神様のミスで女に転生したようです

結城はる

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41 コリン村を救う②

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 遅くまで騒いで疲れたので私たちが眠っていると、外から叫び声が聞こえた。

「魔物だーー!みんな逃げろーー!」

 私たち3人は急いで村の外に出ると、体長5mくらいの人型の魔物がいた。

「あれは……。トロールか!」

 え、トロール?
 正直あんまり詳しくないんだけど。
 とりあえず私はトロールに近づいて魔法を放つ。

「ロックショット!」

 トロールに放った岩石弾ロックショットは胸を貫通して、血が吹き出した。

「やった!」
「ヒナタ油断するな! トロールは自然回復能力が異常に高い!」

 え、そうなの。
 っていうことはあれじゃ死なないってこと。
 ……あ、本当だ。傷がどんどん塞がっていく。

「じゃあ、どうやって倒すの!?」
「私たちじゃ難しい。火魔法を使って回復しないように燃やし尽くすか、回復が追いつかないように剣で切り刻むしかない!」

 なんだ、そんなことか。
 なら最後の手段は火魔法で仕留めることにしよう。
 正直まだカレンにもシャルにも火魔法が使えることは秘密にしている。

「わかった! なら2人は下がってて。私が倒す!」

 威勢よくカレンとシャルに向かって叫んだ。
 カレンの剣で切り刻んで死んじゃったら、強奪スキルが使えないかもしれないしね。
 それに燃やし尽くすのなんて論外だ。
 こういう時は、新しくレベルが上がった水魔法で仕留めるのだ!

「ブリザード!」

 氷結フリーズよりも上位の魔法で、あたり一面に雪の嵐を吹かせて凍結させる魔法だ。
 その名も氷結嵐ブリザード
 これでいくらトロールでも死ぬだろう。そして傷をつけさせることもない。
 しかし私が思ったよりも魔力を込めたせいか、想像以上に周囲が凍結してしまった。

「あ、やってしまった……」

 後ろを振り返ると、カレンもシャルも呆れた表情をしている。
 村には影響がないが、あたり一面に広がる木々が凍っている。

「ヒナタ?」
「ごめんなさい!」

 私は全力で土下座をした。
 決してわざとではないんです。
 少しはどのくらいの威力が出るかな、なんて好奇心で魔力を込めましたが、ここまでの被害は想定していませんでした。
 やっぱり1回は試しに練習したほうがよかった。

「とりあえず……。村の人に謝るか。あたしもシャルも付き合うからさ」
「うぅ……」

 もう泣きそうだよ。そんな冷たい目で見ないで、悲しくなるから。
 私たちは、村長のところに行き、トロールは討伐できたけど、その時に行使した魔法で森が凍ってしまいました。ごめんなさいと謝り、村長がその場所を確認しに行く。

「ま、まぁ、あなた方がいなければ、私たちの村に被害があったので森でしたら大丈夫ですよ」

 なんとなく気を遣っているのが分かる。
 村長とカレン、シャルが村に戻ったのを確認すると、私はトロールのそばに行った。
 気配探知で死んでいるのを再度確認してから、凍結したトロールの一部分を火魔法で溶かして強奪を使った。

名前:ヒナタ
種族:人族
年齢:15歳
職業:魔法使い
HP :178/178(+2)
MP :253/323(+1)
スキル:水魔法LV7
    風魔法LV7
    火魔法LV5
    土魔法LV7
    無限収納
    威圧LV4
    毒霧LV1
    毒耐性LV3
    麻痺耐性LV2
    気配察知LV5
    気配遮断LV4
    隠密LV5
    発情LV2
    遠視LV4
    気配探知LV4(+1)
    自然回復LV4
ユニークスキル:強奪

 やった。自然回復が手に入った。
 これで、多少怪我をしても安心だね。
 トロールの能力を聞いてもしやと思って、傷を付けずに討伐したからね。
 苦労した甲斐があったよ。
 ……そんな苦労はしてないか。
 最後に私は凍結したトロールに巨大な岩石弾ロックショットを放ち粉々にした。

 私は村に戻り、アンナにトロールを討伐したことを褒められたが、後ろめたいこともあったので、引きった笑顔になってしまった。

「あのトロールが私を追いかけてきた魔物だよ……」

 どうやら、アンナが逃げていた魔物はあのトロールだったらしい。
 あんな魔物がこの村の近くにいたなんて……。
 私たちがこの村にいるときに出てきてよかった。

 よし、疲れたから寝よう。
 明日からは王都に帰れる。
 王都に帰ったらしばらくは休みたいものだ。
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