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106 カレンへの手紙
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本日より他国編です。
第117話まで毎日投稿します。
──────────────────────────────
─カレン視点─
「ルーク、剣を構えろ!」
「はい!」
あたしとルークの前に一体のゴブリンが現れる。
ルークはヒナタから借りた短剣を握っている。
「いいか。いつもの素振りを思い出せ」
ルークが緊張した面持ちで頷く。
こういう時は本番を練習だと思えば案外いけるかもしれない。
いつも通りに素振りをする感じでゴブリンに向かっていった。
「おりゃぁぁ!」
ゴブリンが持っていた槌でルークの剣が受け止められる。
「剣は手だけで振るな! 身体全体でしっかり踏み込んで剣を振るんだ!」
ルークはあたしの言葉を聞いて、再度右足を踏み込んで身体全体で剣に力を込めた。
「うりゃぁぁ!」
「ギギギ……」
ルークの剣を槌で受け止めたが、先程と変わってゴブリンの顔が引き攣った。
始めと違い勢いも変わったためゴブリンも体勢が崩れた。
すかさずルークがゴブリンの槌に向かって剣を払う。
そしてゴブリンの槌が飛んでいく。
「これで最後だー!」
武器を失った無防備なゴブリンに剣を振り翳した。
「ゴギャアァァ!」
ルークの剣によってゴブリンがその場で倒れ込み絶命する。
「やった……」
「よくやったなルーク」
あたしはルークの頭を撫でる。
ルークはどうやら疲れているようで、その場で倒れ込んだ。
前回の薬草採取に比べて、多少なりとも余裕を持って討伐できたと思う。
でもまだゴブリン一体を相手にするだけで精一杯だろう。
しかし今回、一度でも魔物を倒す経験が出来ればこの先の素振りにもイメージができて、上達が早くなるかもしれない。
これからに期待だな。
「もう帰ろうかルーク」
「……は、はい」
─ヒナタ視点─
私たちが孤児院で働き始めてから1週間が経った。
基本的に私とシアンが料理番で、シャルとコハクは子供達の遊び相手だ。
カレンはほぼ毎日ルークに剣の稽古をしている。
初めて会った時よりもルークの剣術が上手くなっているようで感心する。
カレンの教え方が上手なんだね。
そんないつも通りの毎日に孤児院に1人の女性が訪問してくる。
「あ、あの……」
「はい? どちら様でしょうか?」
30歳くらいの黒髪ロングの女性がやってきた。
あ、もしかして新しい院長先生かな?
「初めまして。この孤児院の院長になりましたリリスと申します」
「あ、はい! 初めまして、ヒナタです!」
お淑やかな女性のように見える。
人は見た目で判断してはいけないというのはクリシスで学んだけど、あまり疑いの目を見せるのも失礼だよね。
うん。優しそうな女性だ。これなら安心だね。
何よりフィリップも選考に関与しているんだから人柄はいいはずだ。
「ヒナタさんが今は院長代理なんでしょうか?」
ん?
どういう風に伝わっているんだろう。
新しい院長先生が決まるまでは私達が子供達の面倒を見ることになっただけで、院長がいるわけではない。
言うなれば全員が院長代理だ。
「えっと、今は代表者がいるわけではないんです」
「あ、そうでしたか」
「とりあえず、子供達に挨拶でもしましょうか」
「はい」
子供達を集めてリリスが挨拶をする。
少し緊張しているようだ。
「み、みなさん初めまして。新たにこの孤児院の院長になりましたリリスと言います。よろしくお願いします」
「「「お願いしまーす!」」」
子供達も元気に返事をする。
リリスも早めにこの孤児院に慣れてくれればいいな。
これで私達の仕事も終わりだけど、いつでも孤児院には来られる。
シャルもコハクも子供達と遊びたいだろうし、カレンはルークの剣術の師匠だからね。
時間ができたらまた来よう。
─カレン視点─
「今日もありがとうございました」
「かなり剣術も上達したな」
いつも通りルークを連れて森に行って魔物の討伐が終わった。
最近ではゴブリン3体を同時に相手にしても余裕が出来てきたな。
もっと経験を積めば1人で依頼を受けても大丈夫だろう。
あたしとルークは冒険者ギルドでゴブリンの魔石を換金する。
大した金額ではないが、薬草採取よりは多少稼げる。
そのうちルークも孤児院を出て独り立ちする時が来るだろうから、今のうちに金を貯めておいた方がいいだろう。
「あ、カレンさん!」
急にセレナから呼び止められる。
ヒナタと違ってあたしはセレナとはあまり話さないけど一体何の用だ?
