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番外編
美癒の旅立ち①
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美癒と菜都の魂が元通りになってまだ数日しか経っておらず、慣れない日々が続いていた。
今日は神様とジンと美癒の3人で会議が行われる日だ。
その時間になるまで美癒は、相変わらずジンにこき使われていた。
「遅かったね、それじゃあ神様の所に行こうか。」
「お・・・遅かったですって!?」
簡単に言うジンに対して、美癒は涙目になりながらキッと睨みつけた。
と言っても、その顔はちっとも怖くない。
悪気のないジンは平然とした顔で手を差し伸べる。
「頑張ってるじゃん。」
美癒は釈然としなかったが、何を言っても無駄だと思い一旦口を紡いだ。
そんな様子を見てジンは不思議そうに訊ねる。
「どうしたの?褒めてるんだけどなぁ・・・。」
美癒はわざとらしい笑顔を向けると、そのまま嫌味のように淡々と話し出す。
「自分に優しくしてくれるのは、【水の世界】では琉緒だけで、【この世】では琉偉だけでした。近藤君なんてもうひどいのなんの・・・、要するに今の私には優しくしてくれていた2人がもういないんです。」
「そうかな~?香織ちゃんや陽太君とも仲良さそうだったし、カンナちゃんともこの前会ってたでしょ?」
「まあ・・・。でも香織と陽太は菜都の友達だから、私では駄目なんです。
カンナは事情を知ってからも仲良くしてくれていますが、私が作り上げた友情じゃない・・・。」
「美癒ちゃんってかなり悲観的だね。そんな気持ちで【この世】にいた時たのしかった?」
「楽しかったです・・・私は。」
「美癒ちゃんが楽しかったんなら、素直にみんなの気持ちを受け入れようよ。・・・まあ近藤君に関しては仕方ないんだけどね。」
なにか事情を知っているかのような意味深な発言に、美癒は聞き返そうとしたがジンがそのまま話を続けた。
「僕は魂の前世が何者だったのかが分かるんだ。琉緒と菜都ちゃんは・・・前世だけじゃなく、それぞれの魂が生まれた時から既に愛し合ってる。お互いに惹かれ合うのは当然のことだね。」
「そ・・・そこまで分かるんですか?」
ジンは少し得意げに笑う。
「はははっ、それで近藤君の前世はねぇ・・・琉緒と菜都ちゃんのペット。番犬だよ。」
美癒は目をギョッと見開いて言葉を失った。
(あの近藤君がワンちゃん~~~!?確かに犬っぽい雰囲気はあるけど・・・。)
驚く美癒とは正反対に、ジンは近藤君のことを思い出しながら楽しそうに話し続ける。
「菜都ちゃんが別人になったって気付いたのも、生粋の野生のカンだろうね。本物の琉緒に戻ったことも気付いてるんじゃない?2人とも近藤君のご主人サマだからねぇ~。」
「お・・・恐るべし・・・。」
予想外の答え。
流石に美癒も苦笑いしかできなかった。
「本当、自慢の弟だよ。」
今この瞬間のジンの笑顔を琉緒に見せてあげたい、美癒はそう切なく思った。
(弟・・・か。なんだかんだ、琉緒のこと大事に思ってるよね。実際に対面してしまうと喧嘩が絶えないんだろうけど・・・。)
「そろそろ神様の所に行ってもいいかな?」
ジンの言葉で、既に到着していたことに初めて気付く。
「ご、ごめんなさい。連れてきて下さってありがとうございます。」
慌ててジンの後ろをついていった。
(菜都のおかげで記憶にはある場所だけど・・・実際に来てみると緊張するなぁ。)
美癒が神様と対面するのは初めてのことだった。
美癒と菜都の入れ替わりの際に、声だけは聞いたことがあるが・・・。
あっという間に神様の元まで着くと、カーテンの前で跪き視線を下げた。
ゆっくりカーテンが開いていく。
(美癒、初めまして・・・ね。)
「き・・・キレイ・・・。は!初めまして!」
(ふふっ、菜都と初めて会った時も同じことを言われたわ。それと声に出さなくても結構ですよ。)
(そうでした、取り乱してすみません。)
(いえ。あの時は・・・よく菜都の身体を返す決心をしてくれました。私からも礼を言います。ありがとう。)
(勿体ないお言葉です。)
(今日あなたを呼んだのは・・・神使任務に就いてくれているあなたの今後について。)
今日は神様とジンと美癒の3人で会議が行われる日だ。
その時間になるまで美癒は、相変わらずジンにこき使われていた。
「遅かったね、それじゃあ神様の所に行こうか。」
「お・・・遅かったですって!?」
簡単に言うジンに対して、美癒は涙目になりながらキッと睨みつけた。
と言っても、その顔はちっとも怖くない。
悪気のないジンは平然とした顔で手を差し伸べる。
「頑張ってるじゃん。」
美癒は釈然としなかったが、何を言っても無駄だと思い一旦口を紡いだ。
そんな様子を見てジンは不思議そうに訊ねる。
「どうしたの?褒めてるんだけどなぁ・・・。」
美癒はわざとらしい笑顔を向けると、そのまま嫌味のように淡々と話し出す。
「自分に優しくしてくれるのは、【水の世界】では琉緒だけで、【この世】では琉偉だけでした。近藤君なんてもうひどいのなんの・・・、要するに今の私には優しくしてくれていた2人がもういないんです。」
「そうかな~?香織ちゃんや陽太君とも仲良さそうだったし、カンナちゃんともこの前会ってたでしょ?」
「まあ・・・。でも香織と陽太は菜都の友達だから、私では駄目なんです。
カンナは事情を知ってからも仲良くしてくれていますが、私が作り上げた友情じゃない・・・。」
「美癒ちゃんってかなり悲観的だね。そんな気持ちで【この世】にいた時たのしかった?」
「楽しかったです・・・私は。」
「美癒ちゃんが楽しかったんなら、素直にみんなの気持ちを受け入れようよ。・・・まあ近藤君に関しては仕方ないんだけどね。」
なにか事情を知っているかのような意味深な発言に、美癒は聞き返そうとしたがジンがそのまま話を続けた。
「僕は魂の前世が何者だったのかが分かるんだ。琉緒と菜都ちゃんは・・・前世だけじゃなく、それぞれの魂が生まれた時から既に愛し合ってる。お互いに惹かれ合うのは当然のことだね。」
「そ・・・そこまで分かるんですか?」
ジンは少し得意げに笑う。
「はははっ、それで近藤君の前世はねぇ・・・琉緒と菜都ちゃんのペット。番犬だよ。」
美癒は目をギョッと見開いて言葉を失った。
(あの近藤君がワンちゃん~~~!?確かに犬っぽい雰囲気はあるけど・・・。)
驚く美癒とは正反対に、ジンは近藤君のことを思い出しながら楽しそうに話し続ける。
「菜都ちゃんが別人になったって気付いたのも、生粋の野生のカンだろうね。本物の琉緒に戻ったことも気付いてるんじゃない?2人とも近藤君のご主人サマだからねぇ~。」
「お・・・恐るべし・・・。」
予想外の答え。
流石に美癒も苦笑いしかできなかった。
「本当、自慢の弟だよ。」
今この瞬間のジンの笑顔を琉緒に見せてあげたい、美癒はそう切なく思った。
(弟・・・か。なんだかんだ、琉緒のこと大事に思ってるよね。実際に対面してしまうと喧嘩が絶えないんだろうけど・・・。)
「そろそろ神様の所に行ってもいいかな?」
ジンの言葉で、既に到着していたことに初めて気付く。
「ご、ごめんなさい。連れてきて下さってありがとうございます。」
慌ててジンの後ろをついていった。
(菜都のおかげで記憶にはある場所だけど・・・実際に来てみると緊張するなぁ。)
美癒が神様と対面するのは初めてのことだった。
美癒と菜都の入れ替わりの際に、声だけは聞いたことがあるが・・・。
あっという間に神様の元まで着くと、カーテンの前で跪き視線を下げた。
ゆっくりカーテンが開いていく。
(美癒、初めまして・・・ね。)
「き・・・キレイ・・・。は!初めまして!」
(ふふっ、菜都と初めて会った時も同じことを言われたわ。それと声に出さなくても結構ですよ。)
(そうでした、取り乱してすみません。)
(いえ。あの時は・・・よく菜都の身体を返す決心をしてくれました。私からも礼を言います。ありがとう。)
(勿体ないお言葉です。)
(今日あなたを呼んだのは・・・神使任務に就いてくれているあなたの今後について。)
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