくできなかったみたいだけど、そもそも氷を出すイメージだけでよかったみたいだ。
前世の知識で氷を作るまでの過程を意識していたけど、過程ではなく何を作り出すか、だけでも大丈夫みたいだ。
さて、氷が作れることが分かったから、アイスクリームを乗せたパンケーキでも作ろう。
それでは始めていきましょう! ヒナタズクッキングのお時間です!
まずは、卵白と卵黄を分けて、卵白を角が立つくらいまで泡立ててメレンゲを作ります。メレンゲに卵黄を加えてよくかき混ぜます。土魔法で作った容器に流し込んで、自家製冷凍庫の中に入れて1時間程度冷やします。
この間にパンケーキを作っていきます。
まず、卵白と卵黄に分けて、卵黄には牛乳、薄力粉、砂糖、重曹を加えてよく混ぜて生地を作ります。
よく冷やした卵白に砂糖を加えてメレンゲを作り、先程の生地を合わせます。
よくかき混ぜたら、魔道具でできたIHの登場です。
熱したフライパンに生地を薄く焼きます。底に焼き色がついたらひっくり返します。いい感じにきつね色になったらパンケーキの完成です。
さて、そろそろ1時間経過したので、冷凍庫から容器を取り出し、中身をかき混ぜながら牛乳を入れていきます。
あとは冷凍庫に入れて3時間程冷やせば完成です。
さて、こちらに3時間が経過したアイスクリームがあります。とっても甘くてなかなかの出来栄えだ。
パンケーキをお皿の上に乗せて、アイスクリームも乗せます。完成しました。
念の為、4つくらい作っておく。これでミレイへのプレゼントができた。
さぁ、ブルガルド家の屋敷に行こう。
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