「どうしたんだ?」
「あの、ベルフェスト王国の冒険者ギルド経由でカレンさんにお手紙が来ています」
ベルフェストから?
冒険者ギルド経由の手紙って結構金が掛かるはずだ。
一体誰から……。
「あ、ありがとうな」
「いえ!」
手紙の差出人を確認する。
「母さん?」
母さんから手紙なんて……。
よっぽどの緊急事態でもあったのか?
でもあたしがどこの国にいるかなんて分からないだろうから、冒険者ギルドに頼んだのか。
そんなに金もないのに何やってんだよ……。
あたしは封を開けて手紙の内容を確認する。
「……は?」
手紙には驚くべきことが書かれていた。
どうやら父さんが妹のケレンの学費を得るためにとある商会から金を借りたみたいだ。
でも法外な利子が課せられていることに気が付かず、いつの間にか多額の借金を背負ってしまった。
そこで借金返済のためにケレンを借金奴隷として売られそうになっている……。
返済期限まであと2ヶ月だけど、あたしにお金を借りたいか……。
「何してんだよ、父さん……」
ケレンは昔から頭が良かった。
あたしと違って大人しい性格で家にあった本ばかり読んでいた。
あたしがベルフェストを出ることになった時にケレンは学園に入学したはずだから、学園に通い始めてもう2年くらいか。
父さんとしてはケレンのことを考えて学園に通わせたいのは分かるが、それで借金して奴隷にされるとか意味がないだろ。
ケレンのためにもこれはすぐにスリープシ村に帰った方が良さそうだな。
「どうかしましたかカレン先生?」
「あ、いや……。すまんルーク。ちょっとしばらくは剣術の指導ができなくなった」
「え……」
ルークが悲しそうな顔をする。
理由を正直に言ったら納得してくれそうだけど、あたしの家の問題だし醜態を晒しそうな内容だ。
「……ちょっと故郷に帰らなくちゃいけなくなっちまったよ」
「あ、そうなんですね……」
とりあえずシャルにも相談した方がいいだろう。
まぁ金を渡しに行くだけだから1人で行っても問題ないしな。
急いであたしは孤児院に向かった。
─ヒナタ視点─
もうすぐ夕刻になるからリリスとシアンと一緒に夕食の準備をする。
「ヒナタさんはお若いのに料理が上手なんですね」
「あはは……。よく野営とかで作ってますからね」
34歳の独身男性だからそれなりに経験してますなんて言えないよ。
でもリリスもかなり料理が上手だ。
これなら子供達の料理を任せても大丈夫そうだ。
「シアンちゃんもお上手なんですね」
「昔からよくやっていましたから!」
私がいなくても2人で料理ができるからもうお役御免かな。
それにすでに仲も良くなったみたいだ。
「それではいただきましょうか」
子供達を集会所に集めて夕食を食べ始める。
あれ? カレンとシャルの姿がない。
ルークは席に着いているからカレンも帰ってきているはずなのに……。
私は席を立ってカレンとシャルを探しに行く。
孤児院の中にはいない……。
外に出てみる。
私は庭の方を覗いてみると木の下で2人がいた。
「どうしたの2人とも? みんな夕食を食べているよ?」
私は2人に駆け寄って声を掛ける。
2人とも私が駆け寄ったことに気が付かなかったのか驚いた顔をしている。
「あ、いや……」
「えっと……」
2人とも何か疾しいことでもあるのか言葉が詰まる。
何か内緒話か?
