神様のミスで女に転生したようです

結城はる

文字の大きさ
36 / 139

36 パーティでの初仕事①

しおりを挟む
 
 おはようございます。ヒナタです。

 本日はゴブリンの巣を討伐するため、アミット村に来ました。

「ゴブリン討伐の依頼を受けた冒険者です」

 カレンが村の入り口にいる男性に声をかけた。
 こういう時って年上のお姉さんがいると便利だよね。
 私だと子供に思われるから、どうしても信用されないこともありそうだし。

「やっときてくれたか。助かる。すぐに村長のところに案内しよう」

 男性に連れられて、村長の家に行く。
 家の中に入るとおじいさんが出迎えてくれた。

「遠いところをわざわざありがとうございます。私はアミット村の村長をしておりますクルトと言います」
「Bランク冒険者のカレンだ」
「シャーロットです」
「ヒナタです」

 自己紹介をして、村長からゴブリンについて詳細な情報を聞く。

「ゴブリンは決まって、夜中の12時くらいに村の外れにある畑の作物を盗んでいきます。最初は追い払おうと村のもの総出で戦ったんですが、負傷者が多くなってしまって、それからは黙って盗まれるのを見ているだけになってしまいました。近くに洞窟がありゴブリンたちの巣があるんですが、全部で何匹いるかは正確には把握できていません」

 ゴブリンの行動を聞いてみると、どうも統率がとれているような気がする。上位種でもいるのかな。

「その話を聞くと、ゴブリンをまとめている上位種がいそうだ。例えばゴブリンキングとか」

 カレンは私が思ったことと同じ意見を言ってきた。
 なので、私も賛同する。

「私も同意見かな……」
「とりあえず巣に行ってみよう。ゴブリンキングがいるとなると、100匹近いゴブリンがいる可能性がある。それに数が多ければ、単体では弱いゴブリンでも脅威だからな」

 私たちは村長に案内されて巣がある洞窟の近くまで来た。
 入り口は狭いけど、中は結構広い構造になっているそうだ。
 昔は魔物が村に襲ってきた時用の避難所として使っていたらしい。

「どうやって確認する?」
「私が見に行こうか」
「ヒナタにだけ任せるのは悪いよ」

 私には隠密スキルがあるから、偵察にはかなり向いている。
 洞窟の様子を確認するだけだから危険も少ない。

「大丈夫だよ。1人の方が都合がいいから」

 そう言って、隠密と気配遮断のスキルで洞窟に入っていく。
 後ろではカレンたちが何か言っていたが気にしない。
 多分隠密は最初から私が見えた状態で発動させても、見えていた人たちには効果がないんだろう。
 そのため、カレンたちにとっては堂々と洞窟に入る私が見えているわけだ。
 頭がおかしくなったと思われそうだね。

 洞窟の中に入ると、入り口付近に4匹見つけた。
 見張り番かな、やはり統率がとれている。

 さらに進んでいくと、奥には40匹近いゴブリンがいる。
 それにしてもすごい匂いだ。至る所に動物の死骸や盗んだ作物が置かれている。
 ゴブリンを避けながらさらに奥に進んでいく。
 すると、大きな岩の上に偉そうに座っている大きなゴブリンがいた。
 やはりゴブリンキングだ。
 周りにもさらにゴブリンが30匹程度いる。
 全部で70匹のゴブリンに親玉がゴブリンキングの巣となっているみたいだ。

 あまり近づくとゴブリンキングに気づかれる可能性もあるのでこの辺で洞窟から出ていく。
 そしてカレンたちがいる場所へ行って、隠密を解除する。

「「きゃっ!」」

 2人して叫んだ。
 なるほど。一度姿が見えなくなったら、隠密状態になるのか。いい実験でした。

「中を見てきたけど、予想通りゴブリンキングがいたよ。それにゴブリンが70匹くらいかな」
「そ、そうか……。聞きたいこともあるが、とりあえず作戦会議をしよう」

 作戦としては、カレンが前衛でゴブリンの討伐をして、撃ち漏らしたゴブリンを後衛の私とシャルで討伐するというごく普通の戦法だ。
 とりあえず、共闘したこともない私がとやかく言うこともできないので賛成する。

「じゃあ、いくぞ」

 3人で洞窟に入る。
 最初は4匹のゴブリンが見張りをしているため、カレンが剣で討伐する。
 さらに奥に進み40匹のゴブリンを前にカレンが向かっていくが、ゴブリンもカレンではなく、後衛の私たちにも向かってきた。
 私は岩石弾ロックショットで、シャルは弓矢で応戦している。

 しかし、シャルの弓矢は威力はあるが、連射が難しいのか複数を同時に相手にすると少し厳しいみたいだ。
 私が前に出てシャルには下がってもらい、私が撃ち漏らしたゴブリンだけの討伐をお願いする。
 この陣形で、討伐を開始して20分程度で制圧した。

「やっと終わったね……」
「すいません、ヒナタさん。ご迷惑をおかけしました」
「気にしないで。助け合うのがパーティでしょ。それよりもこの騒ぎを聞きつけて奥からゴブリンが押し寄せてきているから」

 気配察知で残り30匹のゴブリンがこちらに向かってきているのを察知した。
 すぐに3人は陣形を組み、ゴブリンにカレンが向かっていく。
 私も岩石弾ロックショットで応戦して、シャルも後方から攻撃を仕掛ける。
 すると、急にカレンに向かって、火球ファイヤーボールが飛んできてカレンに直撃した。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...