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34 再会①
しおりを挟むみなさんこんにちは。ヒナタです。
本日は冒険者ギルドにきています。
たまには依頼を受けて身体を動かさないと太りそうだしね。
依頼ボードを見るとウルレインよりたくさんある。さすが王都だ。
気になるのは村の近くに発生したゴブリンの巣を討伐、森のオーガ討伐、街道に出た盗賊退治かな。
楽そうなのはオーガだけど、オーガとは戦ったことがないから少し不安が残る。
悩みますね。
「おい、姉ちゃん1人で依頼を受けるのか? よかったら俺とパーティ組まねぇか」
おっと久しぶりに絡まれたよ。
最近こういうのなかったから忘れてた。
「そういう誘いはお断りするよ」
「あ? 俺はCランク冒険者だぞ。高ランクの冒険者からの誘いを断るとは何様だ?」
私よりランクは下なのかよ。話にならないな。
でも争いを起こして目立つことも避けたいしな。
「ちょっと、あんた何してんのよ」
後ろから女性が声をかけてきた。
赤髪で長身の綺麗な人だ……。
ってカレンじゃん。
後ろにはシャーロットもいるし。
「んだと、……ってカレンかよ。俺は新人に冒険者の恐ろしさを教えてやろうとだな」
この男はカレンたちを知っているのか。
でもまぁ、女性でBランク冒険者だと嫌でも目立つか。
「あれ? ヒナタじゃない! 久しぶり!」
「久しぶりです。カレンさんにシャーロットさん」
「なんだ、お前らこの嬢ちゃん知ってんのかよ」
「知ってるのも何も、あたしたちと同じBランク冒険者よ」
おっと、そういうこと言うと目立つじゃん。
ほら、周りが騒ぎ出してるよ……。
「はぁ? でもこの嬢ちゃん見たことねぇぜ」
「そりゃ、普段はウルレインで活動しているからね。王都に来たのなんて初めてなんじゃない?」
カレンが絡んできたおじさんと会話を続ける。
ただ依頼を受けに来ただけなのに、なぜ毎回目立ってしまうのか。
本当に勘弁してほしい。
「カレンさんもう大丈夫です。これ以上目立つのも嫌なので……」
「なんだよ、ヒナタは相変わらずだな。ほら、マリスも分かったら自分より格下の冒険者を相手にしな」
マリスはばつの悪そうな顔で去っていく。
おじさんはマリスというらしい。
これからも絡んでこないことを祈るばかりです。
「ヒナタはなんで王都に来ているの?」
「ブルガルド家のお嬢様の護衛依頼で来ました。数日前から王都には来ていたんですが、冒険者ギルドには初日の完了報告から来ていなかったので絡まれてしまいました」
初めて来た時はかなり気配を消していたからね。
冒険者ギルドに迷い込んだ小娘を演出していたおかげで、誰にも絡まれずに済んだけど、依頼ボードにいると絡まれやすいみたいだ。
そういえばウルレインでも酔っ払ったおっさんに絡まれたしね。
「そうなんだね。あたしたちも護衛依頼で王都に来たんだ。あ、そうだ! よかったら一緒に依頼を受けない?」
確かにカレンたちと依頼を受けるのもありかもしれない。
一度とはいえ、ワイバーン討伐で一緒にいたわけだしね。
そして何より、カレンたちと一緒にいれば絡まれることも少なくなる可能性がある。
「いいですね。せっかく会えたのですから、一緒に仕事しましょうか」
それから3人で依頼ボードを見ながら、どの依頼を受けるか検討した。
散々悩んだ挙句、ゴブリンの巣の討伐依頼を受けることした。
依頼はアミット村という場所で村民は30人程度。
この王都から馬車で2日ほどの場所にあり、なんでも村の作物を夜中の決まった時間に盗んでいくみたいだ。
「よし、ならこの依頼を受けよう! 今から出発すると中途半端になりそうだから、出発は明日にしようか」
「分かりました、馬車はどうしますか?」
「それはあたしたちで準備するよ。御者はシャーロットができるから安心して」
よかった。交代で御者をさせられたら困ったもんだ。
でも、この機会に教えてもらうのもいいかもね。
「分かりました。それでは明日の朝に南門に集合しましょうか」
こうして、カレンたちと別れたが、少し準備をしよう。
私は宿に帰ってご飯の準備をする。
作り置きもあるけど、3人分となると2日しかもたないからね。
せっかくジャガイモを手に入れたんだから、コロッケでも作ろうかな。
よし。まずジャガイモを潰してバターを混ぜる。
オーク肉と牛肉の合挽き肉をフライパンで炒めてみじん切りにした玉ねぎと砂糖を入れて炒める。
炒め終わったら、潰したジャガイモに入れて混ぜたあと丸めたら、薄力粉、卵、パン粉の順に衣をつけて揚げれば完成。簡単なコロッケの完成だよ。
うん、張り切りすぎて50個くらい作っちゃったけど多分すぐなくなるよね。
次は、ハンバーグを作ろう。
とは言っても合挽き肉があるからコロッケより作るのは簡単だ。
合挽き肉を作るためにひたすら包丁で叩き込んだ方が大変だったよ。
よし、これでコロッケ、ハンバーグもできた。
準備は万端だね、明日に備えて早く寝よう。
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