私に隠し事なんて寂しいな。
「何か言いにくいこと?」
2人とも俯いた。
この雰囲気から何か私には言いにくいことなんだろうな。
隠し事をするのは別に悪いことではないからね。
生きていれば誰でも人に言えないことはあるはずだし。
私だって特大の秘密を持っているからね。
「じ、実は……」
カレンが切り出す。
「ベルフェスト王国に帰ることになったんだ……」
「え……?」
第117話まで毎日投稿します。
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─カレン視点─
「ルーク、剣を構えろ!」
「はい!」
あたしとルークの前に一体のゴブリンが現れる。
ルークはヒナタから借りた短剣を握っている。
「いいか。いつもの素振りを思い出せ」
ルークが緊張した面持ちで頷く。
こういう時は本番を練習だと思えば案外いけるかもしれない。
いつも通りに素振りをする感じでゴブリンに向かっていった。
「おりゃぁぁ!」
ゴブリンが持っていた槌でルークの剣が受け止められる。
「剣は手だけで振るな! 身体全体でしっかり踏み込んで剣を振るんだ!」
ルークはあたしの言葉を聞いて、再度右足を踏み込んで身体全体で剣に力を込めた。
「うりゃぁぁ!」
「ギギギ……」
ルークの剣を槌で受け止めたが、先程と変わってゴブリンの顔が引き攣った。
始めと違い勢いも変わったためゴブリンも体勢が崩れた。
すかさずルークがゴブリンの槌に向かって剣を払う。
そしてゴブリンの槌が飛んでいく。
「これで最後だー!」
武器を失った無防備なゴブリンに剣を振り翳した。
「ゴギャアァァ!」
ルークの剣によってゴブリンがその場で倒れ込み絶命する。
「やった……」
「よくやったなルーク」
あたしはルークの頭を撫でる。
ルークはどうやら疲れているようで、その場で倒れ込んだ。
前回の薬草採取に比べて、多少なりとも余裕を持って討伐できたと思う。
でもまだゴブリン一体を相手にするだけで精一杯だろう。
しかし今回、一度でも魔物を倒す経験が出来ればこの先の素振りにもイメージができて、上達が早くなるかもしれない。
これからに期待だな。
「もう帰ろうかルーク」
「……は、はい」
─ヒナタ視点─
私たちが孤児院で働き始めてから1週間が経った。
基本的に私とシアンが料理番で、シャルとコハクは子供達の遊び相手だ。
カレンはほぼ毎日ルークに剣の稽古をしている。
初めて会った時よりもルークの剣術が上手くなっているようで感心する。
カレンの教え方が上手なんだね。
そんないつも通りの毎日に孤児院に1人の女性が訪問してくる。
「あ、あの……」
「はい? どちら様でしょうか?」
30歳くらいの黒髪ロングの女性がやってきた。
あ、もしかして新しい院長先生かな?
「初めまして。この孤児院の院長になりましたリリスと申します」
「あ、はい! 初めまして、ヒナタです!」
お淑やかな女性のように見える。
人は見た目で判断してはいけないというのはクリシスで学んだけど、あまり疑いの目を見せるのも失礼だよね。
うん。優しそうな女性だ。これなら安心だね。
何よりフィリップも選考に関与しているんだから人柄はいいはずだ。
「ヒナタさんが今は院長代理なんでしょうか?」
ん?
どういう風に伝わっているんだろう。
新しい院長先生が決まるまでは私達が子供達の面倒を見ることになっただけで、院長がいるわけではない。
言うなれば全員が院長代理だ。
「えっと、今は代表者がいるわけではないんです」
「あ、そうでしたか」
「とりあえず、子供達に挨拶でもしましょうか」
「はい」
子供達を集めてリリスが挨拶をする。
少し緊張しているようだ。
「み、みなさん初めまして。新たにこの孤児院の院長になりましたリリスと言います。よろしくお願いします」
「「「お願いしまーす!」」」
子供達も元気に返事をする。
リリスも早めにこの孤児院に慣れてくれればいいな。
これで私達の仕事も終わりだけど、いつでも孤児院には来られる。
シャルもコハクも子供達と遊びたいだろうし、カレンはルークの剣術の師匠だからね。
時間ができたらまた来よう。
─カレン視点─
「今日もありがとうございました」
「かなり剣術も上達したな」
いつも通りルークを連れて森に行って魔物の討伐が終わった。
最近ではゴブリン3体を同時に相手にしても余裕が出来てきたな。
もっと経験を積めば1人で依頼を受けても大丈夫だろう。
あたしとルークは冒険者ギルドでゴブリンの魔石を換金する。
大した金額ではないが、薬草採取よりは多少稼げる。
そのうちルークも孤児院を出て独り立ちする時が来るだろうから、今のうちに金を貯めておいた方がいいだろう。
「あ、カレンさん!」
急にセレナから呼び止められる。
ヒナタと違ってあたしはセレナとはあまり話さないけど一体何の用だ?
