神様のミスで女に転生したようです

結城はる

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35 再会②

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 翌朝目覚めたヒナタは、着替えてから宿の一階に降りて朝食を食べ終わった後に南門へと向かった。
 
 南門に着いたが、カレンたちはまだ来ていなかった。
 前回は私が遅れちゃったから、今回は先に着けるように早く出てきたのだ。
 10分経ったところでカレンたちがやってきた。

「ごめん! 待った?」
「ううん、今来たとこ」

 付き合いたてのカップルかよ。
 前世で言ったことはないけど。

 それから、私たちはアミット村に向けて出発した。

「ねぇヒナタ。あたしたちのこと呼び捨てでいいよ。敬語で話さなくてもいいし」
「そう、ならそうしようかな。ならシャーロットのこともシャルって呼んでもいいの?」
「大丈夫ですよ! その方が嬉しいです!」

 シャルって呼ぶのは少し嬉しかった。なんか愛称で呼ぶのって友達みたいじゃん。
 仲間になったみたいで嬉しいな。

「それよりさヒナタ。前回みたいにご飯とかって作ってくれるか?」

 やはりそれが目当てか。
 私といればおいしいご飯を食べられるからね。

「もちろん、そのために昨日作っておいたから大丈夫だよ。でも、さすがに材料にも結構お金がかかっているから、無料というわけにはいかないけど」
「そりゃそうだ! それで構わないよ!」

 よかった、材料費くらいは徴収しないと私が赤字になってしまう。
 この世界だと前世では考えられないくらい砂糖が高いんだよね。
 この前ミレイの誕生日に作ったアイスクリームを乗せたパンケーキなんて、材料費だけでも銀貨20枚くらいかかっているからね。
 日本円で2万円だよ。高級スイーツになってしまった。

 私は道中シャルに御者のやり方を教えてもらいながら、2人の馴れ初めを聞いていた。
 なんでも、2人は同じ村出身なんだとか。
 とは言っても、サンドラス王国ではなく隣国のベルフェスト王国らしい。
 そこの、スリープシ村で幼馴染だったそうだ。
 カレンの方が一つだけ年上で、シャルが成人したタイミングで2人で冒険者になるために村を出たとのこと。
 そこからベルフェスト王国で冒険者としてDランクまで上がったところで、見目がいいからという理由から貴族に言い寄られて、それを断ったら、冒険者ギルドに圧力をかけられたみたいで仕事が受けられなくなり、サンドラス王国にやってきたみたいだ。
 サンドラス王国に来たのは1年前からだそうだ。
 もう冒険者になって4年になり、年齢はカレンが20歳、シャーロットが19歳だそうです。

 それにしてもなんとも悲しい話だ。
 その貴族には痛い目に遭ってもらいたいな。
 こういう話を聞くと最初に出会った貴族がブルガルド家で本当に良かった。
 ブルガルド家以外の貴族は今のところいい話は聞かないからね。
 というより、悪い話の方が噂になりやすいからそういうものか。
 あまり変な貴族とは関わり合いになりませんように……。

 順調に進んできて、そろそろ暗くなってきたため野営をすることになった。
 とは言ってもマイホームの出番ですが。
 私たちは馬車を街道から外れた場所に移動させ、人目のつかない場所でマイホームを出した。
 中に入りリビングで私の料理を今か今かと待ち侘びている2人にコロッケを出してあげた。
 いくら女の子しかいないからってそんなにがっつかなくてもコロッケは逃げないよ。
 夕食を食べ終えた後は3人でお風呂に入る。
 最近気がついたんだけど、私の胸が少し大きくなってきた気がする。
 栄養のある食事を摂っているからかDカップくらいありそうだ。
 ブラも少しだけキツくなってきたから、この前買ったばかりだけど買い替えた方がいいかな。
 まだ成長するかもしれないし。
 そして2人の裸を堪能した後は、布団に入りお話をしながらゆっくり眠った。



 翌朝目覚めて、少し乱れた服装になっていたカレンに興奮しつつも、前科があるためなんとか理性を押さえ込んで朝食の準備に取り掛かった。
 今日は前回気に入ってもらえたタマゴサンドだ。
 笑顔で食べる2人を微笑ましく見ているとカレンが話し始めた。

「今の調子で行くと今日中には村に着くと思うけど、多分夜になりそうだから一度野営してから朝に村に行こう」

 そう言って私たちは出発する準備をして、馬車に乗り込んだ。

「いやー、それにしてもヒナタといると普段は嫌になる野営も快適だな。ちょっとした旅行気分にすらなる」
「そうだよね。ヒナタさんは1パーティに1人ほしいくらいの人材だよ」

 カレンとシャルが私に向かって言ってきた。
 私を家電製品みたいに言わないで。
 でも、普通の人間ではないよね。
 私は前世の記憶持ちで、そもそも女神イスフィリアから直接この世界に転生してきた元男なんだから。

「ヒナタはさ、ソロで活動してるのって自分の力を公にしたくないからだろ。だったらさ、私たちといればそういう心配もないんじゃないのか」

 これはたぶん、パーティの勧誘だ。
 でも嬉しい誘いなのも確かではある。
 厄介ごとに巻き込まれるのもソロよりはパーティでいる方が確率は下がる。
 それに私の魔法が規格外であることも2人は知っている。
 そして何より2人もBランク冒険者であり、強くて優しくて何より素敵な女性だ。
 断る理由がない。

「だからさ、ヒナタさえよければ、私たちとパーティでも組まないか。抜けたくなったらいつでも言ってくれればいいからさ」
「……私が一緒でも迷惑にならない?」

 この2人は冒険者になってから4年間ずっと2人で頑張ってきた。
 そこに私みたいな元男が入っても大丈夫なものだろうか。
 元男なのは死んでも言わないけど。

「迷惑なわけないじゃん。ウルレインでヒナタと別れた後、あたしとシャルで話し合ったことがあるんだ。ヒナタを仲間にしたいって。でもウルレインで会うこともなくなって、諦めていたら王都で会うんだもん。これは運命じゃないかって思っちゃってさ」
「わ、私もヒナタさんとパーティを組みたいです。嫌ですか……?」

 そんなふうに思ってくれていたのか。
 それにシャルに上目遣いで言われちゃったら断れないよ。
 女の子の上目遣いは反則だ。

「嬉しいよ。私で良かったら仲間に入れて」

 私の言葉に2人が笑顔になった。

「よろしくな! ヒナタ!」
「よろしくお願いします! ヒナタさん!」

 私は幸せ者だな。
 前世でこんなに人から頼られたことなんてないのに、この世界に転生してからたくさんの人に頼られている。
 転生させてくれた女神イスフィリアには感謝しないとな。


 私のパーティ加入が決まり、その後も順調に進んでアミット村の近くまで辿り着いた。
 予定通り村から離れた場所にマイホームを出して、夕食を食べる。今日はハンバーグだ。

「ヒナタの作るご飯は全部おいしいな!」

 ハンバーグも気に入ってくれたようだ。
 ハンバーグは大人から子供まで大好きな料理だからね。
 今回のソースはトマトケチャップだけど、いつかデミグラスソースも作りたい。
 それに目玉焼きハンバーグとかチーズハンバーグもおいしいから今度作ってみよう。
 でもチーズを作るのは難しいからどこかに売ってないかな。

 夕食を食べ終えて、いつも通り3人でお風呂に入り、明日に備えて早めにベットで眠るのであった。
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