78 / 139
78 夢のマイホーム
しおりを挟むみなさんおはようございます。ヒナタです。
朝はサーシャに起こされました。
目の前に天使がいたから幸せ死したかと思いましたよ。
「おはよう、ヒナタお姉ちゃん」
「おはよう、サーシャちゃん」
その後はカレンとシャルも起こしてフィリップを含めて朝食をいただきました。
「土地を買うのってどこに行けば買いに行けますか?」
私はフィリップに尋ねる。
領主に聞けば確実に分かるからね。
「なんだヒナタさんは家でも建てるのか。それなら不動産仲介所に行くといいよ」
前世と同じような場所があるみたいだ。
でも私みたいな子供が行っても大丈夫かな。
冷やかしだと思われないかな。
「分かりました。ありがとうございます」
「私も行きます!」
突然サーシャが言ってくる。
え? サーシャも来たいの?
なにも面白いことはないと思うけど。
「そうだな。ならサーシャも連れていってくれないか?」
「え、あ、はい」
よく分からないけど、サーシャと一緒なら癒しになるから私に損はない。
「なら一緒に行こうか」
「はい!」
4人で不動産仲介所に行く。
「不動産仲介所なんて初めて入ったぜ」
「私もです……」
冒険者が不動産仲介所に用事なんてそうそうないよね。
宿に泊まっているのが多い冒険者にとっては行く必要もなさそうだし。
私なんて存在自体初めて知ったからね。
とりあえず受付にいたお姉さんに声を掛ける。
「あの、土地を買いたいんですけど」
「……親御さんはどこかな?」
おっと、やっぱり聞かれるのかよ。
確かに背も小さいけど、そこまでじゃないよ。
あれか、顔が童顔だからか?
「!!」
急に目が見開いて、席を立って奥の部屋に走り込んだ。
え? 急に何?
数分待つと、奥の部屋から30代前半くらいの綺麗なお姉さんがやってくる。
「あら、サーシャお嬢様でありませんか」
「お久しぶりです」
サーシャを見る綺麗なお姉さん。
綺麗なお姉さんが私の後方にいるサーシャを見て私を信用したのか椅子に座って話し始める。
サーシャが来てくれて助かった。
「サーシャお嬢様もいるから信用できそうね。私はギルドマスターのクルシャよ」
やっぱり冷やかしとでも思われたのかな。
でも疑うような目で見られてもしょうがないか。
私、見た目は幼いからね。
「それで土地を買いたいんですけど」
「えぇいいわよ。とびっきりに広い土地を紹介してあげるわ」
「いや普通のでお願いします」
大きな土地はいらないのよ。
家もそこまで大きいの建てるつもりもないしね。
「そう? 何か希望はある?」
「そうですね。普通の家が一軒建てられて、小さな庭が確保できるくらいの土地がいいですかね?」
私の希望に合わせて、クルシャが地図を取り出して土地を探しているようだ。
「ここならどうかしら?」
指が差された場所は、街中にポツンと空いていた土地だった。
「あ、できれば住宅街じゃなくて周囲に家がないほうがいいですかね」
クルシャが首を傾げる。
不思議そうな顔で私を見てくる。
でも、家を魔法で建てるからなるべく人がいないほうが目立たなくて済みそうだしね。
「なら、こことかは?」
提示された場所は、周囲に家もなく街の少し外れたところだ。
でも、冒険者ギルドからそこまで離れている場所でもないので不便ではなさそうだ。
「いいですねここ。行ってみても良いですか?」
「そう。ならアルナにお願いしようかしら」
「あ、はい!」
最初に対応した受付のお姉さんが緊張した面持ちで返事をした。
それじゃ、早速見学に行こう!
「なあヒナタ、なんで街の外れの土地にしたんだ?」
「だって、魔法で家を建てるんだよ? 目立たないようにするためだよ」
2人は納得したような感じだ。
サーシャは首を傾げている。
サーシャはマイホームの存在を知らないからだ。
「こちらになります」
案内された場所に辿り着く。
ここはいいかもしれない。
周囲に家もないし、人通りも多くない。
ゆっくりできそうな場所だ。
「うん、いいですね。カレンたちはどう?」
「え、良いと思うけど」
「わ、私も良いと思います」
2人の許可も降りた。ここに決めよう。
「ならここでお願いします」
「はい、では契約書を準備しますので一度仲介所に行きましょうか。家の建築はどうなされますか?」
「すでに手配していますので遠慮します」
「そ、そうですか……」
家は私が建てますからね。
でもアルナに教える必要もないからね。
適当に濁して答えるのがいいだろう。
不動産仲介所に帰ってきて、アルナが土地売買契約書と権利書を持ってくる。
サインをして契約が成立した。
「お金は一括ですか? それとも分割にしますか?」
「一括でお願いします」
私はギルドカードをアルナに渡す。
ギルドカードはかなり便利だ。
前世のクレジットカードと同じようなものだ。
でも、預金額までの上限しか使えないことになっている。
「はい、確かに。それでは、この契約書は大切に保管しておいてください」
私は無限収納に契約書をしまう。
これで土地をゲットだぜ。
早速家を建てよう。
やることも終わったので、4人で不動産仲介所から出る。
「ヒナタお姉ちゃん。これからは私も家にお邪魔しても良いですか?」
「もちろん。でも、ちゃんとお父さんに許可をもらってからだよ?」
「はい!」
私が購入した土地に辿り着き、早速家を建てるためにイメージをする。
「3人とも、ちょっと時間かかるけど待っててね」
まずは土台を作るために土魔法で穴を掘る。
土台ができたら、1階にはリビングルーム、ダイニングルーム、キッチン、トイレ、大きめのお風呂。
2階には3人の部屋と客室としてもう2部屋ほど。そして一応トイレも設置しよう。
あと、家の中央に螺旋階段を設置する。
少し時間がかかったが、ようやく完成した。
私が家を作成している間にサーシャが驚いていたが気にしない。
「よし、できたよ!」
「ヒナタお姉ちゃん、なんですかこれは!?」
「え? 家だよ?」
惚けるようにサーシャに言う。
サーシャは目の前の現象が信じられないのか、口を開けっ放しだ。
「さ! 入ろうか!」
4人でマイホームに入る。
ちなみに外装は白にした。
中に入ると、なかなかの出来栄えだ。
「こりゃすごいな」
「すごいです!」
カレンもシャルも喜んでいるようだ。
「1階は基本的にみんなで共有するためのスペースだよ。2階にはカレンたちの部屋も用意したから」
そう言って、螺旋階段を登り2階に行く。
1部屋あたり8畳くらいの大きさにした。
かなり贅沢だよね。
客室は6畳くらいだけど。
「家具とかはあとで買いに行こう」
魔法で作れないこともないけど、市販で売っているものが良いだろう。
特にベッドは大きいのが欲しい。
「なら今日はもう遅いからとりあえずここで休もうか」
サーシャを家に送ってから、私たちはマイホームに帰って雑魚寝をした。
明日は家具を買いに行こう。
22
あなたにおすすめの小説
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる