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第3章
第57話 境界線
しおりを挟む「ぶっ!!!笑」
背後から聞こえる笑い声に、慌てて振り返る。
「る、琉緒!いつからいたの!?」
「最初っから~。それより・・・ははっ・・・その握り潰してるリスト見せろよ。」
堪えられず笑いながら、くしゃくしゃになったリストを魔法で奪う。
「ちょっ!やめてよ見ないで!!」
必死に奪い返そうとするが、琉緒は容易くリストを広げて中身を見た。
「ぶははっはははは!!!お前のリスト、全部ゴキブリじゃねぇか。」
腹を抱えて笑う琉緒とは正反対に、美癒はため息をつく。
「・・・だから見られたくなかったのに。」
「ははっ悪い悪い・・・くくっ・・・それにしてもこれはひどい。俺から”もっとマシなリストを作れ”って言ってやるよ。」
「いいの。私の胡散臭い魔力なんて無いに等しいから文句は言えないわ。」
「胡散臭いって何だよ。」
「だって琉緒の言ってた通り私の魔力は”普段使えない”んだもん。」
ツーンとした態度でほっぺたを膨らませながら琉緒に背を向けて歩き出す。
そして次の担当する魂の元へ向かっていく。
琉緒は自分の発言を少し後悔して頭を抱えながらも、美癒とは反対方向へ進み、己の担当する魂の元へと向かっっていった。
素直にゴ●ブリになる魂はいない為、美癒は1つ1つの魂にとても時間がかかっていた。
そして任務に慣れてきたある日、美癒と琉緒はジンに呼ばれたため、来世が決まった魂達と同じ船に乗り進んでいった。
魂達が【この世】に生まれるまでのあいだ過ごす【空の世界】に辿り着いた。
(やっぱりここは懐かしいなぁ~・・・あの魂は自分の両親を見ているのね。
あの魂達は・・・きょうだいになる予定なのかしら?仲良い姿が微笑ましいし、とても楽しそう。)
自然と笑みがこぼれる美癒を見て、つられて琉緒も笑顔になっていた。
「俺等もずっと昔の生まれる前にここで会ってたのかもな。」
「確かに!生まれることは出来なくても、みんなここに集まってるもんね。世間は狭いねぇ~。」
「感動的だな。」
「あははー。(棒読み)」
美癒と琉緒は、意外な繋がりの可能性を感じて余計にお互いが特別に思えた。
「ジン様どこにいるんだろう?」
「あいつ忙しそうだからなー。待ってろって言われたんだから、じっとしてようぜ。」
「そうだね。あー今日はゴ●ブリ案内しなくて済むと思ったら身体が軽いわ。」
「逆に俺はゴ●ブリ案内してみたいわぁ。というより、俺の方が向いてると思うんだけどなー。」
「確かに!琉緒が言ったら皆黙って受け入れて船に乗るよ。」
「後でジンに言ってやる。」
「あ、結構です~!それはいらない!・・・与えられた任務は私が最後までしたいの。」
そこへジンが、美癒と琉緒の目の前にやって来た。
「美癒ちゃん、良い心がけだね。」
少し汗ばんだジンを見ると、急いで来てくれた事がよく分かる。
「ジン!!」
「ジン様!!」
美癒と琉緒の声が重なった。
「待たせてごめん。美癒ちゃんがゴ●ブリ担当だって聞いて心配してたんだよ。」
「知ってたんですね・・・でも大丈夫です。大変な任務をこなしていく方が成長できる・・・と、思うようにしてます。」
美癒が日々、自分に言い聞かせていた言葉だった。
「ははは、ゴ●ブリ担当もあと少しだから大丈夫だよ。でもゴ●ブリ担当が続いていたら、そのうち本物のゼロの魂が生まれ変わってきた時に会えてたかもしれないね。」
「本物のゼロは次ゴ●ブリになる予定なんですか?」
「神様にとって害のあった者は、なかなか生まれ変わる事が出来ない。生まれ変わる事が出来るようになっても最初はゴ●ブリだろう。」
「・・・へぇ~、そういう魂がゴ●ブリになるんですね。って!!ゴ●ブリ連呼してたら気分が悪くなるから辞めましょう!!!」
(毎日連呼してるから癖になっちゃってた。恥ずかしい!!)
「ははは。確かに気分悪いよね。」
「おい待てよ。ゼロって誰だ?それに担当もあと少しってどういう事だ?」
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