「どうしたんだ?」
「あの、ベルフェスト王国の冒険者ギルド経由でカレンさんにお手紙が来ています」
ベルフェストから?
冒険者ギルド経由の手紙って結構金が掛かるはずだ。
一体誰から……。
「あ、ありがとうな」
「いえ!」
手紙の差出人を確認する。
「母さん?」
母さんから手紙なんて……。
よっぽどの緊急事態でもあったのか?
でもあたしがどこの国にいるかなんて分からないだろうから、冒険者ギルドに頼んだのか。
そんなに金もないのに何やってんだよ……。
あたしは封を開けて手紙の内容を確認する。
「……は?」
手紙には驚くべきことが書かれていた。
どうやら父さんが妹のケレンの学費を得るためにとある商会から金を借りたみたいだ。
でも法外な利子が課せられていることに気が付かず、いつの間にか多額の借金を背負ってしまった。
そこで借金返済のためにケレンを借金奴隷として売られそうになっている……。
返済期限まであと2ヶ月だけど、あたしにお金を借りたいか……。
「何してんだよ、父さん……」
ケレンは昔から頭が良かった。
あたしと違って大人しい性格で家にあった本ばかり読んでいた。
あたしがベルフェストを出ることになった時にケレンは学園に入学したはずだから、学園に通い始めてもう2年くらいか。
父さんとしてはケレンのことを考えて学園に通わせたいのは分かるが、それで借金して奴隷にされるとか意味がないだろ。
ケレンのためにもこれはすぐにスリープシ村に帰った方が良さそうだな。
「どうかしましたかカレン先生?」
「あ、いや……。すまんルーク。ちょっとしばらくは剣術の指導ができなくなった」
「え……」
ルークが悲しそうな顔をする。
理由を正直に言ったら納得してくれそうだけど、あたしの家の問題だし醜態を晒しそうな内容だ。
「……ちょっと故郷に帰らなくちゃいけなくなっちまったよ」
「あ、そうなんですね……」
とりあえずシャルにも相談した方がいいだろう。
まぁ金を渡しに行くだけだから1人で行っても問題ないしな。
急いであたしは孤児院に向かった。
─ヒナタ視点─
もうすぐ夕刻になるからリリスとシアンと一緒に夕食の準備をする。
「ヒナタさんはお若いのに料理が上手なんですね」
「あはは……。よく野営とかで作ってますからね」
34歳の独身男性だからそれなりに経験してますなんて言えないよ。
でもリリスもかなり料理が上手だ。
これなら子供達の料理を任せても大丈夫そうだ。
「シアンちゃんもお上手なんですね」
「昔からよくやっていましたから!」
私がいなくても2人で料理ができるからもうお役御免かな。
それにすでに仲も良くなったみたいだ。
「それではいただきましょうか」
子供達を集会所に集めて夕食を食べ始める。
あれ? カレンとシャルの姿がない。
ルークは席に着いているからカレンも帰ってきているはずなのに……。
私は席を立ってカレンとシャルを探しに行く。
孤児院の中にはいない……。
外に出てみる。
私は庭の方を覗いてみると木の下で2人がいた。
「どうしたの2人とも? みんな夕食を食べているよ?」
私は2人に駆け寄って声を掛ける。
2人とも私が駆け寄ったことに気が付かなかったのか驚いた顔をしている。
「あ、いや……」
「えっと……」
2人とも何か疾しいことでもあるのか言葉が詰まる。
何か内緒話か?
私に隠し事なんて寂しいな。
「何か言いにくいこと?」
2人とも俯いた。
この雰囲気から何か私には言いにくいことなんだろうな。
隠し事をするのは別に悪いことではないからね。
生きていれば誰でも人に言えないことはあるはずだし。
私だって特大の秘密を持っているからね。
「じ、実は……」
カレンが切り出す。
「ベルフェスト王国に帰ることになったんだ……」
「え……?」
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