神様のミスで女に転生したようです

結城はる

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52 タラサの街へ①

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 みなさんおはようございます。ヒナタです。
 本日は朝からとても大変でした。
 何故なら朝から月のものが始まったからです。
 起きてから大量の血が出ててかなり焦りました。
 ベッドに付着した血を朝から洗っていたので、慌ただしかったです。
 でも今までに比べて痛みはそうでもありません。
 今までこの痛みに頑張って耐えてきましたが、今回はそこまで痛みがないのです。
 それはなぜか……。多分、自然回復スキルを取得したからでしょう。
 これのおかげか、多少なりとも痛みも緩和できているようです。
 自然回復スキルのおかげで、億劫だった月一の激痛を何とか耐えられそうです。

 さて、本日は冒険者ギルドに来ています。
 周りの冒険者が私たちを見ている。
 そりゃ、長身で美人のカレンとロリで可愛いシャルがいるなら見ちゃうよね。
 私にとってはハーレム状態だもん。身体は女だけど。

「ヒナタも人気が出てきたな」

 カレンが不意にそう言った。
 え? なんで私?
 そんな顔をしてカレンを見ると。

「ヒナタも可愛いからな。他の冒険者からかなり人気なんだぞ」

 え、この視線は私に向けられているの?
 私が周囲に視線を送ると、顔を赤くして目を逸らされる。

「まじか……」

 なんか恥ずかしくなってきた。
 注目を集めているみたいで嫌だな。
 男から言い寄られても困るからね。
 よし、無視しよう。

「早く依頼ボートを見に行こう……」

 私はか細い声でカレン達に言った。

 依頼ボードに見ると、目に入った依頼があった。
 それは、行商人の護衛依頼だ。
 タラサの街に行くのに、近隣で盗賊が出るため護衛を依頼したいとのこと。
 私が興味を持ったのは、タラサは海が有名な街なのだそうだ。
 ということは、海産物が食べられるということだ。
 絶対に行きたい。刺身が食べたい。海鮮丼が食べたい。
 でも米はないかも……。

「カレン、シャル! この依頼を受けよう!」
「護衛依頼か……。うん、いいけどシャルはどう?」
「大丈夫だよ」

 こうしてタラサへの護衛依頼を受けることになった。

 王都からタラサまでは馬車で2日。
 食事は依頼者負担で報酬金貨3枚らしい。
 かなりお得な依頼である。
 その代わり、盗賊が出た場合は撃退を必ずしていただきたいとのこと。
 なんでも、この盗賊がかなり厄介らしい。
 盗賊の頭目が元Bランク冒険者みたいで、近隣の街でも行商人が被害に遭っているみたいだ。

 私たちは、依頼を受注して、行商人に会いに行く。

「初めまして、私はカルタ商会のランドといいます。よろしくお願いします」
「あたしはカレン。金髪の女性はシャーロット。銀髪がヒナタだ」
「「よろしくお願いします」」

 カレンからの紹介も終わり、ランドさんの馬車に乗ってタラサの街へ向かった。

「みなさんはパーティなのですか?」

 ランドがカレンに聞いていた。

「そうだよ。ヒナタは最近入ったばかりだけど、あたしたちより強いよ」

 カレンが私を褒めているようだ。
 魔法だったら負けないけど、カレンと接近戦になったら秒で負ける自信はあるけど。
 誰にだって得手不得手があるからね。

「そうなんですね。女性だけのパーティだと色恋沙汰もないので争いがなさそうですね」
「それはあるな。男女混合のパーティだと色恋沙汰で解散なんて話も聞くからな」

 そうか、そういう問題もあるよね。
 パーティ内で恋愛関係になると面倒だな。
 いや、精神が男性の私ならあり得るけど、2人からはそういう目線で見られないから諦めているけどね。
 それに私にはサーシャがいる。浮気はダメだ。

「でも、女性だけだと勧誘してくる冒険者も多いのでは?」
「昔はあったけど、あたしたちは全員Bランク冒険者だから最近はなくなったな」

 やっぱり、カレン達も勧誘とかされていたんだな。
 大体そういう連中は、邪な考えがあるだろうから断るよね。

「女性でBランクとはすごいですね。でしたら、タラサまでの道のりも安心して任せられます」
「ああ、任せておけ」

 そんな会話をしながら、私たちはタラサの街まで半分の所にきたところで、野営をすることになった。
 ランドから提供された食事は、干し肉に少しの野菜が入ったスープだ。
 うん、普通の野営の食事はこうだよね。
 カレンとシャルも苦笑いで受け取る。
 私たちが贅沢な、というか常識はずれな野営をしているから普通を忘れてしまうよね。
 私に至っては、森生活以来だよ。その時は、干し肉じゃなくて野草だったけどね。

 夕食も食べ終わり、私たちは交代で見張りをすることになった。
 カレン、シャル、私の順番で見張りをすることにした。




「ヒナタさん、起きてください」

 目が覚めるとシャルの顔が目の前にある。
 どうやら私の見張りの番みたいだ。
 私は1人で、焚き火している場所で眠気と戦いながら見張りをしていた。

「1人いるな……」

 いつからいたのかは分からない。
 でも、気配探知でここから離れた場所に1人いるのは確実だ。
 遠視で確認しても、暗いからよく分からない。
 敵意はなさそうだが、こちらの様子を伺っている。
 盗賊の1人が偵察でもきたのかな。
 とりあえず、警戒をしておこう。

「あ、いなくなった」

 何時間経っても動かなかったが、朝日が登りはじめると逃げるようにいなくなった。

 起きてきたカレンとシャルにも誰かが偵察に来ていたことを伝える。

「うーん、怪しいね」
「そうですね」
「今日でタラサには着くから、途中で襲ってくるかもしれない。警戒はしておこう」
「「了解」」

 カレンの言葉に、私とシャルは頷く。
 一応ランドにも伝えて、警戒するよう促す。

 その後も何もなく進んでいるが、私の気配探知にはしっかり反応がある。

「15人いるね。多分盗賊だよ」

 私の言葉に、カレンとシャルも武器に手をかける。
 そこからもしばらく進むと、盗賊が急接近してきた。

「くるよ!」
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