41 / 139
41 コリン村を救う②
しおりを挟む遅くまで騒いで疲れたので私たちが眠っていると、外から叫び声が聞こえた。
「魔物だーー!みんな逃げろーー!」
私たち3人は急いで村の外に出ると、体長5mくらいの人型の魔物がいた。
「あれは……。トロールか!」
え、トロール?
正直あんまり詳しくないんだけど。
とりあえず私はトロールに近づいて魔法を放つ。
「ロックショット!」
トロールに放った岩石弾は胸を貫通して、血が吹き出した。
「やった!」
「ヒナタ油断するな! トロールは自然回復能力が異常に高い!」
え、そうなの。
っていうことはあれじゃ死なないってこと。
……あ、本当だ。傷がどんどん塞がっていく。
「じゃあ、どうやって倒すの!?」
「私たちじゃ難しい。火魔法を使って回復しないように燃やし尽くすか、回復が追いつかないように剣で切り刻むしかない!」
なんだ、そんなことか。
なら最後の手段は火魔法で仕留めることにしよう。
正直まだカレンにもシャルにも火魔法が使えることは秘密にしている。
「わかった! なら2人は下がってて。私が倒す!」
威勢よくカレンとシャルに向かって叫んだ。
カレンの剣で切り刻んで死んじゃったら、強奪スキルが使えないかもしれないしね。
それに燃やし尽くすのなんて論外だ。
こういう時は、新しくレベルが上がった水魔法で仕留めるのだ!
「ブリザード!」
氷結よりも上位の魔法で、あたり一面に雪の嵐を吹かせて凍結させる魔法だ。
その名も氷結嵐。
これでいくらトロールでも死ぬだろう。そして傷をつけさせることもない。
しかし私が思ったよりも魔力を込めたせいか、想像以上に周囲が凍結してしまった。
「あ、やってしまった……」
後ろを振り返ると、カレンもシャルも呆れた表情をしている。
村には影響がないが、あたり一面に広がる木々が凍っている。
「ヒナタ?」
「ごめんなさい!」
私は全力で土下座をした。
決してわざとではないんです。
少しはどのくらいの威力が出るかな、なんて好奇心で魔力を込めましたが、ここまでの被害は想定していませんでした。
やっぱり1回は試しに練習したほうがよかった。
「とりあえず……。村の人に謝るか。あたしもシャルも付き合うからさ」
「うぅ……」
もう泣きそうだよ。そんな冷たい目で見ないで、悲しくなるから。
私たちは、村長のところに行き、トロールは討伐できたけど、その時に行使した魔法で森が凍ってしまいました。ごめんなさいと謝り、村長がその場所を確認しに行く。
「ま、まぁ、あなた方がいなければ、私たちの村に被害があったので森でしたら大丈夫ですよ」
なんとなく気を遣っているのが分かる。
村長とカレン、シャルが村に戻ったのを確認すると、私はトロールのそばに行った。
気配探知で死んでいるのを再度確認してから、凍結したトロールの一部分を火魔法で溶かして強奪を使った。
名前:ヒナタ
種族:人族
年齢:15歳
職業:魔法使い
HP :178/178(+2)
MP :253/323(+1)
スキル:水魔法LV7
風魔法LV7
火魔法LV5
土魔法LV7
無限収納
威圧LV4
毒霧LV1
毒耐性LV3
麻痺耐性LV2
気配察知LV5
気配遮断LV4
隠密LV5
発情LV2
遠視LV4
気配探知LV4(+1)
自然回復LV4
ユニークスキル:強奪
やった。自然回復が手に入った。
これで、多少怪我をしても安心だね。
トロールの能力を聞いてもしやと思って、傷を付けずに討伐したからね。
苦労した甲斐があったよ。
……そんな苦労はしてないか。
最後に私は凍結したトロールに巨大な岩石弾を放ち粉々にした。
私は村に戻り、アンナにトロールを討伐したことを褒められたが、後ろめたいこともあったので、引き攣った笑顔になってしまった。
「あのトロールが私を追いかけてきた魔物だよ……」
どうやら、アンナが逃げていた魔物はあのトロールだったらしい。
あんな魔物がこの村の近くにいたなんて……。
私たちがこの村にいるときに出てきてよかった。
よし、疲れたから寝よう。
明日からは王都に帰れる。
王都に帰ったらしばらくは休みたいものだ。
23
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる