神様のミスで女に転生したようです

結城はる

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55 海といえば!②

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 これはナンパだ!
 前世でやりたかったけど、勇気がなくてできなかったナンパだ。
 勇気がある男達だなと感心していると、カレンが話し始めた。

「そういうのはお断りだよ。それにあたしらもう帰るところだったからさ」

 それで引き下がらないのがナンパなのだ。

「少しくらいいいじゃん。ほら、さっきビーチバレーやっていたでしょ? 俺らともやろうよ」

 まさかのビーチバレーのお誘いか。
 カレンの胸目当てか? すごい揺れていたもんね。
 私もつい凝視しちゃってたよ。

「もう帰るから。さよなら」

 カレンが強行突破しようとしたが、男が遮り帰らせないようにする。
 ニヤニヤした顔でカレンを見ている。
 さすがにキモくなってきた。
 そこで私は、男達に提案してみた。

「私たちがあなたたちとビーチバレーをやって、なんの徳があるんですか?」

 根本的にはそうだよね。
 メリットがないんだよ。

「俺たちに勝ったら、ご飯を奢ってあげるよ」
「勝ってもあなたちとご飯を食べるなら罰ゲームじゃない?」

 男達がちょっとだけイラッとしていた。
 
「優しく声を掛けたからってつけ上がるなよ。さては、ビーチバレーで俺たちに勝てないから逃げようとしているのか?」

 おっと。挑発してきたよ。
 馬鹿じゃないんだからそんな見えすいた挑発に乗るわけがないだろ。
 そもそも本当に私たちにメリットがない。
 勝っても罰ゲーム。負けたら何されるか分からないし。
 適当に逃げることを認めて帰った方が良さそうだな。

「言ってくれるじゃねぇか! やってやるよ!」

 ……いや、なんで挑発に乗るのよカレン。
 ほら見て、シャルも呆れてるよ。
 そして、男達もまたニヤけ出したよ。

「ならやろうぜ! 2人ペアでやって、先に21点先取した方が勝ちな」
「ルール違反とかは特にないの?」
「ルール違反? 特にはねぇな。ビーチバレーのルールに従ってくれれば問題ねぇよ」

 一応確認だ。
 この男達が何かイカサマをしてこないとも限らないからね。
 本当は早く帰りたいけど、カレンが挑発に乗るから……。

「なら、私たちが勝ったら全裸で街を歩いて帰ってね」
「なら、俺たちが勝ったら今日1日は俺たちと遊んでくれ」

 私の提案も中々だけど、こいつらもキモいの提案してきたよ。
 確実に私たちをお持ち帰りするつもりだよ。

「カレン、シャル大丈夫?」
「大丈夫だ」
「……大丈夫」

 よし、ではこれから私たちの貞操をかけたビーチボルを始めようではないか。

「こっちは、私とカレンでやるよ」

 私とカレンは水着……ではなく水着の上に服を着てコートに入る。
 この男達のニヤついた顔を見たら間違えて殺しちゃいそうだしね。
 刺激はしないようにしないとね。

 男達も2人を選んで、コートに入ってきた。

「よし、始めるぞ!」

 男が開始の合図をして、勝負が始まった。
 そして……。







 結果は、21-0で私たちの圧勝だよ。
 ルールに魔法はダメなんて書いてないもん。

 風魔法でいくらでも変則的なボールを打てるし、地面に落とすこともない。
 つまり、私が出たことですでに勝負はついていたのだ。

「さて、早く水着を脱いで」
「ふざけんなよ! このクソ女! 魔法を使うなんて反則だろうが!」
「そんなルールはないでしょ。確認したよね? ルール違反はないかって」

 悔しそうな顔をして、膝をつく男達を見下ろす私。
 なんか女王様になったみたいだ。
 なかなか脱ぎそうにないので、男達を風魔法で宙に浮かせて、水着を脱がして風魔法で切り刻む。
 久しぶりに男の息子を見たけど、懐かしいと感じた。
 
 私たちも貞操をかけていたんだから、これくらい男なら問題ないでしょ。
 
「じゃ、帰ろっか!」

 私はそのまま帰ろうとして、カレン達も付いてくる。
 何もメリットがない勝負だったな。
 せっかく楽しい海水浴だったのにあいつらのせいで気分が悪くなってしまった。

 その後、男達がどうやって家に帰ったかは分からない。
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